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扉を開けると金と赤を基調とした部屋が奥へと広がっていた。
金で縁取られた時計、赤色のソファなどが置かれていて、
ソファの向こうの椅子に座っていた貴族然とした服を着ている
男が立ち上がって此方へと向かってきた。
「見かけない顔ですが紹介状はお持ちですか?」
と貴族然とした男が言ったので、
「いや、持ってない。」
とグレムは答えた。
すると貴族然とした服を着た男は
「申し訳ないですがこの高級奴隷店『ミラディア』は
紹介状を持っていない方は金貨を一枚払わないと入れないのですが
お支払いされますか?」
と言ったので
グレムは少し考えた後に
「これでいいか?」
と言い金貨を一枚懐から出した。
貴族然とした服を着た男は金貨を受け取ると
「ありがとうございます。申し遅れましたが私はレイスと申します。
今回はどのような奴隷をお求めで此方へ?」
と聞いてきたので、
「いや、はっきりとどんな奴隷が欲しいとは決まってないが、
奴隷を買ったことがないのでどんな物か見に来たんだ。
勿論冷やかしじゃない、気に入った奴隷が居たら買うつもりでいる。」
とグレムは答えた。
「なるほど。では、一通り奴隷を連れてきましょうか?」
とレイスが言ったので、
「いや、出来れば自分で見て回りたいのだがそれでもいいか?」
とグレムは返した。
「勿論それでも構いません。それでは私の後に続いて来て下さい。」
と言いながらレイスは向こうの扉を開き、階段を降り始めた。
グレムもそれに続いて階段を降りていった。
階段を降りた先には牢のような鉄格子がついてはいるものの、
中は綺麗な部屋が何個も並んで居た。
「奴隷でもこんな待遇を受けれる物なんだな。」
とグレムは思わず声にしていた。
「そうですね、商品たちを環境の悪いところに入れて商品の価値を
下げないようにしているからこのような待遇になっているんですよ。」
グレムの思わず声に出してしまった言葉にレイスは笑顔でそう答えた。
「ふーん」
とグレムは素っ気なく言った。
「ここからは自由に見ていただいて構いません。
私は後ろからついて歩くのでどうぞご自由に。」
とレイスが言った。
「それじゃあ、どんな子がいるか見て回るとするかな。」
と言いグレムは物色して回る事にした。
グレムは最初に入口の近くにあった檻の中を見ると、
その檻の中には翡翠色の髪に碧眼の耳の尖った女が居た。
「これはエルフか?」
とグレムが問うと
レイスは
「はい、そうです。
このエルフは親が借金をし過ぎてそれの返済のための物として奴隷商に売られた者です。」
「ここではエルフも商品として扱われているんだな。」
と普通の奴隷商しか見たことがないグレムは言った。
「勿論です、ここは高級奴隷商ですから他の一般の店とは訳が違います。」
とレイスが言った。
その言葉を聞いたグレムは次の牢へと歩を進めていた。
次の牢には赤い髪を一房に結んだ髪と同じ色の目をした勝気な雰囲気の女が居た。
「この女は?」
とグレムが問うと
「ある店の店主の娘で、元々看板娘として働いていた者です。
こちらも店の売り上げが傾いた時にできた借金の返済のために売られた者です。」
「ふーん」
とグレムは言いながらまた次の牢へと歩を進めた。
次の牢には金髪の髪を腰辺りまで伸ばした金色の瞳の女が居た。
今までの奴隷と雰囲気が違って、貴族の様な雰囲気を出しているので
「なんでこんな女が?」
と聞くとレイスは
「最近騒ぎになっているある貴族の反乱の時にこちらへ来た者ですね。
親が色々な不正を行っていたと言うことで両親は処刑され、娘が奴隷商へ引き渡された。
と言う訳です。」
と答えたので
「そんな事もあるんだな。」
と言った。
「ええ、そう言うことは割と多いんですよ。」
とレイスは答えた。
そしてまた次の牢へとグレムは歩を進め、次の牢の中をみた時にグレムは固まった。
牢の中には、まだ膨らみかけの主張の少ない果実にみずみずしい唇。
さらさらと鮮やかに流れる長い黒髪を腰まで伸ばした深い海の底のような藍色の瞳をした少女が佇んでいた。
グレムはその少女を見た時に一瞬で脳内にある言葉がよぎった。
欲しい。と
視界が狭まりその奴隷の少女しか見えなくなり、呼吸が浅くなった。
喉がどうしようもなく乾いている時に水が欲しくなるような、
そんな渇望がグレムの心に生まれた。
そう思ってからグレムが言葉を口に出すまでは1秒もかからなかった。
「君、名前は?」
とグレムが聞くと
「レミ、です。」
とレミは答えた。
「レミ、レミか…」
と呟いた後にグレムはレイスに聞いた
「この子はどれ位で買えるか?」
「この娘くらいですと金貨200枚ですかね。
見た目も良くて料理と家事も上手く、まだ生娘ですから。」
その言葉を聞いたグレムは自分の持ち合わせを見たが、袋の中には37枚の金貨と90枚の銀貨しか無かった。
それを見たグレムは。
「また此処へ来る。」
と言って足早に帰り始めた。
欲しいと言う欲求が自分の中によぎった後、行動へ移すのは早かった。
奴隷商へ直接手を出すのはあまりにもリスクが高すぎるので、
他人から金目の物を奪うための準備をすぐさまにし始めた。
今まで使い続けていた短剣は錆びていたので新しく10本ほど買い、
靴や服は使い慣れたものが一番動けるのでそのままで行くことにした。




