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悪魔の組織

車の助手席から高校生くらいの小柄な少女が降りてくる。

彼女はごく普通の高校の制服を着ていたが、なぜか銀色に輝く竪琴を片手にもっていた。

「眠い~」

少女は子供っぽいしぐさで目をこする。

「夜分申し訳ありません。なにしろ厄介な力を持っていますので。早く『封印』しないと」

連れてきたリーダー格の男は、なぜか彼女に対して遠慮しているような態度だった。

「わかったよ~。でも、明日学校に遅刻した組長さんのせいだからね」

少女はいたずらっぽく男に話しかける。

「本当にご迷惑かけますね。でも、あなたの竪琴は便利だから、ついつい頼ってしまうんですよ」

それに対して、組長と呼ばれた男は苦笑して頭をかく。

「お兄ちゃんに子供は早く寝なさい、勉強しなさいってお説教されているんだよ。夜中にこんなアルバイトしているのがばれたら……」

「俺が怒られますね。陛下には内緒ですぜ。もちろん会長にも」

にやっと笑って、組長は口の前に指を立てた。

「あはは、それじゃいこうか」

明るく笑って、少女は病院に入っていった。

「えっと、ここにあの子がいるんだよね」

メイが閉じ込められている病室の前で、最終確認をする。

「ええ。伝説の怪物の力に目覚めた、不幸な少女です。一刻もはやく魔力を封印してあげないと、姿まで変わってしまいます」

組長とよばれた男の顔には、同情が浮かんでいた。

「わかったよ。とりあえず説得して、ダメだったら眠らせてからゆっくり『封印』の処置に入ろう」

少女は部屋をノックした。

「こんばんは。えっと、それじゃ説明させていただきま……きゃっ! 」

「えい! 」

ドアを開けてメイに話しかけたとたん、いきなり突き飛ばされた。

不意うちだったので対応できず、そのまま転んでしまう。

手に持っていた竪琴も落としてしまった。

「だ、大丈夫ですか? 」

意外な反撃に、スーツの男達の反応が一瞬遅れてしまう。メイはその隙に部屋から逃げ出してしまった。

「しまった! 追え! 」

組長の命令で、周囲の男達がメイを追いかけていく。

「私は大丈夫だよ~。でも、なんで逃げ出したんだろ? 」

立ち上がった少女は服についた埃を払いながらつぶやいた。

「……どうやら、何か誤解しているみたいですね」

「組長さんたちがそんな変な格好しているからじゃない? 」

確かに黒スーツでサングラス姿のたくましい男達は、周囲に威圧感を与えている。

「このスーツは、俺達みたいな家業をしている男たちの制服みたいなもんなんですよ……」

決まり悪そうに組長は頭をかく。胸につけていた『誠』の金バッヂがキラリと光った。

「秘密なのに、一目で変な組織の構成員だとわかったら意味ないじゃん」

「……たしかに。まあ、一般人は俺達を見たら、別の存在だと思ってくれるんですがね……」

冷静なツッコミに苦笑いした時、病院内に警報ブザーが鳴り響いた。

「緊急事態です。多数の患者や職員が倒れています! 」

それを聞いて、少女と男が顔を見合わせる。

「大変だよ! 早く捕まえないと! 」

「出口を封鎖しろ! あの少女を逃がすな! 」

組長はきびぎびと指示を下す。部下達はメイを捕まえるために病院内に散って行った。


(はあはあ……お母さんを見つけないと! )

メイは必死の形相で、母親を探して病院内を探し回る。

興奮しているからか、メイの体には今まで感じた事がない力がみなぎっていた。

「な。なんだ! 」

「急に体が固く……」

メイと目が合った看護婦や患者の何人かが叫び声を上げて倒れるが、構っているひまはない。

しらみつぶしに見て回ったら、やっと母親がいる病室を探し当てた。

「お母さんになにをするの! 」

側には医者らしき男がいて、緑色の変な液体を点滴しようとしている。

メイはそれを見て、部屋に飛び込んでいった。

「な、なんだキミは、治療中だぞ! 」

白衣を着た男が狼藉を働くメイに怒鳴りあげる。

しかし、メイは男をみて、自分の判断が間違っていなかったことを確信した。

「やっぱり……あんた達、悪魔の組織だったんだね! 」

「あ、悪魔の組織? 」

男は白々しく首をかしげる。その背中からは、禍々しい真っ黒いコウモリのような羽が生えていた。

「とぼけるな! その羽、どうみても悪魔じゃない! 」

「悪魔? 確かに私は水の魔族だが……悪よばわりされるいわれはないぞ! 私はただの医者だ! 」

その男は不快そうにつぶやく。

「問答無用! お母さんを返せ! 」

メイは目に力を入れて、男を睨み付ける。

「こ、これは『硬直(ブロック)』……しまった……動けない……」

男はそのまま床に崩れ落ちていった。

「お母さん。大丈夫だよ! 」

点滴を外し、意識がない母親をおんぶして軽々と走り出す。メイはただの女子高生である自分が、いつのまにか超人的な体力を手に入れていることに気がついていなかった。


「エレベーターを封鎖! 」

「絶対に逃がすな! 」

自分を追ってくる男たちの声が聞こえてくる。

「まいったなぁ……どうやって逃げようか……」

逃げ道をふさがれ、メイは三階で進退窮まっていた。

黒いスーツの男達に捕まったら何をされるかと思い、恐怖に震える。

「あの~佐藤メイさん。怖がらなくていいよ。私たちはあなたの味方だよ~」

そんな少女の声も聞こえてくるが、メイはだまされなかった。

(近づいてくる……いったんどこかに隠れよう)

メイが女子トイレに駆け込むと、若い女性がいた。

「き、きゃーーーー! おばけ! 」

その女性はメイをみるなり、叫び声を上げて逃げていく。

「おばけ? ……失礼ね。でも好都合かも」

そのままトイレに隠れる。

「はあはあ……走り回ったせいかな? 髪がぐちゃぐちゃ」

頭に違和感を感じて触ってみると、なぜかドレッドヘアのように互いに絡まり合ってロープのような束形状になっている。

その時、誰かの優しい歌声が聞こえてきた。

(何だろ……綺麗な歌……)

興奮した気持ちが治まり、だんだん眠くなってくる。

(だめ! ここで眠ったら、お母さんが! )

必死に気持ちを奮い立たせる。次の瞬間耳に何かが入ってきて、歌声を遮断した。


本編はこちらになります


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活動報告に「反逆の勇者と道具袋」11巻と文庫版1巻の情報を載せました


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