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ダイガと言う男

 「ダイガ君!一体君は何度このファーブ魔法学園の名に泥を塗れば気が済むのかね!?」


 ハァ・・・うるさいな。


 「君のおかげで、一体どれ位の学校から苦情を受けているのか分かってるのか、アァ!?」


 だからなんなんだよ・・・一、二、三・・・


 「この学園に入ってからなら・・・この一か月でざっと40校と言う所じゃ無いですかね。」


 「ふざけてるのか!お前は!」


 俺の名前はダイガ、このファーブ魔法学園の生徒だ。


 ファーブ魔法学園に付いて簡単に言うならば・・・優秀な奴が来る所だ。


 勉強は他の学校のテストの上限の100点を楽に取れるようでなければ話にならない。


 かく言う俺もこの学園に入れただけあって優秀と言うべき存在だ。


 俺は小学校では成績は悪かったのだが、中学校で盛り返しここに入るまでに至れた。


 でも、何故俺が優秀であるのが当たり前なこの学園に来れる程になったのか・・・




 「グハッ!」


 「強すぎる・・・」


 「俺の勝ちだな。」


 それはただ、喧嘩をしたかったからに過ぎない。


 この理由を聞いたものは、誰もが馬鹿な理由だと思うだろうが、俺にとっては重大な理由だ。


 それは小学校の終わりの日のちょっと前の日だったな。


 授業が終わり帰ろうとした時、当時成績優秀だった同級生が誰かを虐めているのを見かけた。


 俺はすぐに虐めている同級生の所に向かい、止める様に言った。


 その同級生がそんな言葉を聞く筈も無く、逆切れして俺に殴りかかってきた。


 俺が軽く避けると、その同級生は転んだ。


 その隙に俺は虐められている同級生と共に逃げ出した。


 だが翌日、昨日、虐めをしていた同級生に俺が暴行を加えたとして教師に呼び出された。


 俺はその教師に事情を話したが、その教師は聞き入れて貰えず。俺は反省文を書かされた。


 反省文を書いている途中、俺は思った。


 (成績が良くなったら、虐めの目撃とかも信用して貰えるんじゃ無いのか?)


 そう思ったら一直線だ。


 今まで何もしていなかった時間を、勉強や部活のスポーツに捧げた。


 がむしゃらに努力を重ねて一年と少し、気付いたら勉強もスポーツも当時の中学校で俺に敵う奴はいなかった。


 そうなると嫉妬する奴は必ずいて、何度も調子に乗るなと言う様な脅しがあったが、俺はことごとく無視をした。


 ある日の帰り道、俺は襲撃にあった。


 俺は無視しようとしたが、全方向を囲まれて逃げられない。


 仕方なく、向かって来る奴の攻撃を避けきる事にした。


 だが・・・


 (遅い・・・そんなんじゃあ俺には絶対に勝てないぞ・・・?)


 俺は心底失望し、欠伸をしながら避けきった。


 全員の攻撃を避け、普通の奴ならとっとと帰るが・・・


 「オラお前ら、俺が特別講義をしてやるからもう一回かかって来い!」


 闘志に火が付き、俺は戦いの構えをした。


 一人がもう一回襲い掛かって来たが余裕で避け、その生徒に寸止めパンチをやった。


 「ほら、他にも掛かってくる奴はいないのか?」


 俺の挑発に乗り、次々と襲い掛かって来たがそれを俺は全部避け、寸止めパンチや寸止めキックを連続でかましてやった。


 後ろから不意打ちもして来たが難なく避ける。


 避ける、避ける、避ける。




 それから数十分が経過して、俺に襲撃して来た奴は一歩も動けなくなった。


 自業自得で転んだ傷などが痛々しい。


 「もう終わりか・・・楽しかったぞ、またやろうな。」


 そして俺は家に帰った。




 「部活のスポーツを暴力に使うなど、お前は何を考えているんだ!」


 俺は小学校の再現の如く、ただ避けただけなのに色々な教師から怒られた。


 一応否定意見も言ったがやっぱり認めて貰えなかった。


 また暴力に使うからと部活でも教えて貰えず、俺は絶望した。


 もう学校でやる気を出せる理由も無くなり、俺は自暴自棄になりそこらにいる奴に憂さ晴らしに喧嘩を申し込んだ。


 受け入れる奴は中々いなかった。しかしある日、魔法を使える奴に喧嘩を申し込んだら了承してくれたので即座にそいつに殴りかかった。そいつは少し後ろにずり下がり、反撃と言わんばかりに手から火を放った。中々スピードがあったので避けきれずにかすってしまった。その後も火を避け続け、魔法も出せないほど殴り続けて辛くも勝利した。


 (魔法・・・面白いな、俺も使える様になりたい!)


 今回の件の教師からの説教も耳に入らないほど俺は魔法の事しか頭に無く、暇さえあれば魔法の訓練をした。元々俺に才能が少しあったのか、すぐに魔法は覚えられた。更に俺はやりたい物に対して、努力の量と質が半端ではなく上がるようで、魔法でも敵う奴は当時の中学校でいなくなった。


 それ以降も自分を向上出来る物に俺は興味を示し、どんどん実力を伸ばしていった。


 その実力は何に使ったか?もちろん喧嘩の為である。


 俺に限らず人間は努力が報われると嬉しい。


 だから喧嘩をする為に、優秀なファーブ魔法学園に入学する事は何も間違ってはいない、と思っていたが・・・




 「ふざけているのかお前は!!」


 いざ入学してみればこのざまである。


 「何度も言った事ですが、今まで起こした喧嘩は全て合意の下でやっていて、しかも俺個人の問題なので学校側は気にする必要も・・・」


 「屁理屈を言うな!!」


 屁理屈?屁理屈ってなんだよ・・・名誉を傷つけられる事に慣れていない虚弱体質なだけじゃないかよ・・・・・


 「良いかね!?この学園に来たとなれば態度と言う者を・・・」


 「俺は喧嘩がしたんだーい、出来れば強い奴と喧嘩したーい。強い奴なら女でも子供でも良いから勝負してくれー」


 「ハァ・・・もう良い、言って良い・・・」


 やっと釈放して貰え、俺は職員室を後にした。


 廊下を歩いていると、一人の生徒を見かけた。


 「そこの君!俺と喧嘩しないか?俺に勝ったら・・・この三枚の紙から一つ選んで、それに書いてある事を俺が・・・」


 喋っている途中で逃げられた。


 (まぁ、あいつじゃ俺には勝てないだろうしどうでも良いか。あぁ~どこかに強い喧嘩相手は・・・)


 「そこの貴方。」


 誰かが誰かを呼んだ。


 声が聞こえた方を振り返ると、長い銀髪をした女子が立っていた。


 「俺ですか?」


 「はい、そうです。」


 確実に俺を呼んだみたいだ。


 「何か用でしょうか?喧嘩でしたら喜んでやりますが・・・」


 「丁度良かったです。」


 丁度良かった・・・なるほど。


 「私と、喧嘩をしましょう。」


 こうして見知らぬ女子から、俺の大好きな喧嘩を申し込まれた。

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