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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

ファンタジーっぽい

時任愛美璃は容赦しない―異世界『百合』ハーレム計画

作者: 風見鶏
掲載日:2016/04/23

突発的に勢いだけで書いてしまいました。問題作。タイトルがしっくり来なくて、何度か変更しています。

「あなたにお願いがあります。この世界を救って下さい」


 彼女の名前は女神ティアマト。

 とても綺麗な女性で、ちょっと獣っぽいけど、ドキドキする。お近づきになりたい。

 彼女はわたしを、勇者としてこの世界に送り出したいらしい。


 彼女が生み出してしまった、混沌の魔王ドゥンケルハイトを倒して欲しいということだ。

 この容姿で経産婦だと。やばい。どうしよう。ドキドキする。


 わたしに、勇者の力を与えると言っていた。


「身体能力の向上」

「神聖魔法」

「魔力の増大」

「魔法耐性」etc……


 彼女が与えられるすべての力をわたしにくれた。

 これって、もう、結婚したのと同じだよね! ね!

 わたしがそう迫ったら、なんだか困った顔をしていた。解せぬ。

 魔王を倒したら、キスぐらいさせてくれるって言ってくれた。わーい。



 正直、勇者の力とか、世界とかわたしにはどうでもよかった。

 ただ女の子といちゃいちゃ出来ればそれでよかったのだ。







 わたしの名前は、 時任愛美璃(ときとうえみり)。年齢は秘密だ。

 ここに来る前は女子高生と呼ばれる生き物であった。

 でもだめだ、だってみんなノーマル過ぎるんだもの。

 ちょっと、わたしが過激なスキンシップをすると、引いちゃうんだもん。フラストレーションがたまるたまる。

 女の子同士だし、頬ずりして、耳たぶを噛んだりするくらい普通だよね?

 ちょっと服の中に手を入れたり、スカートをめくろうとするのも普通だよね?


 そう、わたしは女の子が好きだった。

 だって、男の人ってなんかごつくて柔らかくなさそうなんだもの。


 女の子は、女の子だけで可愛いのだ。わたしが断言する。

 ふわふわして、甘くって、マシュマロみたいだ。


 マザーグースの『女の子はお砂糖とスパイスと素敵な何かで出来ている』って素晴しい言葉だと思うの。


 とにかく、この世界に連れてこられたからには、自分の欲望のまま、女の子といちゃいちゃしようと思う。




 この世界がピンチだというのは本当だと思った。

 わたしが森の中を歩いていると、モンスターがやってきたのだ。

 ゴブリンだとか、コボルトだとか。

 片っ端からなます切りにした。可愛くないものは去れ。


 ああ、これはいよいよもって世界の終りだ。

 だって、可愛い女の子に出会わないんだよ!

 RPGの基本でしょう。森の中を探索していると、可愛いヒロインが出てきてモンスターに襲われる。それを颯爽と勇者が助けるってお約束でしょ!

 だからわざわざ村が見えていたのに、森の中を横切ってきたというのに。


「ああ、女神よ。なぜわたしを裏切ったのですか!」


 なんて叫んでみた。


「ひっ」


 がさり、と音がした。

 第1村民発見! しかも女の子だよ女の子!


 すーはー。深呼吸深呼吸。

 よし。こう言うときの言葉があったはずだ。


「お嬢さん。お逃げなさーい」


 違う。これ違う。熊だ。襲う方だよ!


「え?」


 すろと、少女の後ろから、でっかい鬼のようなものが現れた。

 ゴブリンをすっごくでっかくしたようなやつ。


 汚い手で、少女に掴みかかろうとする。

 少女の瞳が、恐怖で見開かれる。


 わたしはざぁぁっと駆けた。

 沸騰したと言っても良い。

 そして、そのでっかい鬼を逆袈裟に斬り上げる。

 ざくぅっと汚い腕を切り裂いた。

 女の子は世界の宝だ。それを汚い手で触ろうとするなど許せん。


 わたしは切り上げた刀を戻すと、今度は肩口に刃を入れる。


「ワン・フォー・ガール。ガール・フォー・ワン!」


 と叫んでするり、と滑らせた。


 ――コトリ


 という音が聞こえたと思う。

 大鬼は倒れ、身体は斜めに真っ二つになったのだった。


「悪は去った」


 女の子は目をぱちくりとさせていた。可愛い。持ち帰りたい。

 しばらく時間が経つと、ようやく自分の置かれていた状況が分かったのか、ぺたんと座り込んでしまった。なにこれ可愛い。


 わたしは、頬ずりしたくなる気持ちを抑えて、そうだ、今はその時ではない。

 彼女に手を伸ばした。


「大丈夫かい。立てる?」


 すっごくハンサムな声だったと思うの。

 そうすると、女の子はわたしに縋ってきたのだ。役得役得。




「許せん!」

「ひっ」


 この女の子の名前はアリアと言うらしい。

 それよりもわたしが憤っているのは。


「女の子を生け贄にするなんて。神が許してもわたしが許さん!」


 今晩、大蛇ウィントの生け贄になるのだという。

 そうして、半年の間だけ暴れないようにしているという。

 アリアは、最後に好きだった野苺を食べに来たという。なんていじらしくて愛らしい。はぁはぁ。


 とにかくそんなことはわたしがさせない。


 村に戻ると、アリアは怒られていた。大事な身体等と言っていたが、それがわたしには許せなかった。

 でも、今は我慢だ我慢。ここで怪しまれてしまえば、アリアについていき、大蛇を倒すという壮大な計画がパーになる。


 村にはエルヴィンという少年がいた。

 どうやら、アリアに懸想をしているようだ。

 アリアも憎らしく思っていないようだった。


 なんだ。なんだそうだったのか……。


 これはもう、アリアを……寝取るしかないな。


 女の子を男の子になんて渡さないもんね。

 すっごく格好良く活躍して、アリアのハートを射止めてやる!


 がぜんやる気が出てきたぜ。恨むんなら、己の無力さを恨むのだ!

 力がないとかそういうことじゃないんだ。動かなきゃだめだよ。


 わたしは夜になるまで待った。




 潜入はすんなりと行った。

 白っぽいフードを被ればばれないというザルなものだった。


 そこはおあつらえ向きな山の中腹。

 岩がごろごろと転がっていた。

 洞穴とかありそうだ。



 アリアをその場所に置くと、村の連中は帰っていったようだ。

 その中にはエルヴィンも居た。

 エルヴィンは1度だけ振り返ったようだったが、顔を伏せ、そのまま去っていった。


 さぁ、ここからわたしのハーレム計画の第一歩がはじまるのだ!

 小躍りしそうになる気持ちを抑えて、わたしは待った。


 やがて、30分くらい経ったころだったか。


 ずる、ずる、となにかが這い寄る音が聞こえたのだ。


 それは蛇だ。


 鉄塔ほど長さのある蛇。


 大蛇ウィントだった。



 少女の前に行くと、にやりと笑う。


「けきゃけきゃけきゃ。お前が今回の生け贄か。けきゃけきゃ。俺はお前を丸呑みにするよ。するとどうなるだろう。想像してごらん。俺にひと呑みされる瞬間を。お前は生きたまま俺の腹の中に入るのだ。けきゃけきゃけ。ゆっくりとゆっくりと、俺の消化液は弱くてなぁ。1週間は溶け続けるだろう。ほうら。想像してごらん。けきゃけきゃけきゃ」


 なんて外道だ。

 ちょっと涙目になってるアリアちゃん可愛い。

 怖がらせるなんてひどいやつだ!

 ああ、頭なぜたい。可愛がりたい。

 わたしが成敗してくれる!


 わたしは躍り出ると、アリアと大蛇の間に立つ。


「なんだお前は。おまけの生け贄か。食い応えはありそうだが……まずそうだ」

「なにをこのっ、失礼なやつめ。わたしはお前を退治しに来たのだ。さぁ、懺悔の言葉は考えたかな」

「けきゃけきゃ。人間風情が俺に? 舐めるな!」


 大蛇は、くっとしなを作ると、鞭のようにしなる尻尾をわたしにぶつけてきた。


「ぐっ」


 あまりの衝撃に剣を取り落とすところだった。

 勢いよく山肌に叩きつけられる。


「あ、お姉さん!」


 アリアが心配している。だめだ、顔が緩む。がんばれる。


 わたいしはぺっと口から血の混じった唾を吐き出すと、再び剣を構える。


 また大蛇がしなをつくる。

 しかしそう何度も同じ手には引っかからない。

 わたしは身体を低くして避けると、大蛇の身体に剣を突き立てた。


 ぬるぅぅぅ。


「えっ?」


 剣が滑った。

 刃が通らないのだ。


「けきゃけきゃけきゃ。俺の身体は特別せいでなぁ。刃物なんかは通さないのさ」

「くそう。卑怯だぞ!」


 困った。

 でも、剣が効かないなら魔法とか。

 あまり練習してないから自信がないな。

 そうだ、思いっきりぶん殴るのはどうだろうか?


 わたしはその辺の大岩を拾い上げると、大蛇に向かって放り投げた。


「けぎゃっ。貴様ばかか! そんなものを喰らって、怪我でもしたらどうするつもりだ!」


 効果があるらしい。

 わたしは適当な大きさの岩をかき集める。

 そして、大蛇から距離を取ると、投げ始めた。


「おんどりゃぁ、死にさらぇ!!」


 子供の頭ほどもある岩を、間髪入れずに投擲し始めた。

 そして、大蛇にぶつかる食べに、ごりゅ、どぎゃとか鈍い音を立てて割れた。

 たまらず血塗れになる大蛇。これは行ける!


「ぐぅぅ。こんな。こんなことが……。俺が、俺が負ける? こんなゴリラ女なんかにぃぃ」「ゴリラとは失礼な奴だ。これでもくらえ」


 特大サイズの岩を投げてやった。

 ぐちゃ、って音が聞こえた。いやぁ、気色悪い。


 大蛇はほうほうの体で逃げだそうとしていた。



「くそ、覚えてやがれ、この恨みは、いずれ晴らす」


 呪詛の言葉を吐くと、岩山の穴にぬるりと入り込んでしまった。

 その穴は、大人ほどの大きさであったが、入るわけにも行けない。


「く、どうしたら……」


 と、悩むふりをしていた。

 なんとなく逃げるんじゃないかと思っていた。

 その時にはこうしてやろうって思ってたんだ。


「よし。燻そう」


 わたしは、ありったけの魔力を使い。穴に向かって火炎魔法を送り込んでやった。


 ごうぅっと、音を立てて炎が立ち上る。

 ついでに、良く燃えそうな木とか、煙が出そうな葉っぱもつめて置いた。


 10分くらいたった頃だろうか。

 アリアも手伝って、木を穴へと放り込んでいた。

 わたしもさすがにこれだけ長い間、魔法を使っているとくらくらした。


 するとあら不思議。

 岩山の至る所で煙が上がってきたではないか。

 自然現象って怖いな。

 こんな火のないところでも煙がでるんだもの。

 きっと温泉でも湧いているんだな。


 ちょこちょこと動くアリアを愛でながらそんなことを考えていた。


「があぁぁぁぁぁっ」


 どうやら主役の登場だ。

 たまらなくなって穴から這い出てきたようだ。


 身体はぷすぷすとなぜか黒ずんでいて、なぜか火傷を覆っているようだった。


 わたしはその瞬間を逃さない。


 岩と木と蔦と紐で作った即席のハンマーだ。

 それを、大蛇の頭に――叩きつけた。


 ぐちゃりと、柔らかい感覚がすると、大蛇はびくびくと何度か跳ね回ると、やがて動かなくなった。

 こうして、わたしの初のクエストは終了するのだった。




 村に戻ると、驚かれるのと同時に喜ばれた。

 そして、あのエルヴィンもはにかみながら近づいて来るではないか。ぺっ。


 アリアと何度か会話を交わす。

 ああ、駄目だったのかな……。悔しいよ。


 アリアがわたしの方を振り返る。


 きっと最後は「ありがとう。わたしエルヴィンと幸せになります」って言って終わるんだ。さらば、わたしのハーレム計画。


「お姉様……」


 と、潤んだ瞳でわたしを見るんだ。


 よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。


 勝った。絶対勝った。わたし勝ったよ!


 こうしてわたしは、ハーレム候補第1号のアリアを手に入れるのだった。

ここまで読んで下さって本当にありがとうございます。

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