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第6話 ゴブリンとの戦闘

主人公は非戦闘スキルなので、この辺は少し足をひっぱってます

「父ちゃん、母ちゃん、俺も一緒につれてってくれよ」


 そう叫んでいるのは俺ではない。これは、誰の記憶だ?

父ちゃんと呼ばれている人物は、筋肉がたくましく、背中には大きな剣を背負っている。その笑顔は年には似合わない無邪気な笑顔だ。


「一緒に連れていってやりたいけど、スキルが目覚める前の冒険は禁止されているんだ。スキルが目覚めたら一緒に冒険いこうぜ!」


その隣にいる女性はおそらく母ちゃんだろう線が細く露出が多い。目つきは鋭く、正直とても怖い。


「そんな気軽に約束するな!トールもそんなにワーワー泣くんじゃない!これで最後の別れじゃあるまいし」

 あ、そうかこれトールの記憶なのか。トールは、一生懸命泣くのをこらえて笑顔でいた。内心ではとっても悲しいけど笑っていた。感情がつながっているのか、とても悲しい感情が伝わってくる。


「よし、それでこそ私の息子だ。今度は2週間くらいで帰ってくるから、楽しみにしてろよー。ハジメさんトールのことよろしくお願いします。」


俺の知っているトールよりも10歳は若くみえる。


「わかっておる、しかし、そろそろ剣術なども教えても良い年ごろじゃろう、少しはゆっくりできんのか


そういうと、父ちゃんと母ちゃんは目を合わせこういった。


「「実は今回の旅が終わったらしばらく村にいようと思うんです。旅の先々で子供をみると、トールのことばっかり考えてしまうんでね」」


 そういう二人の笑顔を見て、とっても嬉しそうなトール。でも、2週間たっても1ヵ月たっても両親は帰ってこなかった。そろそろ帰ってくるんだとソワソワしている気持ちから不安な気持ちになったころになっても両親は帰ってこなかった。



 目が覚めた。どうやら寝てしまっていたようだ。隣では涙を流しているトールが寝ていた。

さっきのはトールが見ていた夢だったのだろうか。

 トールが落ち込んでいる時はどうしたのだろうと思っていたのだが、少したってから以前よりも元気なトールだったので気にしていなかったけど、トールはつらかったんだな。

 そう思うと、ずっと一緒にいてもわからないこともあるんだな。そういえば母さんのことももっと聞いとけばよかったな。なんて思っていた。



「よーし、行くかー!町まではあと半分くらいかなー今夜は宿屋のベッドで寝たいよなー」


 いつもと変わらないブラウンだったが、その心の片りんを垣間見てしまうと、トールへの見方が変わっている自分に気づいた。世界は自分の見方で変わるんだなと気づいた。


 あと1時間くらいこの森をぬければ、町の結界にたどり着くかなと思ったあたりで、魔物をみつけた。

あれはゴブリンだ。こちらが先にみつけたのはかなりラッキーだった。

ゴブリンは一瞬動きを止めて、ギャっと小さく鳴いてきょろきょろとしている。

まずい気づかれたか…

 息をひそめ、ゴブリンの動きをじっと観察していた。しばらくすると、ゴブリンは気のせいだと感じたのか、草むらの向こうにいってしまった。

 ふーっ。いつのまにか汗をかいていたようだ。スライムと違ってゴブリンは初めて見たこともあるが、やはりスライムとはレベルが違う。装備を整えてから戦っても良いだろう。


「よっし、町にたどりつく前にゴブリンたおすか!敵は1体、二人で挟み撃ちすれば大丈夫だろう!じゃあ俺は向こう側にいく」


 そういうとトールはゴブリンの背後に回り込むように動き出した。

トールが背後に回ったことを確認し、飛び込むタイミングを図り、ふと気づいた。

あれ、このゴブリンは何をしているんだ?

ゴブリンは先ほどと違ってじっとして動かない。まるで何かのタイミングをうかがうような…

もしかして!<オープン>


【ゴブリン:装備によって強さは変わるが、基本的に1体1であれば負けることはない。弱い者をひたすらいたぶる残虐な精神をもっている。基本は2人以上で動いており、背後からの攻撃で先制をとって殴るのが得意。背後にはきをつけろよ】


 その文章を読んでいる時に、ぞわっとこれまでに感じたことがない感じをした。背後を振り返ると、ゴブリンがこんぼうを今まさに振り下ろそうとしているところだった。

まずい、やられる!!!!

 そう思い、両目を閉じたときに、周囲一帯が白い空間に包まれた。それは1m程度のもので、音は何もしない。中にはゴブリンが1体と俺しかいない。


 ギャ、ギャ!ゴブリンは何を言っているかはわからない。ただ、周囲を見て不思議そうにしている。棍棒をもち俺の方に近づこうとしているが、1m以上は近くに寄れないようだ。

 これが、腕輪の力か。腕輪を見ると光を放っていた。母さんは普段こんな世界を見ているんだな。

母さんは、村人たちの争いを何度もとめてきた。その時、決まって白いドームに包まれており、どんな感じなのだろうと興味をもっていた。この空間は、落ち着く。母さんといたときは常にこんな感じだったなーと考えていると、腕輪の光が点滅しはじめていた。

 まずい。タイムリミットか。話あうといっても、言葉が通じないんじゃ、どうしようもないな。。

なんて考えているとパリンという音とともに先ほどの森にもどってきた。

 戻ってくると、トールがゴブリンをちょうど倒したところだった。

もう1匹のゴブリンは俺の近くで、周囲をきょろきょろとしている。俺とゴブリンがお互いに気づくのは同時だった。

ギャ!

 そういいながらゴブリンはとびかかってきた。スピードはトールよりも遅い。これなら戦える。

ガギン!!俺の剣とゴブリンの棍棒がぶつかった。いったん距離をとり、再度ゴブリンがこん棒でなぐりかかろうと振り上げたので、横腹に一撃を食らわせた。

 ゴブリンは、ウゥとうめき声をあげてひざまずいたところを頭から1撃くらわせる。

そうしてゴブリンは動かなくなった。スライムと違って、とても緊張感があった。

 おれは、トールに向けて剣を掲げ、大丈夫だよと合図を送ったところ、トールがこちらに向かって走ってくる。


「後ろ!」


 後ろを振り向くと先ほど倒れていたはずのゴブリンが俺にいままさに殴ろうとしていた。

まずい!やられる。致命傷を避けようと両手で頭を守る。

 棍棒は両手で防げたようだ。反撃しなくては、と思ったが、両手で守ってしまったために、すぐに反撃できない。ゴブリンの追撃がくる!どうする、後ろにさがる?どうする?

しかしゴブリンの追撃はなかった。ゴブリンの頭にこん棒がぶちあたっていたからだ。

 ゴブリンは棍棒を振り上げた状態で、倒れた。そして、青白い光に包まれ、残ったのは、こん棒とギルだった。


「いやーあぶないところだったなー、とっさにこん棒なげてよかったぜー」


 そんな無茶なと思ったが、トールは<ぶきつかい>のスキルを持っている。いくらかの補正がかかるのだろう、実際、冒険にでてからはトールと俺での戦闘で差がでてきている。これが戦闘スキルと非戦闘スキルの差か。。


「たすかった、ありがとう」


ゴブリンは、強くはないが、卑怯な戦法をとる。最後まで油断はできない。しかしとても失礼だが、俺よりもトールのほうが油断しそうなのだが。。

 なんてひどい考えをしていると、顔にでていたのか、トールが答えた。


「あー、ゴブリンは冒険譚にはよく出てくるからな、それに前に父ちゃんがゴブリンのだまし討ちの話はきいてからな」


 そういうと、少し寂しそうな表情を一瞬見せたが、二カッと笑った。


 その後もゴブリンに遭遇したが、奇襲さえ合わなければ特に苦戦もせずに倒すことができた。一人では苦戦するだろう、トールがいてよかった。

 土町にたどりつくころには、おれのレベルが5、トールはレベルが6になっていた。トールがゴブリンを倒す数が多いから当然だろう。

ゴブリンの魔石はスライムよりも少し大きかった。



続きます。


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