ある男の人生 年収約1,000万 結婚願望がある 55歳の場合
俺は大学卒業後、某大手企業の会社員で勤続33年目を既に迎えたが未だに独身だ。
一度も結婚した経験が無い。
現在の趣味は特に無いが、強いて言うなら・・・森林浴をしながらサイクリングで適度に汗を流すくらいだ。
母親が10年前に他界し、親父も6年前に他界した為、マイホームには現在俺一人で住んでいる。
もともと親父が郊外に一戸建ての家を持っていた。
親父が母親との結婚を機に購入した家に両親と俺との3人家族で住んでいた。
当時、都市計画か何かで親父名義の家の敷地の1/3が道路拡張で引っ掛かるかも知れないと役所から連絡も入っていたし、市報でも道路拡張計画の今後の予定として知らせが載っていた。
そんな経緯もあって慣れ親しんだこの市内で母親が家を探していた。
ご近所の住人達は、その計画に相当困惑し反対運動が起こり、市役所に直談判までする輩も数名居た。
最終的には、道路拡張計画が約3メートル程ズレた為、全く引っ掛からなくなった結果を知り、親父も俺も安堵したものだった。しかし、母親は随分と落胆した。
諦められなかった母親の強い希望もあり手狭で古くなった家を売却して、その金を頭金にすると言う話が出ていたのだった。母親的には、俺が結婚したら同居で嫁さんと孫達と一緒に暮らすと言う理想を思い描いていたに違いない。
それで庭付き一戸建ての家を約30年前に購入し、あと数年で住宅ローンも終わりる状況だ。
しかし、結婚相手がなかなか見つからない。別に高望みをしてる訳でもない。
恋愛経験は、それなりにある。
入社後2~3年くらいしてから、会社の忘年会だか新年会だか忘れたが・・・そこでたまたま違う部署に勤務してる俺好みの女性社員を見つけて声を掛けた。話してみたら意気投合し交際がスタートしのだ。
その当時、ウチの会社は社内恋愛に関して寛容だった為、特に問題は無かった。
まぁ、俺と彼女は違う部署だったし、上司に文句を言われた事は一度も無かった。
その彼女とは、Feelingが合い好みも嗜好も趣味も同じで、この娘となら人生を共に過ごせると思い、交際開始直後から結婚を意識して付き合っていた。彼女も俺との結婚を意識している様子で自宅デートも難なくクリアしたのだ。
俺は両親にも彼女を正式に紹介したし、母親の思惑通りに俺名義でマイホームを購入もした。
徐々に2人の距離は急速に縮み、結婚へと話が盛り上がっていたんだ。
母親的には、この機を逃したら夢が叶わなくなるとでも思っていたのかも知れない。
しかし、交際半年を迎えた頃だったろうか・・・同期で彼女と同じ部署に勤務している奴と久し振りに会った日に、「お前、○○ちゃんとやったのか? 彼女はかなりのヤリマンだぜ! 俺達の部署内ではかなりの有名人だし、社内で兄弟が多いって話だ。気をつけろよ!」とアドバイスを貰った。
その時の俺は、「何なんだ....今言ってた言葉の数々・・・意味がさっぱり解らない。」と思ったのだ。
自分なりに考えて気持ちの整理が出来たのは、その数日後だった。
それから、社内で個人的に交流関係がある同期や先輩方、後輩達に聞きに行ったりして、彼女の『裏の顔』と言うか、『黒歴史』と言うか、『本当の素顔』を知ったのだった。
結局のところ、彼女は結婚願望が物凄く強く、『寿退職』を1日でも早くしたがっている事を知った。
俺は彼女との交際直後から結婚を意識して、自宅にも呼んで両親に彼女を紹介したのにも関わらず、彼女は二股どころか五股くらい同時進行をしていたのだと知った。
いくら事実を知ったとは言え、直ぐに彼女に対しての気持ちが変わったのでは無い。
『好き』だったし、職場で会えば普通に会話もした。
突然、彼女からの連絡が途切れた数週間後、彼女が会社を退職した事実を知ったのだ。
彼女の居た部署の俺と同期の奴等、俺の部署の同期の奴等、その他の部署の同期の奴等と飲みに行った時に、彼女の話題や噂話で盛り上がった。
「○○ちゃん、寿退社したんだぜ。その相手は・・・ナント、○○部署の○○課長だよ。年の差婚の理由は《安定した所得》と《資産》狙いじゃないかってもっぱら噂だぜ。」
「○○部署の○○課長は、資産家って話だよ。」
「資産保有者が親なのか、○○課長本人だかは定かじゃないけど、都内で土地を所有していて貸しビルや高級賃貸マンションを何棟も持ってるって聞いた事あるもんなぁ!?」
「急遽、結婚式は3か月後に決まったってよ!」
「出来ちゃった婚だってよ!」
「妊娠発覚して○○課長と社内で揉めて大騒ぎしたらしいぜ。」
等々と口々に聞かされた。
その上、「お腹の子供の父親が、本当に○○課長なのかも不明だって噂だよ。」
「○○ちゃんとヤッタ奴等の間じゃぁ、ナカダシもOKだったって話だぜ!」
「○○課長は独身だけど、実際は本命の彼女が居て○○ちゃんとは遊びだったらしいよ。」
「出来ちゃったって結婚を迫られて、仕方なく本命と決別して○○ちゃんとの結婚する事を選んだんだってさぁ。」
「本命の彼女に支払った慰謝料は、相当な額だったらしいぜ。」
「結婚してくれないなら○○課長をセクハラで訴えてやる、とか騒いだから、○○課長が世間体を考慮して諦めたって話だよ。」
「職場の立場上もあるだろうしな!○○課長も気の毒だよな、ホント。」
と話が続き、社内の噂話に物凄い悪意を感じた。
その課長の年齢は、恐らく約45~46歳前後で彼女はまだ23歳だった。
彼女の家庭の事情は、ある程度本人の口から聞かされていたから知っている。
彼女の家庭は、母子家庭でまだ高校生の弟妹達にお金が掛かり多少なりとも、お金に困っているという話があったくらいだ。
2人のデートで外食した時などは俺がご馳走していたし、彼女が行きたいと言っていた場所にも車で送り迎えをして、彼女に負担が掛からないように努力もした。
彼女から一度も「お金を貸して欲しい。」とか「これが欲しいから買って。」とおねだりをされた事は皆無だった。
だから、俺はチマタで言われる『アッシー』や『メッシー』では無く、『正式なカップル』だったと信じていたんだ。
彼女の『寿退社』の真相を知って、俺はかなり落胆した。
彼女との思い出が甦り、なかなか彼女の事を忘れられなかった。
彼女が俺にとっての初体験の女性だったからかも知れない。
確かに・・・デートを重ねて何度目かの性行為の時に、彼女の方から『コンドーム無しの生がイイ』『ナカダシして良いよ。』と言われたのも事実だ。
俺との自宅デートを了解してくれた理由は、実家の資産を確認する為だけだったのか?
そう考えると、裏切られた気持ちで頭がイッパイになった。
『女』と言う生き物は、どこまで『男』を騙せば気が済むのだろう。
女なんて簡単に信じてはイケないような気がした。
そんな痛手を経験しても、やっぱり『幸せな家庭を築きたい』と思ってしまうのは『男の性』だろうか?
俺も出世した。
それなりに収入がある。
郊外だけど庭付きのマイホームも持っている。
高級車では無いが、つい最近(日本)国産の新車を購入したばかりだ。
俺の両親は既に他界しているから、親の介護の心配もなく嫁さんになった女性はそう言った気苦労が一切ない筈だ。
上司から後輩からも信頼はある。
毎日仕事が忙しく残業ばかりで全く出会が無い状況下にあるが、そのうち俺も『結婚』が出来るだろと確信している。
しかし・・・どうせなら俺と同年代じゃなくて若い嫁さんを貰いたいな。
日本人の女性には痛い目にあったしな、出来れば金髪美女がイイな。
俺は英語が全く話せないから、日本語が流暢に話せる色白の白人女性がイイな。
出身国は、カナダ・アメリカ・オーストラリアなどの英語圏でいずれかの国がイイかな。
ロシアは英語圏では無いが、ロシアには美人女性が多いから日本語が話せるロシア人なら許容範囲だ。
ハーフの子供と金髪美女の嫁さんに囲まれて老後は日本国内の田舎町でゆっくり過ごしたいな。
これからの俺の人生は、俺なりの夢に心が満たされている。
俺の人生設計は完璧だと思う。
55歳でいまだに独身生活が続いているが、不安どころか希望すら感じるよ。
だって、独身生活にもうすぐ終止符が打てると希望を持っているからな。
取りあえず、先に彼女を見つけないと・・・な。
どうやったら、日本語が話せる金髪美女と出逢えるか・・・それが1番の難題だな。