表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/105

━━━第八章・氷炎の仇討ち━━━ 終

筆名・嵯峨さが 卯近うこん

ワープロ原稿紙 A4・39字詰め34行 / 126枚


※2009年に、とある新人賞へ応募した小説で、同時に人生初の長編作品です。

結果は、一次選考突破で二次選考落選でした。

話の作り方が強引なのと、キャラ視点がブレているのと、和風世界なのに現代用語使いまくりで違和感が激しいのと、問題点が結構あります。

あと、あらすじは当時の応募規約に則って書いたもので、思いっきりネタバレになっております。


以上の注意点を踏まえて、長々とした拙い小説ではございますが、読んでいただけると幸いです。

「邪魔すんじゃねぇ! オレは、師匠のかたきを取らなきゃならねぇんだ!」

「でも、あんたの師匠はあだ討ちなんて望んでないんでしょ? バカアニキが伝えた遺言を忘れたの?」

「うっせぇ、それじゃあオレの気が済まねぇんだ! そこどきやがれっ、女子供の出る幕じゃねぇんだよ!」

 しがみつくキサを横へどかそうとしたが、ダメージを溜め込んだ身体が思うように動かない。

「ほらぁ、その女子供に支えてもらっといて何言ってるのよぉ!」

 足がもつれてコケそうになった双七そうひちを、キサが横で抱きかかえた。

 あまりにも情けないおのれに腹が立った彼は、

「うっせぇ……、うっせぇ…………、うっせぇよっ、ちっきしょう!」

 子供が駄々《だだ》をこねるように暴れ出した。

「ちょっ、ちょっとぉ、動かないでよぉ! きゃあ……っ!」

 弱っているとはいえ、男の強い力に抗えるはずもなく、彼女も一緒に倒れてしまう。

 そこへ──、

「ならば、が無条件で命を差し出せば……、気が済むのか?」

 微妙な具合にからまった二人を冷たい目で見下みおろろしつつ、利光としみつはとんでもない事を言い出した。

「ぇ…………お殿さまっ、そんなのダメですぅ!」

 口を両手でおおいながらびっくりした様子の雪音ゆきねが、そでを何度も引っ張る事で抗議活動をする。

「フザけんじゃねぇ! んな事で、気が済む訳ねぇだろうがよぉ!」

「だろうな……、そなたの本音はあだ討ちではない……」

「何言ってやがるっ、オレは…………」

と存分に戦い……、実力で上回りたいのであろう……、違うか……?」

 利光としみつはずばりと、自分でも分からなかった真意を当てた。くやしいが、その通りであったのだ。頭にガツンと食らわされたようなショックで、ただ呆然ぼうぜんと立ちつくす。

「そうだよ…………、ちっきしょ……う」

 敵を知り、おのれを知れば、百戦危うべからず──との言葉がある。今の双七そうひちに当てはめれば、敵を知るどころか、おのが事すらロクに知らないのだ。どうしようもない敗北を直感した事によって、口惜くやし涙がどんどんあふれ出してくる。

「今のそなたにくれてやるほど……、の命は安くない……、精進しょうじんを重ねて強くなるがよかろう……、さすれば、いつでも受けて立とうぞ……」

「ちっき……、しょおおおおおおぉぉぉ」

 無様ぶざまに男泣きする双七そうひち。緊張の糸が切れたのか、すぐさま意識を失って後ろへ倒れ込んだ。それをしっかりとキャッチしたキサが、

「もぉ、ほんとバカなんだからぁ……」

 満ち足りた表情で尻尾をパサパサ振りながら、彼の頭をでる。

「どうやら一件落着のようやな。ほんまどうなる事やと思うたでぇ……」

「青春ですよねぇ……、うらやましい限りです。わたくしめも分けてもらいたいものです」

 遠い目で、彼らの成り行きをいつまでも眺めている猿宝斎えんぽうさい厳時げんとき


 初雪は──白露はくろ様が微笑んでいるかのような安らぎを含んで、この鎮西地方ちんぜいちほうの為に生死を賭けて戦った全ての者を優しくなぐさめるように、まだまだ降り続けるのだった。






                                     了


もののふかたり、

ついに完結と相成りました。

まことに見苦しい小説ながら、長々とお付き合い戴きまして、ありがとうございました。

最後に、

新人賞公募原稿用として添えて送ったあらすじを書きます。

もし、新人賞に応募されるのでしたら、何かのご参考になればと思います。


梗   概


 元服間近で望まぬ初陣を迎えた双七郎は、師匠の最期を眼に焼き付ける。必ず、仇は取ると誓った彼は、ひたすら強くなる為に励む。そして、一年が過ぎ去った。

 されど、彼は未だに行き詰まりを感じていた。そう、[もののけ]が跳梁跋扈するこの世界において、武芸を極める為には<もののふ>に成らなければならない。それは、人間と信頼関係にある、[もののけ]と合体する事によって初めて成り立つもの。師匠に拾われ、兄妹のように育ったキサという狐の、[もののけ]を見ながら、憂鬱な溜息をつく。

 朝敵の汚名を着せられ、隠れ里でひっそりと暮らす双七郎とキサに、おつかいを頼む長老。しぶしぶ従った彼らは、目的を果たす途中で憎むべき仇の兄に襲われ、キサがさらわれてしまう。ひょんな事から知り合った、長老の相方である鮨屋台のオヤジが、黒き神の封印が絡んだ巨大な陰謀説を語る。それを打ち砕くには、師匠と共に朝敵として征伐された、この地方の守護神である白露様が遺した三枚の鱗を揃えなければならない。

 キサの救出と引き替えに、隠れ里が精鋭部隊に襲撃される。指揮を取るのは、師匠を殺した憎き仇、この鎮西地方を支配する評 利光であった。しかし、本当の黒幕は彼の兄である事が明らかになり、全ては陰謀通りに。黒き神を蘇らせ、その力を存分に振るう<もののふ>が、世界を破壊しつくそうと牙を剥く。

 一方、紆余曲折を経て三つの鱗が揃った。その力を以て強大な敵に立ち向かう三人の<もののふ>。キサと合体した双七郎。その仇である評 利光。最後に隠れ里の長老だった碓氷 厳時。追いつめられた彼らの一か八かの賭けが功を奏し、黒き神は消滅した。だが、全てが終わった訳ではない。師匠の仇を討たねば。と、今一度奮起する双七郎に対し、強くなれば挑戦を受けると告げた評 利光。満身創痍の彼らに、初雪が降りしきる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ