あの日から…
Bar pomegranateを演じていた、
劇団青二才の美月のお話です。
「克也さんの方がマシだったかも…」
劇団青二才出身の脚本家兼俳優の
あたし 臼倉美月は自宅のパソコンとにらめっこしながら、
ため息ばっかりついている。
あたしがにらめっこしてるパソコンのモニターには、
【脚本の進行状況の確認】
ってタイトルの確認メールが表示されてる。
差出人は、伊達凱さん。
所属してた劇団の先輩 明智克也さんの昔から仲がいい、俳優さんで、今回克也さんと伊達さんの2人芝居の脚本を頼まれてる。
まぁ、メールの内容を簡単にいうと、
「早く脚本を納品しろ。」ってかいてある。
「…最近、芝居してないなぁ…。」
3年前、Bar pomegranateが上演された後、
高評価を受けてから有り難いことに、脚本の依頼が増えたり色々忙しくしてるけど…
そんな独り言を呟いた瞬間
LINEの着信音がタイミングよく鳴り響いた。
あたしは、通話を取りスピーカーモードに切り替えた。
『お疲れ様です。』
「お疲れ~。笹木くーん、助けてよ~。」
『また、伊達さんからメール来たんですか!?』
「そーなの。ってかさ、あたし最近、芝居してなくない??」
『そういえば、パーマグラネットが注目されてから、美月さん…芝居してないですねぇ。』
「でしょ??笹木くん、芝居の仕事来て無い??」
今あたしが話しているのは、
笹木敬音くん あたしのマネージャーをしてくれてる。
『…残念ながら、今のところ無いですね。』
話し声に混じって、キーボードの音が聞こえるから、仕事しながら連絡してるらしい。
『本題ですが、美月さん』
「はいはい。」
『明日締め切りのコラムが、2件。
今月中に締め切りは
脚本が、舞台1本 ドラマ脚本のチェックが3話分ですが、大丈夫ですよね??』
えっ…そんなにあったけ。
『まさか、全然終わってないなんてこと無いですよね??』
「…コラムって、明日何時までに出せば大丈夫??」
『その感じと、全然書けてないんですね…。』
笹木くんそこまで、までお見通しか…
『とりあえず、この電話終わったら、必ずコラム書いて下さいね。』
「笹木くん、克也さんに似てきたんじゃない??」
克也さんは、めちゃくちゃスパルタだったけど、
本人は俳優の仕事が忙しくなったから、
劇団メンバーのマネージメントは、劇団の若手スタッフに任せてる。
『まぁ、明智さんに憧れて劇団に入ったんで、似てきたのか、明智さんのアドバイスもありまして…』
ちょ…克也さんのアドバイスって、なんか怖いんだけど。
「怖いから、克也さんからどんなこと聞いたかは、聞かないでおく。」
『その方がいいと思いますよ。』
「だよね…。さてと、早いこと締め切り片付けちゃうかー」
『よろしくお願いします…伊達さんと明智さんのも早急にお願いしますね。』
「わかってるって!!やるから。」
『じゃあ、よろしくお願いします。』
「はいはーい。」
電話が終わるとあたしは、スマホを机の隅において
作業に入ることにした。
…そのあと徹夜して必死に締め切りを終わらせた。
3年経っても美月は相変わらず
締め切りを守ってませんね。
作者である私はちゃんと守りますよ。締め切り。