━━━第七章・白き三ツ鱗と黒き震皇━━━ 15
筆名・嵯峨 卯近
ワープロ原稿紙 A4・39字詰め34行 / 126枚
※2009年に、とある新人賞へ応募した小説で、同時に人生初の長編作品です。
結果は、一次選考突破で二次選考落選でした。
話の作り方が強引なのと、キャラ視点がブレているのと、和風世界なのに現代用語使いまくりで違和感が激しいのと、問題点が結構あります。
あと、あらすじは当時の応募規約に則って書いたもので、思いっきりネタバレになっております。
以上の注意点を踏まえて、長々とした拙い小説ではございますが、読んでいただけると幸いです。
標的をいかめしい緋色の鎧武者に移した黒露大蛇が、鎌槍を頭上で一回転させ、その遠心力を加えた足払いを繰り出す。
対する厳時は、天高く跳躍してその一撃を避けた後、気合いの雄叫びを上げながら大薙刀を両手で握りしめ、渾身の力で縦に振るった。
「むぅおおおおおおぉぉぉ」
黒露大蛇が居たと思われる場所に、純粋な剛力による衝撃波が炸裂。大地をえぐったそれは、大量の土埃を巻き上げて視界をさえぎる。続いて、真っ向唐竹割りの体勢で重力に従いながら、厳時がその中へ突入する。直後、地面を砕いた音が響き渡った。
縮地で範囲外へ脱出していた黒露大蛇が、ニタリと笑ったのも束の間。猛スピードで土煙をぶち抜いた厳時が至近距離へ肉迫する。
地面スレスレに薙ぎ払われた大薙刀を小さく飛び越え、鎌槍の石突で叩き返そうとする黒露大蛇。お互いの持つ長柄武器が不得手とする間合いで、熾烈な肉弾戦が展開される。
「一体、オレはどうしろってんだよ……」
双七の参戦する隙間は、まったく無かった。彼の眼前で繰り広げられる戦いは、常軌を逸しているのだ。その余波で巻き添えを食わぬようにするのが、せいぜいであった。
【食らうがいい、大震拳!】
にょろりと髭がうごめき、左手に発生した黒いオーラを握りしめる黒露大蛇。
「おっとぉ!」
紙一重で、虚しく空を裂いた左ストレート。そのずっと先にあった大岩が、木っ端微塵に砕け散った。キサが双七の身体を動かしていた時に食らった震拳とは、比べモノにならない破壊力である。かすっただけでも、脳震盪では済まされないだろう。
だが、どんな大技も、放った後には必ず大きな隙ができるものだ。もちろん、大剣豪と合体してその技術を持つ厳時が、それを見逃すはずはない。
【うぐおおおおおおぉぉぉ】
黒い胸板を深々と切り裂いた大薙刀。苦痛に歪む黒露大蛇の顔に、追撃の二撃目が加えられようとした直前──。
「また……、ですか…………」
縮地を使われ、仕切り直されたのだ。当然ながら胸の傷は、湯気を上げて瞬時に治った。
どんなに不利な状況でもリセットできる能力、縮地の効果はやはり絶大である。




