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盗賊  作者: おにじん
1/9

人族が多く行き交う王都メメントで1人の男が呟いた

「あー…何か面白いことでも見つからねぇかなぁ…」

そう言いながら路地裏に落ちている瓶を蹴りながら表情が死んでいる男は道へと躍り出た。


—————————————————————————————————————


 俺はグレム、盗賊だ。

俺は物心がついたころには孤児院に預けられていて親が生きているか死んでいるかすらも分からない。


 俺がなぜ盗賊かって?

それは簡単な理由で、俺が預けられていた孤児院が何歳ぐらいの頃かはもう忘れたが潰れた。

 孤児院が潰れても女子供はまだ身体を売っていったらまだ少しはマシな生活が出来ると思うが、

男はそうはいかない。


 孤児院を出た孤児の男が働こうとなると奴隷並みの扱いを受けるのは当たり前だし、

 何かと孤児院出身だと言う事でいちゃもんを付けられて給金は減らされるし暴力も振るわれる。


 まぁそんな所で働きたいと思う奴はいなかったし実際俺もそんな所で働きたいと思わなかった。

働きたいと思う奴がいなかっただけで大半は稼ぐために色々な場所へ出ていったが、俺は働きには行かなかった。


 俺は孤児院生活の時にお腹が減ったり、配られた分じゃ満足できなかった時に他の子供の食べ物を盗んだことが少なくない。

 それ以外にもおもちゃが欲しくなったりした時にも盗んだことがあるが、

どの場合も犯人が俺だとバレずに罪のなすりつけ合いが始まった。


 そんなことがあったから俺にはある種の自信というものがついていたのかもしれない。

根拠もなく俺には多少は盗みの才能があると。

事実、そうだった訳だが。


 それからは俺は店から物や食べ物を盗んで路地裏で生活していた。

最初の頃はそれだけでも孤児院にいた時よりかは少しは贅沢出来ていたから満足もしていた。

 だが、その生活に段々慣れていく内に欲しいものが増え、やりたいことが増えていった。

そうなってきた時に当然のように行動は段々と過激になっていった。


いつからか店から盗んでいた物の量が増えだした。

いつからか民家に入って置いてあるものを盗み売り出すようになった。

いつからか冒険者を襲い、死体から金品を漁りだすようになった。


 どんどんと行動が過激になって行くごとに増える収入、増えるリスク、増えるスリル。

俺はそれに酔っていった。

奪うのは楽しいし、生活の為にもなる。

手に入れた金を使って家を購入したりしたし、娼館に通ったりもした。

何もかもが新しく、俺を満足させた。


 そうやって盗みを繰り返しては欲しいものを買う、盗む。

したい事をするという事を繰り返してきた。


だが、そんな生活は長くは続かなかった。


 何も楽しくない。何も高揚感を感じれない。何もしたくない。

そう思い始めたのはいつからだったのだろうか。

俺が同じ事が繰り返される生活に嫌気がさしてきたのは

いつからだったのだろうか。


 最初の方は楽しくて楽しくてしょうがなく笑いながらしていた事が

今ではただの作業で何も感じられない。

それでも生活する為に必要な事だから続けていた。

ただただ惰性で続けているだけだ。


 繰り返すごとに自分の心が侵食されていっているような気がして

何もかもが灰色に見えた。


 そんな生活を繰り返している内に、ふらふらとなにも考えず歩き、ある場所に向かっていった。

 それは昔孤児院があった場所であった。

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