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都合よく現れた二年生徒会長と、俺との喧嘩の幕が切って落とされて・・・良いのか?

 突然、横暴に活動中止を求める声が上がった。


 俺としてはそうなっても全然良いのだが・・・


 「お断りします。」


 創設者はそう思わない様だ。


 「ダイガ、この人は誰?」


 「漫画や小説だと、二年か三年の生徒会長って所じゃ無いのか?」


 「まさか~ダイガさん。そう都合よく生徒会長が・・・」


 「私は二年生徒会長の、ミルです!」


 「「「出て来ちゃった!!」」」


 俺、マユ、ガントの三人が同時に突っ込んだ。


 そもそも漫画や小説で生徒会長を書くものは、大体は生徒会長を実際に見た事も聞いた事も無い。


 良し、この際だから根掘り葉掘り生徒会長と言う物がどんなのか聞いてみるか。


 「すいません。前から俺は生徒会長に興味がありまして、是非生徒会長の事を教えてください!」


 「え!?私に興味が!?あの、いきなりでは困りますので友達からでは・・・」


 「え!?友達になって貰えるんですか!?嬉しいなぁ~これからもよろしくお願いします!生徒会長!」


 俺は内心舞い上がり、生徒会長の右手を、両手で握った。


 「あ・・・よろしくお願いしま・・・」


 「はい、そこまで!」


 と、何故かマユが俺と生徒会長・・・ミル先輩の手を強引に離した。


 「生徒会長!部活中止とはどう言う事ですか!?詳しく教えてください!」


 「あ、そうだった。ごめんなマユ。」


 「・・・・・」


 何故かミル先輩が自分の右手を気にしている。


 「どうしたんですか?ミル先輩、そんなに右手を気にして・・・」


 「・・・・・」


 「ミル先輩・・・?ミル先輩!!聞こえてますか!?」


 「・・・・・」


 俺はイライラして、


 「あ!ミル先輩の背中に毛虫が!」


 と、背中が見えないのにこう言った。


 「キャッ!毛虫取って!」


 その嘘にあっさり騙され、ミル先輩は俺に抱き付いて来た。


 「ごめんなさい、これは嘘で・・・」


 「早く取って!お願い早く取って!毛虫怖い!毛虫怖い!」


 駄目だ、完全にテンパっている。仕方ない、俺がミル先輩の背中の毛虫を取る振りを・・・


 「えい!毛虫死ね!」


 する前にマユがミル先輩の背中を強く叩いた。


 「ギャ!!痛い!!」


 俺も強く叩き過ぎだと思う。


 「はい、毛虫は取れたのでダイガさんから離れたらどうですか?」


 「え・・・?あっ!すいません!」


 「いえ、俺は別に・・・それよりも部活中止の話は・・・?」


 「あ!そうでした!その話をしましょう!今すぐに!」


 やれやれ、ようやく話が進む・・・


 「皆さん、僕がいる事忘れてません?」


 「あ、忘れてた。」


 「さらっと言うな!さらっと!」




 「・・・と言う訳です。」


 なる程、つまりこの部室は元々剣道部が使っていた部室で、マユがこの剣道部が使っている部室に勝負を挑んで勝利して、この部室を獲得したと。それでその事を恨みに持った剣道部が喧嘩と言う下等な物を部活にしているのを盾に生徒会に文句を言っていると。それで喧嘩部を中止しろと。


 「質問しても良いですか?」


 俺は質問する事にした。


 「・・・良いですよ。」


 「何故喧嘩は下等なんですか?」


 「喧嘩は駄目に決まってるじゃないですか。」


 「だから何故、駄目なんですか?」


 「・・・喧嘩は私達に迷惑だから・・・」


 「俺達は迷惑にならない様にしていますよ。」


 「そうです、私達は許可を得て喧嘩をします。」


 「迷惑にしているのは僕的には喧嘩の許可をあげたのを無視して文句を言う奴だと思います。」


 「でも・・・喧嘩をしても良い事は・・・」


 「無いかもしれませんね、では駆除は良いんですか?」


 「駆除?」


 「喧嘩部を、駆除する事です。」


 「私が創った喧嘩部を駆除する事は良い事なんですか?」


 「僕たちをゴキブリかハエだと思っているんですか?」


 「・・・・・」


 ミル先輩は何も言い返せない。


 と言うか俺は何をやっているんだ。喧嘩部なんていらないのに、間違っている物を指摘したくてしょうがない・・・悪い癖だな。


 「・・・・・」


 ガントも黙っている。きっとコイツも悪い癖を持っているのだろう。


 「何で合意を取ったのに無視されなければならないんですか・・・何で危害を加えたと言う言葉だけ証拠も無しに信じるんですか・・・何で私達は喧嘩をさせてくれないんですか・・・」


 マユがネチネチと愚痴を言っている。


 こいつも俺と同じだな、努力もさせて貰えず、自分が養分になる為に無理やり生まれて来させられた存在だと思っているのだろう・・・それを否定したくても周りが邪魔をする。


 何かを変えるには何かを捨てる事が出来る人間だなんて嘘だな。捨てても無理やり持たせられるんだ。だから捨てる事が出来てもどうにもならない。


 結局何かを変えるには戦いが成立する方法を作るしかない。


 卑怯だと言われてもそうする事でしか何かを変える事なんか不可能なんだ。


 そんなのは無理に近いけどな・・・


 「ミル先輩、俺と喧嘩をしませんか?」


 こんな方法じゃないとな。


 「・・・喧嘩?」


 「そうです、ミル先輩が勝ったら喧嘩部を廃止します。その代わり、俺が勝ったら貴方が喧嘩部に入って、剣道部の文句を潰して貰います。」


 「何で・・・?喧嘩なんて・・・」


 「この学園に入れたんですから戦えない訳無いでしょう?後、この条件を受けずに生徒会が偽善者ぶって喧嘩部を潰そうとするならこっちも容赦はしません。刺し違えてでも喧嘩部を守ります。」


 「・・・・・分かりました、受けましょう。」


 「時間は授業が終わってから下校時間まで、場所は校舎の裏でどうでしょう?」


 「どこでも良いです・・・すいませんでした、私・・・喧嘩を無くすと言う事の意味が分かっていませんでした・・・」


 「分かる訳ありませんよ、当たり前に努力できる人間には・・・」


 ミル先輩が暗い顔をして立ち去った。


 「ダイガさん、良いんですか?貴方が喧嘩しなくても・・・」


 「大丈夫だ、マユ。これは俺の戦いだ・・・」


 全く、今日は本当にめんどくさい日だな・・・

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