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―状況が状況だ、朗報に決まっている。
―しかしだ、貴様。これで肩すかしだったら男子一生の問題だぞ。
天使と悪魔が突っつき合いから頬の引っ張り合いにまで発展し、ますます思考がショートしていく。生きるべきか死ぬべきか、生きたいに決まってるだろ!渾身のアッパーで悪魔を殴り飛ばした俺は発起してとうとう手紙の封を切った。
―もし、お時間をいただけるなら放課後に第二聴覚室で待っています。あなたに、伝えたいことがあります。いつまでも、待ってます―
もはや志望届を出せる身分ではないけれど、ドラフトで一位指名された人間みたいに俺の心は舞い上がっていた。手紙を握りしめてひとりガッツポーズを繰り出した俺はそそくさと手紙を胸ポケットに隠すや否や教室に戻って鞄を引っ張り出す。
勝どきをあげたい気持ちをぐっと堪えて、頭の中に広がるお花畑に導かれるまま、俺は彼女が指定する場所へと移動したのだった。