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俺はあの生徒会長に実力で勝てるのだろうか?そんな事より今日はデートだから外に出よう。

 俺は中学校の頃から喧嘩をやっているが、


 「約束通り、ぶっ飛ばしました!」


 あれ程強い奴には会った事が無い。


 俺は所詮、井の中の蛙だ。


 だから、そんな蛙らしく井の中に納まっておくべきなのか。


 それとも大海を泳ぐ魚に変わった方が良いのか。


 俺としては魚に変わりたい。


 だが、二年生や三年生との実戦経験は一年生では絶対に埋まらない。


 埋まらないから、俺はまた努力をさせてくれない・・・


 でも俺は諦めない。


 努力をさせてくれなくて力が弱くなっても、心だけは弱くなってはいけない。


 心が弱くなったら食い物にされるか、自ら死ぬだけだ。


 広い世界には、どこかに打開策はある。


 俺の場合は・・・




 (見つけた・・・これが死神の剣か。)


 リスクがある代わりに、物凄く強くなれる剣とかだな。


 この剣の場合は、宿っている死神に支配されなければ間違いなく今のミル先輩の十倍は強くなれるだろう。


 (なに・・・支配されても別に良い。どうせ俺は否定されている・・・悲しむ奴なんかいる訳無い。)


 俺は剣の柄に手を掛けた。


 (ぐっ、流石に少し頭が痛い・・・だけど俺は負けない。必ず死神の剣を手にして俺の努力を踏みにじった奴らを葬る・・・そして次に強い奴を倒す・・・)


 俺は頭の痛みに耐え、とうとう剣を抜く事に成功した。


 (抜けた・・・)


 俺は心の中でほくそ笑み、その剣を一回振ってみた。


 すると剣の周りを囲んでいた地形の一部が吹っ飛んだ。


 (良し・・・これなら行ける・・・待ってろよ小学校と中学校のクソ恩師共め・・・何だ?頭が痛い!やめろ!俺は・・・俺は復讐を・・・)




 「ガアァァァァァ!!!!!!!」


 俺は痛みで目が覚めた。


 (あれ・・・?今のは夢・・・?イデデデデ!!!!!頭がイタイ!!一体何が・・・)


 俺の頭に手を当ててみると、誰かが俺の頭を掴んでいる事が分かった。


 (って、誰かってマユしかいないじゃ無いかよ・・・)


 俺は顔を起こし、


 「マユてめぇ!一体何の真似・・・何で上裸なんだ?」


 言ったが、途中でマユが上半身のパジャマを着ていなくて、左手で胸を押さえている事に気付いた。


 「何ってダイガさんが脱がしたんじゃ無いですか・・・」


 「俺が?いつ?何で?」


 「私がダイガさんを起こしに来たら、ダイガさんが私の腕を掴む位うなされててました。」


 あの夢の中の剣の柄の感触はそれだったのか・・・


 「悪夢でも見ているのかと思い、私はダイガさんの頭を撫でました。そうしたら手で私のパジャマを引っ張ったんです。」


 なるほど、少し頭が痛かったのはその所為で夢の中で剣を抜いた拍子にマユのパジャマが緩んだと言う訳か。


 「そして、俺が腕を振ったらマユのパジャマが完全に脱げたと。」


 「・・・はい、そうです。」


 「取りあえず、俺は向こう見てるから上着たら?」


 「そうします・・・」


 そして俺は向こうを見た。


 「少しは私の・・・に・・・してくれても・・・」


 「何か言った?」


 「何も言ってません!」


 やっぱり気のせいか、マユが自分の胸に俺が動揺しないと言っているんじゃないかと思ったけど・・・


 「・・・終わりましたよ。」


 その言葉に俺はマユの方を向いた。


 「じゃあ俺は出かけるから。」


 「え、どこにですか?休日なんですから家にいたら良いのに・・・」


 「今日はデートの日だから出かけなきゃいけないんだよ!」


 「そうですか・・・え、デート?」


 「そう、だから俺は出かける準備をする!」


 俺はマユがいる事を無視して着替えだした。以外にもマユは俺が着替えているのに大急ぎで出て行かなかった。それどころか何故か呆然としていたので、俺はマユを無視して台所に行き、簡単に朝食を済ませて俺は外に出かけた。




 別に当ては無いが、今日はデートだ。何とか家を9時前に出れたので、4時24分まで家に帰ってはいけない。取りあえず俺は本屋で小説を立ち読みしに行く事にした。




 「・・・・・・・・・・・・」


 特に小説の台詞を喋る訳でも無く、俺は静かに立ち読みをしていた。


 それにしても本屋は良い、いつまでも時間を忘れていられる。


 そんな暇つぶしを邪魔するものと言えば、


 「すいませんお客様、立ち読みはお断りしているのですが・・・」


 そう、本屋の店員だ。


 包装用のビニール代をケチった中年の男の本屋の店員のお断りなんか聞く必要は無い。無視だ、無視。


 「すいませんお客様、立ち読みは・・・」


 うるさいな、いくら儲けが単価の十分の一ぐらいだからって立ち読みを断る位ならいっそ注文制にしたらどうだ?それならこんな立ち読みを注意せずに済むぞ。


 「すいませんお客様、立ち読みはお断り・・・」


 あぁ!もう分かったよ!立ち読み止めりゃ良いんだろ!?


 そう思って俺が小説を置くと、店員は何も言わずに立ち去った。


 俺が喧嘩で有名だからそんな態度なのか?


 「すいませんお客様、すぐに椅子をご用意いたします。」


 て、おーい!俺と対応が違い過ぎ!


 「あ、どうもありがとうございます。」


 しかも女子!畜生あの店員、いつか倒す!


 俺はイライラしながら女子の後ろを通り、帰ろうとしたが・・・


 「この人痴漢です!今私のお尻を触りました!」


 とか言われても面倒なので、俺は思いっきり遠回りしてドアへ向かった。


 「キャッ!」


 「うわっ!」


 ドアへ向かう途中、その女子と衝突してしまった。


 「すいません、大丈夫で・・・」


 俺は謝罪の言葉を入れたが、女子は無視して会計へ向かった。


 畜生、あいつもぶっ倒してやる!


 俺はイライラが増して出て行こうとしたが・・・


 「あれ?辞書が落ちてる・・・」


 あの女子の物だろうか?放置しておくのも悪いので俺はその辞書を拾った。


 (え?軽い・・・何で辞書が軽いんだ?)


 何故か分からないので、俺は中を確認してみた。


 (何だ・・・?小さい本やらタンスやら机やら・・・ままごとの道具でも収納しているのか?)


 「あ、あの!」


 突然誰かの声が聞こえたので振り返ると、会計に向かった女子が立っていた。


 (あ、いけない。何でも良いから返さないとな。)


 俺はすぐに返そうとしたが、


 「え、何!?」


 突然その女子に腕を掴まれた。


 「うわー!何だ何だ!?俺は痴漢なんかやってねぇー!」


 そしてそのまま俺はその女子に連れて行かれた。

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