第四話 地形の変形
どうする。護衛班が来るまで、あと三十分はかかる。ああ、もう、俺のバカ。最悪な事態を考えずに案を出してしまった。
とにかく、班長と隊長にこのことを伝えなければ……
「班長、このままだと作戦が失敗して——」
と言いかけた瞬間だった。
「随分と派手にやられてますね」
未熟であろう声質が聞こえた方向を見ると、俊敏な動きと爽やかな風によって、銀髪が靡いている少女が、頼もしそうな白馬に乗ってそう言っていた。ん? なんかこの子何処かで見覚えがあるような、ないような……
「予定より早くついたな、聖騎士」
「え、班長、この人知ってるんですか」
若干、驚きながらそう聞くと、班長はかなり驚いた顔をして、
「お前知らないのか? うちのギルド一の腕を持つ、唯一の聖騎士だぞ?」
え、この子って男なの? そのような説明を聞いているうちに、援護班の班員が次々とやってくる。しかし、数十人程度しかいない。本当にこの人数で足りるのか?
「ええっと、まだ援護班は全員揃っていないんですよね?」
そういった疑問を持ってしまったので、半信半疑ながらの調子で聞く。
「これで全員だけど……」
「まじすか……」
思わず困惑してしまった。その聖騎士は、現在の戦闘状況を見て、察し、ため息をついた。ため息でかくない? ちょっぴり傷つくよ?
「まあ、援護班も来てくれたわけだし、パパッと終わらせるか!」
と、班長がその場の空気を軽くした後、前衛組の援護に入る。俺たちの残りのグループメンバーと、援護班もそれに倣って、援護に入る。
淡々(たんたん)と攻撃をしていると、途端に剣が折れたり、巨大蛇龍が味方を呼び寄せ、俺たちの動きに支障をきたし、無駄な動きをさせられる。更に、巨大蛇龍の激しい動きによって吹き飛ばされ、負傷者が続出する。
こういった流れになるに連れて、陣営が崩れ、攻撃を仕掛ける速度が落ちる。
そこらに転がり倒れている仲間は、いつ死んでもおかしくない。味方の流れ弾などで死ぬことだってある。そう思うと、見捨てることはできないと思い、咄嗟にそういった味方の元へ駆け寄り、少しでも安全な場所へと移動させる。
そういった行動を何度もしているうちに、俺たちの班の半数以上が気を失ったり、大怪我を負ったりしている仲間を、呆然として見ていた。中には死人も出ていた。
何もしてやれない自分が悔しい。そう思い始めていた。
回復担当者が、負傷者の傷を癒しているが、人手が足りていない。このままでは、死者が半数を上回ってしまう。なんとかして、早く倒さなければ。
しばらくして、巨大蛇龍は、怒りの頂点に達した。且つ、お互いに、疲れがたまっていた。
「やばいな……」
過去に俺は、巨大蛇龍のデータを確認したことがある。そこに記されていたのは、「巨大蛇龍が、怒りの頂点に達した時、その周辺の地形が劇的に変化する。」という内容だった。
つまり、怒りの頂点に近づかせるもの(俗にいう俺たち)による巨大蛇龍の超爆発である。ただ、その超爆発を起こすには、時間が必要である。
これは、魔法と同じで、強力な魔法を繰り出すには、時間と精神力が必要になる。人間も、テラスも、似たようなものだ。
超爆発を防ぐためには、巨大蛇龍を超爆発する前に倒すしかない。
しかし、爆発すると味方に伝えれば、逃げる者も現れるはずだ。俺が言われたら絶対逃げる。それでも、俺は真実を伝える。
「全員聞け! 早く巨大蛇龍を倒さないと、大爆発を起こして全滅する! なんとかしてでも時間内に倒しきるんだ!」
この発言を聞いた全員が、はっとこちらを見て唖然としていた。
しかし、俺の言葉の意味を把握した味方たちが、察してくれたのか、全員が一斉に攻撃を仕掛け、まるで心が通じ合っているかのように、連続攻撃を繰り出していく。
後衛組は、魔法で前衛組の傷を癒したり、遠距離攻撃をしたりと、とてもまとまりと効率の良い流れを作っていた。いつの間にか、負傷者たちを癒していた回復担当者も、戦闘に参加いていた。
「凄い……」
そんな言葉を漏らした。俺も負けまいと、前に出て、攻撃を仕掛ける。べ、別にサボってたわけじゃないんだからね!?
この勢いに乗れば、勝てる……! と、思っていた。
が、時すでに遅し。巨大蛇龍の重く、太く硬い尾が、俺の身体に叩きつけていた。
その瞬間、声すら出ていなかっただろう。
その勢いのまま、俺は飛ばされ、転がり倒れる。すると、聖騎士と呼ばれていた男の子が、俺の側へ来て、泣きながら俺の名前を呼んでいるのが分かる。あれ、この子に俺の名前教えたっけ? そもそも何で見ず知らずの俺に構うんだ?
徐々に視界がぼやけ、暗くなっていく。ああ、この感じ、前にも似たようなことがあったな。
そんなことはともかく、俺の死が無駄にならないような戦いになっていればいいけど。
けどあれかな、最後にクロの顔と声聞きたかったな。将来嫁になってもらう為に、指輪まで買っといたけど無駄だったかな。
一応、遺言書に想いは書いてある。これは、死を前提(というのはおかしいが、いつ死んでもおかしくないので、強制で書かされる)とした職なので、遺言書を書くこと自体は、当たり前なことである。俺が仮に死んだとしたら、時間次第だな——
お久しぶりです、Kしゃんです。
更新日数がかなり空いてしまいました、本当に申し訳ありません……
忘れられてたら泣きます。覚えていてもらえても泣きます。勿論、感動的な意味でです。
今回更新した「第四話 」は、巨大蛇龍を倒す途中経過を記したものです。
アクションシーンがあると思いますが、アクション系小説等を殆ど読んでいなかったが為に、まだまだ未熟な表現となっております。温かい目で見守っていただけたらなと思います。
今後とも、「なうきょうだい?」をよろしくお願い致します。