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果たして、喧嘩部は今後も続けて行けるのだろうか。

 「そして、私達の喧嘩部は昨日のダイガさんの活躍や生徒会長のご協力により続ける事が出来ました。これは大変喜ばしい事です。喜ばしい事なのですが・・・」


 喧嘩部の部室で演説をしているマユが少し言いよどみ、


 「何でその生徒会長はメイドの格好をして茶を淹れてるんですか!!」


 「「しかも苦いだけで美味しくない・・・」」


 マユが生徒会長ことミルに突っ込みを入れ、ダイガとガントはお茶の味にダメ出しを入れた。


 「でも家とか生徒会とかではこれで大丈夫でしたけど・・・」


 「ここは喧嘩部ですよ、喧嘩部ではこれでは駄目です。」


 「なる程・・・分かりました、ダイガさん。美味しいお茶を淹れられる様に頑張ります。」


 ミルは満面の笑顔で答えた。


 「アハハハハ・・・」


 ダイガもつられて笑った。


 「う~」


 マユは唸り声をあげた。


 「あの皆さん?昨日から気になってた事を言っても良いですか?」


 ガントが突然質問した。


 「何だガント、藪から棒に。」


 「ダイガ、お前は昨日ミル先輩に喧嘩を申し込んだ時こう言ったよな?前から生徒会長に興味があるんですよって。」


 ガントの言葉にダイガはキョトンとした顔をして、マユは不機嫌な顔をして、ミルは顔を赤くした。


 「言ったけど・・・それがどうした?」


 「生徒会長と言うのはミル先輩の事か?それとも生徒会長と言う役職の事か?」


 「役職の事に決まってんじゃん、何言ってるんだ?」


 「「え・・・?」」


 ダイガが即答したので、マユとミルは驚愕した。


 「あ~やっぱりそうか・・・九割方そうなんじゃ無いかと思ってた・・・」


 「むしろ何で俺がミル先輩に興味示さなきゃいけないんだ?」


 「失礼だろミル先輩に・・・あれ?ミル先輩は?」


 いつの間にか、ミルがいなくなっていた。


 「あれ?ドアが開いてる・・・」


 ダイガが廊下に出ると、ミルが廊下をトボトボ歩いていた。


 「おーい!ミル先輩!どこ行くんです・・・」


 「うわーん!!!」


 突然ミルが泣き出し、そのまま走り出した。


 「・・・・・」


 ダイガは呆然として、追いかける気にもなれなかった。


 「あーあ、明日ニュースになるな・・・」


 ガントがそう呟いた。




 「だから俺はミル先輩を泣かせられるほど喧嘩強くねえってば!!」


 ガントの呟き通り、ダイガがミルを泣かしたとして学園中の話題になっていた。


 ダイガは実力不足でそんな事は不可能だと弁明したのだが、


 (((実力じゃ無く、精神的に泣いたんじゃないのか・・・?)))


 ダイガに弁明された全員がそう思った。


 「ミル先輩に謝って来たらどうなんだ?」


 ガントがそう提案した。


 「え、何で?」


 ダイガは何で泣いたのか分かっていない様だ。


 「今までやった事を振り返ってみたらどうですか?」


 そうマユが提案して来た。


 「今までやった事・・・?」


 ダイガはミルと出会ってから今までの事を思い出してみた。


 「あ・・・あれかな?」


 そしてダイガは一つ思い当たる節があった。


 「「あれって?」」


 ガントとマユが同時に言った。


 そしてダイガは、


 「ミル先輩が本気も出していないのに俺が喧嘩で勝ったと言った事か?」


 思いっきり見当はずれな事を言った。


 「「そこじゃ無い!どこまで戻ってんの!?」」


 ガントとマユが同時に突っ込んだ。


 「え、違うの!?だったら残る可能性は・・・」


 ((どうせまた見当はずれな事を言うんだろうな・・・))


 ガントとマユが心の中で同時にそう思った。


 だが・・・


 「俺が言った生徒会長に興味があると言う意味をガントが言った前者と後者の理由の内、前者だと思い込んでいていたと言う理由しか考え付かないけど・・・」


 大正解をダイガは言った。


 (正解だ!それで正解だ!)


 心の中でそう突っ込んだ。


 「また見当はずれだったか?」


 ガントとマユは目を逸らした。


 「やっぱり見当はずれか・・・」


 ((違う!断じて違う!と言うか逆!))


 「あぁ、もう分からん!良し、何だか分からんが謝ろう!」


 ((あぁ、もう好きにして・・・))


 ガントとマユはもう諦めた。




 そしてダイガはミルのクラスへ乗り込んだ。


 「失礼します!ミル先輩に話がありまして!」


 ダイガがミルを見つけたので、駆け寄った。


 「ミル先輩!」


 「・・・・・・・・・」


 「ミル先輩!」


 「・・・・・・・・・」


 聞こえていない様なので、ダイガは嘘を付く事にした。


 「大変です!喧嘩部が吹奏楽部に襲撃された!」


 (((何故吹奏楽部!?)))


 ガント、マユ、そのクラスにいた全員が心の中でそう突っ込んだ。


 「何ですって!?私に任せてください!今すぐ吹奏楽部をギャフンと言わせてやります!」


 ミルが勢いよく立ち上がり、吹奏楽部に突撃する為に走り出したが・・・


 「今のは嘘です。」


 「え――・・・ギャフン!」


 ミルが立ち止まり、前に倒れ顔をぶつけギャフンと言った。


 「大丈夫ですか?」


 「大丈夫に見えますか・・・あ、フン!」


 ミルがダイガを見るなりそっぽを向いた。


 「ミル先輩、すいませんでした!」


 ミルがダイガの謝罪の言葉に驚き、ダイガの方を向いた。


 「俺はミル先輩を侮辱していました!俺は決して合意の無く傷つける事はしないと自分に誓ったのに自ら破ってしまいました!本当に申し訳ありません!どうか今回の一件お許しください!」


 (何で怒っているのかさっぱり分からないけど・・・)


 ダイガは土下座して謝った。


 「・・・・・」


 ミルは少し迷ったが、


 「ダイガさんは、侮辱してもいないし傷つけてもいませんよ。昨日私が泣いていたのは・・・生徒会があなた方の話を聞かなかったのを思い出して泣いたんです。」


 (え!?そうなの!?良かった~)


 もちろんこれはミルの嘘なのだが、ダイガは信じ込んだ様だ。


 「皆さんも、心配させて申し訳ありませんでした。私はもう大丈夫です。」


 ダイガ以外はミルの言葉が嘘だと気付いているが、空気を呼んでホッとした表情を見せた。


 「いやー本当に良かったですよ。てっきり俺がミル先輩に興味が無いと言ったのを泣いたんじゃ無いかと思ってたんですけど・・・」


 が、ダイガが空気を読まない発言をした。


 「「「「え・・・?」」」」


 ((おい・・・))


 え・・・?と言うのはガントとマユ以外の声。


 おい・・・と言うのはガントとマユの心の声だ。


 「でも誤解で良かったです。もしこれで泣いてるんだったら仲直りが大変でしたからね~」


 ダイガは感づいていないので、読めなくても仕方無いのだが・・・


 「ホントウニゴカイデヨカッタデスーデハワタシハセイトカイガアリマスノデシツレイシマスー」


 思いっきり棒読みでマユが教室から立ち去った。


 「あぁ~仲直りってすがすがしいなぁ~」


 (((こっちは逆にモヤモヤだ~)))


 ダイガが背伸びをして、ダイガ以外の全員は心が沈んだ。


 果たして、喧嘩部は今後も続けて行けるのだろうか。

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