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俺とマユの部員探し

 「私とダイガさんの喧嘩部に入りませんか~」


 能天気な声で勧誘をやっているマユ。


 今までの勧誘の返事は・・・


 「入る訳無いだろ!」


 「喧嘩を部活にするなんて何を考えてるんですか!」


 「ついにお前はこの女子をたぶらかして物騒な事をやりだしたのかダイガ!」


 「今すぐこの女子を解放して喧嘩を止めろダイガ!」


 まぁ前半は分かる。俺は喧嘩を部活にしたいとは思っていない。大体喧嘩をするだけなら俺個人でやっても問題ないだろ、マユ。


 だが、後半に対しては異議を唱えたい。


 まず、喧嘩部をやりだしたのはこのマユだ。確かに俺は喧嘩をやってはいるが、俺がやりだした訳じゃ無い。


 そして喧嘩を止めろ、これは俺に生きるのを止めろと言う様な物だ。


 何故なら俺は好きで喧嘩をやっている訳では無い。俺の言う事を信じて貰いたくて勉強やスポーツの努力をしたのに報われなかった結果、喧嘩で勝つしか努力は報われないと言う結論に達したからだ。


 だが、そんな事を世間に言っても努力が足りないとか、他人の所為にするなとか、だからって喧嘩をやる事は無いだろとか無神経に、何も俺の事を考えずに言われるだけだ。


 努力をして社会に貢献して手に入れられる物も、自分で儲けられる何かを始めて手に入れられる物も、先に力をつけた奴に全て奪われる。そんな奴もいるのに世の中はそれを理解しない。努力して手に入れられる物を奪われると言ってるのに聞きもしない。


 だから俺は、力でねじ伏せる喧嘩で勝ち続ける事でしか生きられないんだよ。悲しくてもそうする事でしか生き残れないんだ・・・


 「そこの貴方!喧嘩部に・・・」


 「ダイガ?ダイガか?」


 突然、俺の名前を呼ばれた。


 ハッとして目の前を見ると、俺と同じ位の男子だった。


 「えっと・・・お前、誰?俺と喧嘩した奴?」


 「小学校の頃、俺は虐められていた所をダイガに助けて貰ったんだよ。」


 「・・・あぁ、あの時の奴か!」


 「何だダイガさんと知り合いなんですか?」


 「そうです、助けて貰った恩人で・・・」


 「死ねコラー!!」


 「ブチョッケ!!」


 俺は助けた奴をぶん殴った。


 そして助けた奴の襟首を掴んだ。


 「いきなり何しでかしてんですかダイガさん!」


 「黙れマユ!俺は小学校の頃、虐められていたコイツを助けようとしたら虐めてた奴が俺をぶん殴ろうとしたんだ!それを俺が避けたら虐めた奴は転んだ!その隙に俺とコイツは逃げた!ところが翌日、その虐めていた奴が俺が暴力を振るったと言った!俺は避けただけと言っても信じてくれない!そいつが優等生だったからだ!だから俺は優等生になって俺の言う事を信じて貰おうとした!でも優等生になったら今度は・・・」


 「あの、ダイガさん?」


 「何だマユ!今俺は喋っている途中で・・・」


 「その人離してあげたらどうですか?苦しそうにしてますけど・・・」


 「え・・・あ、本当だ。」


 そして俺は襟首から手を離した。


 「ハァー、ハァー、ハァー、あぁ苦しかった・・・」


 「それで話の続きだけどな!」


 「僕はダイガが暴力を振るって無く、避けただけだと先生に言おうとしたのに聞いてくれなかったんだよ・・・」


 「え・・・そうなの?」


 「そうだよ!」


 「あぁ・・・ごめんな、早とちりしてた。」


 「それはそうと、喧嘩部に入りませんか?」


 「・・・まぁやる事も無いし入っても良いかな。」


 「ありがとうございます!感謝します!」


 「言っておくけど始めたのは、このマユだからな!マユだからな!」


 「「何故に強調?」」


 「強調しないと俺が部長みたいになるだろ。」


 「部長はダイガさんですけど・・・」


 「何故!?」


 「私には重荷で・・・」


 「勝手に部活始めといて重荷とか言うな!!」


 全く・・・面倒くさいな、絶対に部長なんかやらないからな。やったとしても俺が問題行動を起こして部活を潰してやる。


 「あぁ、ちなみに部費とか手続きの処理とか問題の後片付けとかは私がどうにでもしますので潰れる事はありませんよ。」


 見抜かれてたか・・・


 「マユさんって何者ですか?」


 「ちょっとした大金持ちです。」


 なる程、そう言う事か。


 「じゃあ将来はお前の所に行こうかな。」


 「え!?な!なんでですか!?」


 「いや、就職の滑り止めに有効かなと思って。」


 「就職・・・ですか。」


 どうしたんだ?俺みたいな不良が就職に来るなんて名誉が傷つくと思っているのか?大体何でさっき顔赤くして動揺したんだ?


 「ダイガ・・・お前一度馬に蹴られたらどうだ?」


 「馬なんて、逆に蹴り返して焼いて、うま、く食ってやる。なんてね♪」


 「「ハァ・・・」」


 俺のギャグはつまんなかったか・・・


 「ところでダイガ、俺の名前覚えているか?」


 「俺が名前を憶えているのは名乗った奴か、恨みに思った奴だけだからな。」


 「つまり憶えて無いと言う訳か、じゃあ言う、俺はガントだ。」


 「なる程、憶えておく。」


 「私はマユです、よろしくお願いします。」


 自己紹介を終え、部員が一人増えた。


 「こらー!そこの喧嘩部!今すぐ活動を中止しなさい!」


 だけでは終わら無さそうだ、今日は・・・

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