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「何処へ行くのが一番いいか…」
と言いながら冒険者初心者が行くような狩場を暗闇の中転々と移動しながら見ていた。
グレムが狙うのは初心者の狩場に護衛をつけて行くような貴族の二児以降で殺しても問題にならない様な奴だ。
もちろん貴族を殺すだけで罪に問われるに十分であるが、長男でないのであれば足をつかないようにすればそこまでして犯人探しをする必要もないだろうと、そうグレムは思った。
国の北側にあるポディアの森は先ず出たとしてもゴブリン数体なので、
護衛を雇った貴族の二児以降の奴は行かないであろうから最初から除外した。
逆に国の南側にあるディナビア渓谷はドラゴンが多く住んでいるので、
護衛を付けた貴族の奴でさえ行かないであろうから、ポディアの森と同じく最初から除外だ。
そうなった場合、後は東にあるエイラ草原か西にあるリビア岩窟だけになる。
エイラ草原とリビア岩窟は両方ともそこまで低レベルでも高レベルでもなく、
貴族が護衛を付けていく場合にはどちらも自尊心を満たせるし安全だしで丁度いい狩場だと言える。
2つの場所を比べるとどちらかと言うとリビア岩窟の方がレベルが高く、
隠れれる場所も多いから俺はリビア岩窟で張ることに決めた。
場所を決めた後に問題となるのはそのまま張ってるだけでは貴族がくるのはいつになるのかわからない。
だからあらかじめ標的を決めてそいつをうまく誘導しようと考えた。
そうなった場合に丁度いい相手は…と考えると、
最近噂に聞くランドルド伯爵家のわがまま次男坊の
ライル・ランドルドが丁度いい相手という考えになった。
他にも候補はあるが、特にライルはやりやすいとグレムは考えた。
他にも候補はあるのになぜその結果に至ったのかと言うと、
第一の理由は、まず噂によればライルはランドルド侯爵家の当主
アーバン・ランドルドが疎ましがっているという事。
だが、ライルは常に護衛を雇っているような小心者で、家でも護衛を付けているため、
処分した時に直接手を下したということが一目瞭然なので、
消すに消せない存在でなかなか当主のアーバンが手を出せなくなっている。
だから殺しても捜索はそこまでされないであろうと言う点。
第二の理由としては、
ライルは煽りにかなり弱いという点だ。
ライルを冒険者が煽って暴力沙汰になるという話をよく聞く。
最初の方は処分してくれと親父に頼んでいたらしいが、
ある冒険者が
「親父の力でしか相手を処分できないのか?」
と煽ったところ、ライルは額に青筋を浮かべながら
「良いだろう、俺が直々にボコボコにしてやるよ。」
と言ったのが始まりだったのだが、結局護衛が戦っている。
護衛が戦っていることに対して卑怯だと煽っても、それだけは何も言葉が帰ってこないそうだ。
とまあ、そんな事があり、もはや周知の事実だがライルは煽りに弱い。
だから、リビア岩窟に誘い出すことは容易いと言う事。
そこまで考えてから家に帰ってきたグレムは明日に備えて寝ようとしたが、
1つだけ装備を買っていなかったのを思い出して、暗闇の中ローブが売ってある店へと走った。
そしてローブを売っている店についた後は岩肌の様な色をしているローブを買った。
ローブを買ってから家へと帰ってきたグレムは、
今度こそ明日に備えて眠りについた。
朝になり、窓から入ってくる日の光で目が覚めたグレムは、頭の中がスッキリと冴え渡っていた。
その状態で昨日のことをよく考えると少し焦りすぎていたとグレムは感じた。
昨日考えた様に、ライルを襲うための理由は妥当なもので、
結果的にライルを襲うことには変わりはないが、
護衛に強い奴がいないとも限らないし、
そもそもグレムはリビア岩窟の全容を把握していない。
相手はどのレベルかわからない護衛を付けていて、
リビア岩窟の全容を把握してようとしてなかろうと
こちらは単騎で相手は複数。
しかもこちらの装備は短剣で手数は多いがリーチが短い。
そんな相手のことを把握できていなくて、場所のことすら把握できてない状態で、
単騎で複数に仕掛けると言うのはあまりにも無謀すぎる。
と、少しスッキリとした頭で考えたグレムはまず1日を場所、敵の視察に使うことにした。
最初にリビア岩窟がどんな構造をしているのか見にいくことにした。
まずはリビア岩窟に向かいながらリビア岩窟の情報について思い出すことにした。
リビア岩窟は一応ダンジョンの部類には入っているが全3層で、
中もそんなに入り組んでいる訳ではなく、罠なども少ないのでそこだけ見れば難易度は最低レベル。
だが、出現モンスターがゴブリン、コボルト、ゴーレム(最下層のボス)
と種類が少なく対策はしやすいが、コボルトとゴーレムが冒険者初心者には絶対狩れないので難易度が中程度まで跳ね上がっている。
ゴブリンだけならば初心者が2人がかりで1匹にかかれば倒せる程度なのでそこまで脅威ではない。
という感じであったと思う。
と言った所まで思い出すとリビア岩窟まであと少しの場所までたどり着いた。
考えてる間にたどり着けるほど早く付けたのはグレムの家が王都の西側にあったのと、
西側の門から出れば直ぐに着くという要因があったからであろう。
少ししてからリビア岩窟の前へと着いた。
「リビア岩窟を選んだ理由に家から近いからと言うのも追加だな。」
と言いながらグレムはリビア岩窟へと入って行った。




