第4話 初めての冒険
トールは魔法戦士というよりは、かなり戦士より。この世界ではだれでも一つの属性魔法は使えると思って読んでもらえれば
かあさんと最後の夜の晩御飯を食べて、床についた。
かあさんは料理が上手だ、俺も料理をやろう、教わっておこうと思ったが、こんなに上手なかあさんの料理を食べていると自分でやろうと思えなかった。きっと旅にでれば勝手に覚えるだろう。
かあさんに父さんのことを聞いたが、俺が聞きたい話とは違い、料理をふるまったら無言で食べてて、おいしくなかったのかと不安に思っていたら、おかわりしてくれたとか、結婚記念日にドラコンの肉をもってきたから泣いてしまったとかそんな話ばかり。楽しかったから良しとしよう。
明日はついに冒険だ、そう思うとドキドキして眠れないなと思っていたのだが、案外すんなり眠ってしまった。
「ケーキ買ってきてくれたの?ありがとー♪」
そういうのは、笑顔の素敵な少女、年は10代後半だろうか、白いシャツにヒラヒラしているパンツをはいている。こういってはなんだが、とても不思議な服装だ。
「ねえ、将来なりたいもの決まった?私は将来医者になるんだー。理由はねーーーーまた今度教えてあげる」
そういっていたずらが成功したような顔で少女は笑っていた。その顔を見ると自然と笑顔になっていた。そして気が付いたら、目が覚めていた。
さっきのはなんだったんだ。これまでと違って、夢の内容はよく覚えている。これはスキルの影響かな。
それにしてもへんな夢だった、まるでこの世界とはちがうところのような。。
あ、と昨日もらった本にむけて、<オープン>と唱えた。しかし、頭がくらくらしただけでなにも表示されない。うーん、なんでだろう。父さんにもわからない範囲なのかもしれない。
さて旅立ちだ!まずは、北に10キロのところにある土町だ。そこには冒険者のギルドがある、そこで冒険者として登録するところから始まる。そこで武器と防具もそろえよう。敵はいるが、せいぜいスライムかゴブリンくらいだろう。これまで魔物と遭遇したことはないが、トールと一緒に剣の打ち合いをずっとしてきた。大丈夫。
そしてトールと一緒に村を出た。村では村人総出で送りだしてくれた。なんかこういうの嬉しいな、元気にまた戻ってこよう。町の外の草原を10分ほど歩き、村の結界をでた。村の結界は国の賢者様たちが張ってくれたもので、よほどの魔物でないと、入ってこれないらしい。
そしてそこから更に10分ほど歩いていると水色のスライムをみつけた。スライムは特に気づいた様子もない。
「よっしゃーついに夢にまでみた魔物だ!!おれがたおすぜ!」
トールは、目をキラキラさせて飛び込んでいった。!!スライムが気づいたとほぼ同時にトールの振り下ろした一撃がスライムに直撃した。しかしスライムには効いた様子がない。どういうことだ。
そこで俺ははっと気が付き、<オープン>と唱えた。
【スライム:とても弱い魔物。攻撃はほとんどしてこない。打撃攻撃には強い。攻撃する際は魔法、属性攻撃、核への攻撃が有効。これくらいは倒せないと話にならないぞ。】
なるほど、そういうことか。剣は斬撃だけど俺たちが持っている剣は刃こぼれしているから打撃になっているのか。
そんなことを考えている間もトールはひたすらにスライムをひたすらに殴っている。スライムは時折体当たりしてくるが、トールには当たらない。
「よし、やっていみるか」
そして俺はスライムの核に向かって突きを繰り出した。スライムの核に剣が当たるとスライムは溶けてしまった。そしてすっごい小さい魔石が落ちていた。おそらく1ゼニーくらいだろう。
この魔石はモンスターを倒すと出てくる、ギルドに行くと魔石をゼニーに買えてくれるのだ。ちなみにモンスターによって魔石の大きさは違い、強いモンスターほど大きい魔石を落とすらしい。
「あー!おれが倒そうとしたのにー、しかしよく倒し方しってたな!いくらなぐっても手ごたえなかったからどうしようかと思っていたぜ」
「あーそれはね。これ。」
できるだけ秘密にしていたいけど、トールには伝えておいてもいいだろう。
「自分が知りたいと思ったことが、文字として表示されるんだ、たまーに表示されないこともあるけどね」
父さんのこととかレアアイテムだとかは話さないほうが良いだろう。トールはそういった話に興味もないだろうしね。
「ふーん、便利だなー、今度はすぐに攻撃しないでそれで調べてから攻撃しようぜ」
そうして、二人での戦い方は決まった、まずは相手を調べる。相手に気づかれたときは、トールが俺を守って相手を調べてから攻撃だ。
まー一度調べたモンスターはもう一度調べる必要はないだろうけど。
そんなこんなで、スライムを二人で5体ほど倒したところで、チャリーンという効果音がした。レベルがあがったのだろう。レベルが上がったことはわかるが、ステータスの閲覧は、町や村で確認しないとわからない。
いつでも確認できるアイテムもあるらしいが、そんな高価なアイテムを手に入れるのはずいぶんと先になるだろう。MPがきれると、意識を失うらしいから十分に注意しないといけない。
「おい、きいたか?おれレベルあがったみたいだぞ!おまえもあがったのか?」
どうやら必要経験値は同じようだ。
「なんか力がみなぎる気がする。なんとなくだけど、あれなんだこれ?ファイア?」
そういうとトールの手のひらから、親指ほどの火がでてきた。トールは火属性だからレベルが上がって火を使えるようになったのだろう。しかし、小さいな。前に父さんの魔法をみたときはもっともっと大きかった。魔法は使えば使うほど、上手になるらしいから、これからどんどん大きな火を使えるようになるだろう。
「うわー!やばい!みたか!おれ魔法つかえるようになっちゃったよ!すごくね!みてくれよ!ファイヤ、ファイア、ファイア、ファイヤ」
魔法が出るのは2回に1回くらいか、おそらく発音が適切でないと魔法は発動しないらしい、そんなこんなで5回ほど火を出したところで、ブラウンが白目をむき、舌を出して倒れた。
「トール!?大丈夫か???」
<オープン>俺はすぐに本(シゲル本)でトールの様子について調べた。
【魔力枯渇状態:気絶は数分で治るが、そのあとはしばらくぼーっとしてしまう。魔力が枯渇する前に、頭痛がするのを目印にしておけばよい。魔力枯渇は冒険者として1番やってはいけないぞ】
この間、頭痛がしたのは魔力が枯渇しそうだったのか。しかし、こうして1日に何度か本を開けているけど、問題ないな。もしかして調べる内容によって必要なMPが違うのか。
とりあえずトールを日陰に寝かし、周囲を警戒していて数分経つと、トールが目を覚ました。
「あれ?おれ。あれ、どこだここ」
「魔力が枯渇すると気絶するらしいよ、その前に頭痛なかった?」
そう聞くと、トールは頭をぶるぶると振りながら考えている様子、まだぼーっとしている様子だ。
「あーそういえばそんなことあったかも?でも連続で魔法唱えてたからそんなのきづかなかったのかもね、あはは、次はきをつけるわ」
そういうとトールは立ち上がり、村の方に歩き出した。
「トール、町はこっちだよ」
まだぼーっとしているようだ、俺も魔力枯渇には注意しよう。
続きます。
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