表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/105

━━━第七章・白き三ツ鱗と黒き震皇━━━ 13



          * * *


 太古の昔より、我ら[もののけ]は森羅万象の一切をつかさどっていた。

 いや──[もののけ]とは、後世の人間どもが我らをさげすむ為に作った言葉である。それまでは、土地神と呼ばれあがめられてきた。

 やがて、時を経るごとに傲慢ごうまんになった人間どもは、おのが尺度で、我ら[もののけ]を選り分けて、都合の悪い方を排除するようになった。

 そうやって、[もののけ]が狩り出された結果、気候が激変して天下は滅びに瀕した。土地の管理者が突然いなくなったので、至極当然の事ではあった。

 そこで、全国の土地をあるべき姿に戻す為に、一人の善良な人間と契約を交わす。

 <もののふ>の契約とは元来、我らが管理する土地を人間と共に守る為のもの。一所懸命という言葉の語源もそこから来ている。

 だが──愚かな一部の人間は、それを許さなかった。天下万民すべてのモノは、朝廷の持ち物だと主張したのだ。思い上がりもはなはだしい。

 ゆえに我らは、天に代わって人間どもに制裁を与え、その上で新たな秩序を築こうとした。

 それが──。

 朝廷とやらを敵に回し、五十年もの間──戦った〝震皇しんのうノ乱〟と呼ばれる出来事だ。


【愚かな人間どもよ、聞くがよい……吾輩わがはいの名は黒露くろ大蛇おろち鎮西ちんぜいの神である】

 そう名乗った彼の身体は、以前の姿をほとんど留めていなかった。

 髪は残らず抜け落ち、肌はヌメヌメと真っ黒につやめいている。ひょろっとした貧相なスタイルが、ゴツゴツと筋肉質なボディへと変貌し、身にまとう衣服はかろうじて牡丹ぼたん色のはかまが残っているだけであった。

 先程までの光房みつふさが操っていた震皇しんのうとは、まるで違う。外見の肉体は差し置いても、それより顕著なのが圧倒的なプレッシャーである。さすが神を名乗るだけあって、桁違いのものだった。

「あいつが……、黒露くろ大蛇おろち……かよ」

「これからが、本番という訳ですかねぇ……」

 さわやかで暖かな朝日の光が差し込んできた。しかし、それに似合わない一陣の激しく冷たい風が、大地に立つ三人の体温をさらってゆく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ