第8話 宿屋と図書館
暗い細道を歩いていると、目的の宿屋がみつかった。宿屋はとてもぼろいが、掃除は行き届いている。
「へい、いらっしゃーい、お客さんは二人かーい?」
そういって迎えてくれたのは体型の良いおばちゃんだ、昔は美人だったに違いない。
「ギルドのクエストで来たんだけど、ここで合っているかな?」
そういうと、おばちゃんはピンと来たようだ。
「あーそういうことかい、おーいメグー、ちょっときておくれ」
そういうと、奥のほうからおばちゃんの娘と思われる女性が出てきた。おばちゃんが若くてやせていた時はこんな感じだったのだろう。年はおれらよりも1つくらい上くらいか。
「かあさーん、どうしたのー?あれお客さん?」
「手伝いしに来たんだよ、案内しておくれ。うちのメグはかわいいからね、変な気起こすんじゃないよ?」
「もうおかーさん!失礼だよ、それに慣れてるから大丈夫だよ」
「じゃあこっちに来てくださいね、まずは裏で薪を50本割って、その後に火を起こしてください。私は食事を作っているので、薪を割りおわったら声をかけてください」
薪割は重労働だ、薪割は女で二人では大変だろう。クエスト依頼で来た時にまとめてやってもらうようにしているのか、丸太が大量に置いてあった。全部で300本近くはあるだろう。
俺とトーヤは懸命に薪を割った。俺も一生懸命割っているが、トールは俺の2倍近くの速度でやっている。見ていると体の使い方が違う。スキルの影響もでかいのだろう、ここ数日のトールの成長にはホントびっくりさせられる。
もしかして、この身体の動かし方も記憶できるのかな。そう思ってトールにコツを聞いてみた。
「身体の動かし方のコツ?それは一部に力を入れずに、身体をグーっとためて、パーっとやるんだよー」
トールは感覚派のようだ。性格もそうだけど、スキルで身体の動かし方が最適化されてるようだし なー。
そんなこんなで二人掛で30分程度でノルマを達成できた。火をつけるのは結構重労働らしいが、トールが火をつけられるので楽だった。その間に俺はメグのところに行った。
「もう割ったの?二人とも年は変わらないくらいなのにすごいんだね、残り物で申し訳ないけど、これを食べて。寝るところは1階の隅の部屋だよ。ベッドが一つしかないから二人で寝てもらうことになるけど。」
料金を払っていないし、仕方がないだろう。ここでのご飯はおいしかった。しばらくはここを拠点にしていこう。明日の午前中は何の手伝いをやるのだろう。
トールは疲れていたのか、すぐに寝てしまった。おれはすぐに寝付けなかった為に、草の本を読んでいた。うん、内容は全部覚えた。これはギルドに明日返しにいこう。と思ったら、外はすでに明るくなり始めていた。内容を覚えられるのは助かるけど、時間が圧倒的に足りないな。なんとかしないと。
…
なにやら周りが騒がしい、もう少し寝ていたい。と俺はベッドの上をゴロゴロしていた。
「おーい、アオイ!今日は朝から掃除だってよ、俺は1階をやるから2階を頼むな」
そういって、アオイは1階での掃除をはじめた。時間は9時を過ぎたあたりだろうか、徹夜したためか普段よりも起きる時間が2時間近く遅い。ぎりぎりまで起こさないよう気を使ってくれたのだろう。
宿全体は木でできている。モップでの水拭きも結構重労働だ。なにより、水を足したり捨てたりするのが大変だ。こんな時に水の魔法ができたらなー。俺はストレージの魔法しか使えない。
あ、水を収納しておけば良いのか。気づかなかった。それに気づいてからは作業がはかどった。今回は、トールよりも早く終えることができた。
作業を終わったところで、メグに出会った。メグは、昼食の準備をしているようだった。
「昨夜はずいぶん遅くまで起きてたようですね」
「本を読んでたらあの時間まで。寝過ごしちゃってすみません。メグさんはいつもあの時間まで起きているんですか?」
「あ、私はあの時間に起きたんです。水をためる必要があるので川までいくんです。お母さんと二人だからやることは多いんですよね。私ホントは冒険者になりたかったんですけど。去年スキル覚醒したしね。けどお母さんもほっておけないし。。」
そういうと悲しそうな顔をしていた。料理に洗濯、それから水くみか。おばさんもまだまだ働き盛りとはいえ一人では厳しいだろうな。
そうして昼前になった、掃除が終わったてから夕方までは自由時間だ。
薪をもってくれば、今回は薪割は免除らしい。
トールと一緒に、ギルドまで来た。
「こんにちわーなんか良いクエストないっすかー?」
「こんにちわ、そうですね、あるのはスライム退治と図書館の掃除ですね」
「そうなのかー俺はスライム退治にいきたいな、やっぱり魔物討伐がたのしいぜ」
「俺は図書館が気になるなー、今回は危険も少なそうだし、別々に動こうか」
ちょうどクエストを2つこなすとランクがEランクになるからちょうど良いだろう。
「あ、そういえば、パーティーメンバー増やしたいんですけど、だれかいないですか?」
「うーん、いまのところないですね。Eランクまではすぐに上がるので、Fランクだと募集かけてもこないと思いますよ」
それもそうか、実際、昨日この町に来たばかりの俺らでも今日中にはランクがあがりそうなのだ。募集はランクが上がってからでも良いだろう。
そんなわけで、俺とトーヤは別々に行動した。
図書館の中はとても静かだ。年齢は比較的年上が多い、そして冒険者はほとんどみない。
「こんにちわ、ここは初めてですか?」
「はい、説明を利かせてもらっていいですか?」
そういうと受付のお姉さんは、慣れたように説明を開始した。
「こちらは、ギルドに所属しているものであれば無料で入れます。商人ギルドか冒険ギルドかは問いません。またギルドに所属していない場合や、本を借りたい場合は図書会員になる必要があります。図書会員は、月500ゼニーです。」
「そしたら冒険者ギルドに入っているので、それでお願いします。」
そういってギルドカードを渡した。
「ありがとうございます。次に図書館の中を説明しますね。本はそれぞれジャンル別に分類されています。Aは生活全般、Bは剣術、Cは魔術、Dはスキル、です。」
棚に大きくAからDまで書いてある。Aは一般の人向けの本のようで、かなりの本数がある。
これだけの本を読むには、1生かかっても読み切れないだろう。
「本をたくさん読みたいのですが、早く読む方法とかなにかありますか?」
わからないときはすぐに人に聞いたほうが良いと、母さんに教わった。
「そうですね、入門書を読むと広く知識を入れることができますね。」
「もしくは速読の仕方という本があるようですから、そこから読むのも良いかもしれません」
まずは速読の本を読み、入門書を読んで理解してから、専門書を読む。
これなら効率よく本を読めそうだ。<きおく>のスキルでは、理解力の向上はしないから、意味のない記憶をため込んでもうまく活用できない。
この世界では本を読むのは、身体が衰えてきて、冒険や仕事が落ち着いてきたものか、本が好きなもの、また魔法を学ぶものです。とはいっても、魔法学院があるので、魔法の本は比較的簡単な本ばかりです。
続きます。
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