━━━第七章・白き三ツ鱗と黒き震皇━━━ 17
筆名・嵯峨 卯近
ワープロ原稿紙 A4・39字詰め34行 / 126枚
※2009年に、とある新人賞へ応募した小説で、同時に人生初の長編作品です。
結果は、一次選考突破で二次選考落選でした。
話の作り方が強引なのと、キャラ視点がブレているのと、和風世界なのに現代用語使いまくりで違和感が激しいのと、問題点が結構あります。
あと、あらすじは当時の応募規約に則って書いたもので、思いっきりネタバレになっております。
以上の注意点を踏まえて、長々とした拙い小説ではございますが、読んでいただけると幸いです。
「なんという……、事でしょう……か」
震皇の放った黒震破は──島一つ沈めた事があると、過去の記録に残されている。
おそらく、双七の身体は跡形も無いだろう。
「これでもう……、キサ君にあ~んな事やこ~んな事が、できなくなっちゃったじゃないですかぁ!」
両手をワキワキと卑猥に動かしながら、セクハラ一代男の厳時は涙目で叫ぶのだった。
【最低だな……】
黒露大蛇にツッコまれたら、おしまいである。
「ごほんっ……、まぁおかげで……」
冗談はさておいて──と、大きく咳払いした厳時は、
「…………アナタ様の弱点が、お髭だった事が分かりましたよ?」
藪から棒に、とんでもない結論を言い放った。
【ほぅ……、何故そう思うのだ?】
縮地を使って鎌槍を手にした黒露大蛇が、興味深そうに目を細めながら問い返す。
「ほら、今もそうですよ。お髭が動きましたよね? アナタ様が震皇の能力を使う時、にょろにょろと動いているんですねぇ」
【……よくぞ、見抜いたと褒めてやろう。ただ、気付くのが遅すぎたようだな。白露が託した三ツ鱗の<もののふ>とやらも、残るはお前ただ一人。どう足掻いても髭すら切れまい!】
勝利は、もはや揺るがないと判断したのか。黒露大蛇は自らの弱点を肯定した。
「さてはて……、それはどうでしょうかねぇ?」
敵の勝ち誇った笑い声を聞きつつ、ニヤリと口を歪める厳時。その目は、まだ諦めていない。
甲羅割大薙刀を豪快に一度振り回した後、腰をぐっと落として力を溜める。
【ムシケラとは、愚かでしぶとい生き物だったよのぅ……】
黒露大蛇は鎌槍を中段に突き出し、守護の構えを採った。
両者──微動だにせず。冷たい突風が吹き荒れ、体温を奪ってゆく。
「お髭、頂戴|っ!」
厳時が鋭く叫び、溜めた脚力を一気に解放して翔んだ。大薙刀を右手で一回転させ、横薙ぎと見せかけて縦に振りかぶる。
その姿を見上げた黒露大蛇は、己の迂闊さを思い知った。朝日がバックになるように、相手は計算していたのだ。




