空飛ぶもふもふ
想像してみよう、アザラシにくっ付けたら大変なものを
ふよふよ、ふよふよ。
「きゅふふぅ」(。・ω・。)
ふよふよ、ふよふよ、ふよふよ、ふよふよ
「きゅっきゅーぅぅ」
ふーよふよ、ふよふ━━ぼよんっ!
「きゅーーーー」
どうも、まるで水の中に居るように空中浮遊中、ちょっと調子にのって天井にぶつかった空飛ぶアザラシブランです。(・ω・)
ただ今ふよふよと家の中を浮遊中ですよ。
「そんなにはしゃぐとまたぶつかるよ?」
まだ高さ調節が上手く出来ない私はニーアさん発明「空飛ぶもふもふ」略して「飛ぶもふ」を着けて練習中です。勢いがついた飛ぶもふが天井にぶつかってバウンドしてあらぬ方向に飛んだりしましたがなんとかなりそうです。
「基本的に泳ぐのと一緒だから慌てずに、変な体勢になっても自動的に元に戻るから暴れないように」
「きゅー(了解でーす)」
尾ひれを動かすと前に進み前足で舵をとる。この飛ぶもふは見た目が風船に吊られるアザラシだ。ちなみに風船は赤。帯のようなハーネスを着けて背中に風船と繋がる紐がついている。とってもシンプルな構造。
仕組みはニーアさん曰く、頑丈な素材で風船を作り柔らかく丈夫な素材(原材料不明)を使って魔術で浮かせている。そうです。
「きゅきゅ?(それって風船要ります?)」
「要るよ。アザラシと風船。全く関係性がない物がくっついたら面白いでしょ?」
その発想と理由はよく分かんないですけど、ニーアさんが割りと楽しんでいるのは分かりました。。主に私の見た目で楽しんでますよね。
「その風船は針で突いても破れないから安心して。あぁ、でも火は駄目だよ燃えるから。熱で溶けないけど燃えるからね」
「きゅい~?(何で熱で溶けないけど燃えるんですか?)」
「それはね、私も知らない」
「きゅ?(え?知らないんですか?)」
「うん。長く生きてるけど知らない。物質を変化させられる魔術の限界なんじゃないかな?」
物凄くテキトーに風船に使われた素材を伸ばしたり丸めたりしているニーアさんはもうひとつの風船を作り始めた。次は青色の風船だ。
風船を作っている様子はとても神秘的で見ていてたのしい。本来の作り方は知らないけれどニーアさんの作り方は素材同士をよくこねて伸ばし、丸めて指で真ん中に穴を開けてそこから息を吹き込み膨らませる。
風船と言っているが実際は軽くて浮かぶゴムボールだ。
膨らませた風船の口の部分を確りくっ付けてこれまた丈夫な紐(実は蜘蛛の魔物の糸)を括り付けて完成。私くらい(私は軽いから)なら楽々浮かべます。
そして私の思い通りに動けるように魔術をかけて本当に完成。ね?簡単でしょ?とはニーアさん談。簡単じゃないと思うよ私は
「きゅーきゅい(これならダブちゃんに負担を掛けずに散歩が出来ます)」
「うーん、そうだね。でもね最大の難点が有るんだよね」
「きゅ?」
「とても目立つ」
「・・・・・(´・ω・)」
そっかー、アザラシってだけて目立つのに+風船は余計目立つよねソウデスヨネー。
いや、でもここの人たち結構おおらかで気にしなさそう。
「うん、気にしないだろうね。何しろ黒一色の一切肌を出さない格好で出歩いても気にしない人たちだからね。でもね、問題は観光とか仕事で来てる人たちだよ。それも貴族とか」
「奴等は珍しいもの好きだから」と言っていたニーアの顔はさっきまでののほほん顔が消え失せて至極真面目な顔で私に言い聞かせた。
曰く、誰の所有物だろうと庶民相手なら金をばら蒔けば良いと思っているバカもいる。もっと酷いのは所有者が居なくなれば文句ないだろうと殺してても奪うバカが危ないと言っていた。さっきよりも数倍恐い顔で。
「何よりここは南国。バカンスに来る貴族が多い。商人も多いから珍獣として捕まることもあると思うよ」
それもそうだ。最初の人たちは私を可愛い珍獣として扱ってお金儲けみたいなことをしていた。ダブちゃんはそんなことしないと思うけど、知らぬ間に捕まったら・・・・・
「まぁ君達が捕まったら分かるんだけどね。でも心配だから君に危害を加えそうなヤツが触ったら電撃が走る様にしておいたから大丈夫♪」
いや、大丈夫♪じゃないですよ!何してるんですかニーアさん。電撃とか私は大丈夫なんですか!?抱っこしてたらダブちゃんもきけんですよ!!
「あー大丈夫。そういうのはちゃんと手を打ってるから。君を誘拐したり危害を加えそうなヤツがだけに効く様にしてるよ勿論━━━━昔それで電撃喰らった事あるし」
ボソッと言ったところはよく聞こえなかったが私と他の人には効かないそうなのでひと安心。空中で鮫のデスロールの真似をして壁にぶつかったのは秘密。
そんなこんなで他に後4つほど風船の予備を作って貰っていると仕事からダブちゃんが帰ってきた。
ダブちゃんの悲しい悲鳴がするまで後数秒
こうして私は移動手段を手にいれたのだった。
何やってるんだよ。自分もキャラ達も。