裏切られた勇者
新しい話を書き始めました、よろしくお願いします。
魔王城 玉座の間
「これで終わったんだな…」
「はい、勇者様!」
「そうだねぇ~…」
「国王様も喜ばれる…さて」
そう仲間達と共におれは感無量に浸っていたと思っていたのはおれだけだった。
「なぁ、お前……たち?…ぐっ…!」
「お前が居ると世界は…………だから死んでくれ」
「ルスト…?…どう…して…?」
仲間の一人である聖騎士のルストが聖剣で僕の心臓を突き刺していた、すると背中からまたまた短剣を突き立ててきたのは聖女のエシレールだった。
「勇者様どうか安心してくださいませ、わたくしたちが勇者様は魔王と同士討ちで亡くなったと伝えておきますから」
「エシレール…お前も…」
「ごめんなさい勇者様、あなたが居ると迷惑なのこれでようやく人間たちだけの世界を作ることが出来る」
今度は魔法使いのシクアが胸元にナイフを差し込んできたのだった。
「はっ…半魔で…あるおれは…必要ねぇっか…?」
「あぁ、必要ないな国王陛下がバケモノの子を勇者として歴史に遺してくれるんだ嬉しいだろ?」
…ルストお前と最初に出会ってから5年間どんな気持ちを抱いていたんだ?…おれに向ける笑顔と共に背中を預け合ったのは全部演技だったのか?
「本当にしぶといですね?…聖魔法で吹き飛ばした方が良いですかね?」
「エシレール…お…前…は」
「バケモノ風情がわたくしの名を呼ぶのはよして欲しいのですが」
エシレール…おれの傷を癒し、優しくしてくれたのは全部嘘だったのか?一昔前の英雄伝説を楽しそうに教えてくれてた事も全部…。
「毒を盛っておいて良かった~!」
「シクアお手製の毒はバケモノを殺すのに充分すぎるほど効いたんじゃね?」
「魔王を屠る前に死なれるのかひやひや致しましたよ?」
「大丈夫!魔族とかに試していたから、どれくらい使えばどうなるかも確認していたからね!」
シクアはおれにいつも菓子やポーションを渡してくれていたのは毒を盛って弱らせる為にやっていた事なのか?
…おれは必要ないのか?…爺さん、婆さんゴメン…長生きするって約束守れなかった。
おれに修行付けて鍛えてくてたのに…おれを拾って育ててくれてありがとも言わずに飛び出しちまったのに。
「バケモノの子が泣いてますわ」
「別に構いはしないだろ?」
「どうせ直ぐに魔王のように死ぬだろうしね」
「さよなら勇者様…あなたは伝説になったのですから潔く死んでくださいね?」
「ぎゃははは!酷でぇ言い草だな聖女様?」
聖騎士ルストは聖女エシレールの豊かな胸を掴み揉み出した。
「ルスト様お戯れは止してくださいまし」
「ルスト聖騎士らしくない喋り方になってるよ」
「勇者!シクアとエシレールは俺が幸せにするから安心してくれ!」
「死んだの確認しなくて良いの?」
「…必要ねぇ…バケモノは死ぬんだからな!…国王陛下から領土を貰い贅沢三昧だぁ!」
ルスト、エシレール、シクアはこれからの事を話ながら魔王城から去っていった。
おれは…自分が望む事は一度も出来なかった……
『嘆かわしい…神と名乗る偽物に踊らされ騙されていると言うのに…この世界はたちまち混乱し崩壊するだろう…何て言ったってこの世界の傍観者の賢者と剣聖は世界を…何だと!勇者の小僧が身に付けているブローチの宝石は賢者の石と時戻しの宝玉!…くくくくっ…面白い!こうなることが見えていたか世界の傍観者ども!……神と名乗る偽物よ貴様が描く物語は白紙に戻る!世界は壊れんぞ!私を倒した勇者よ待っておれ必ず!』
何だ?…女の声が聞こえる…意識が…………。