暖かいと出てくる厄介者
もう季節は過ぎたかな?でもこれにはホントに注意してください。
重力に囚われない水中が好きなアザラシのブランです。(・ω・)
小島沈没を目撃したあの騒動から早くも二日が経ちました。あれから私たちは途中大小様々な島を素通りして泳いでいました。あの島の下に居た大きな生き物(蛇っぽい)が凶暴かも知れないと出来るだけ速やかに離れることに専念していました。
だって大きいからね、あっちがちょっと動いただけでどうなるか分からないから距離を取ろうとしたのが、不味かったのかなぁ・・・
「きゅー・・・(どうしよう)」
「・・・」
見渡す限り白くてふわふわした物体が水中を漂っている。大きさは様々だけど人間の頭サイズはあると見た。しかも触腕っていうのかな?本体と同じ様に半透明で見えづらいけど長く垂れ下がっている。
そう。クラゲだ。漢字で書くと海月。何か綺麗。
『ここを通るのは不味いな』
『ダブちゃんそうも言ってられないようですよ・・・( ;´・ω・`)』
『ん?』
気づいたら後ろにも前にも横にもクラゲクラゲクラゲ、囲まれてしまった。何で漂っているだけなのに包囲するの早いの!?
でもどうしましょう?もうちょっと深く潜って見ます?暗くて見えづらいですがもっと深いところはクラゲも居ないかもしれませんよ?
それとも上の方に上がってみましょうか?もしかすると抜け道があるかも知れませんし━━
『と、考えているうちに上もかこまれた!?』
『もう下しかないな』
海に生きるものにとってクラゲは恐ろしい生き物だ。何が恐ろしいってあの触腕に無数にある毒が怖い。毒自体は致死性が低くとも刺された時の激痛と言ったら言葉に出来ない程凄まじい。毒の強さも種類によってはちまちまだが共通してホントに痛い。しかも毒針に返しと呼ばれる小さなギザギザがあるせいで抜けにくいのだ。だからクラゲには誰も近づかない。
近づくのは毒に耐性のある魔物だけだ。
『ブラン、今さらだがこのクラゲは毒を持っている』
うん、知ってた。だいたい触腕が長いヤツは「オレに触れると危険だぜ!」と言ってるようなものだと私思う。
こちらも触りたくないので帰ってくれませんか無理ですかそうですよね━━どうしよう?
『仕方ない。ブラン下に潜ろう。迂回するにしてももう下しかない』
『うん。それしかないもんね選択肢』
『漂っているだけなのにこう言うときは囲まれるのって早いよな?』
『そうだねダブちゃん』
二人して平気そうに話しているけれどダブちゃんはさっきから若干震えている。抱えられている腕から振動が伝わって私もマナーモードだ。
どうしたダブちゃんクラゲが怖いのか
私も怖いぜ((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
直ぐに行動すれば良かったと後悔してももう遅い。クラゲたちは意思でもあるのか私達に段々と迫ってきている。海流のせいか何なのか不明だが私達が居る開けた空間が狭くなってきていた。
ダブちゃんは私を小脇に抱えて急いで下に潜ろうと泳ぎ出したがパニックになっているのか何時ものように早さがない。水を掻くのもうまく出来ないのだろうバラバラに動かしているので思うように進まない。
仕方がないので小脇に抱えられながら私も尾ひれで泳ぐと何とかクラゲに囲まれる事は避けられた。
『・・・はぁ~』
『大丈夫?』
『あぁ』
心底疲れてます。そんな風に疲れて脱力するダブちゃん。クラゲにトラウマでもあるのか聞いてみると昔さ刺された事があると言った。
『小さい頃話だ。俺達が住んでいた辺りは本来ならクラゲが生息していない地域なんだ。だが何が原因かその年は海水の温度が上昇しててな、クラゲが大量発生したんだ』
あの頃のダブちゃんは人並みに好奇心があった子供だったらしく小さい手のひらサイズのクラゲを興味本意で触ってしまったらしい。
シロクマの顔の眉間に皺がよる。ものすごく深い皺だ。
『その時の激痛たるや無数の針で断続的に指され続けた様な傷みで一ヶ月は痛みが続いた』
それは地獄の一ヶ月だったのだろう。思い出しているダブちゃんの眉間の皺がさっきよりも深くなっている。想像しただけでも痛い。
『本で読んだ対処法を知らなければもっとひどい目にあっただろうな』
ダブちゃんたち種族は本来ならクラゲの毒は効かない種族何だけど父親が他種族なので子供の頃は色んな物に耐性が無かったそうだ。それで家にあったり集めたりした本を読み漁った知識でどうにか生きてきたらしい。
思わず涙がホロリ(´;ω;`)
『だが成長して耐性はついたがあの時の痛みを思い出すからまだ苦手だ』
すっかりクラゲがトラウマになってしまったのだ。特に当日本当に小さかった弟君は大泣きして今でもクラゲが大嫌いだそうです。
あ、クラゲつって刺されたらお酢をかけると良いんだって聞いたけど本当だろうか?でも今はお酢持ってないので確かめようがない、確めるつもりなんて更々ないけどね!
かなり下まで潜った。透明度が高い海でもここまで来ると太陽の光は届きにくいのか少し暗い。お互いに白いので直ぐに分かるが離れたら多分迷子になるだろう。
『この深さまで来たらもう大丈夫だろう。あの種類のクラゲは浅いところにしか生息していないからな』
『あの種類は、ですね』
そう、あの種類は。あの種類はね。
『この深さを保って進もう』
そう言うと私を小脇に抱えて直して進み始めた。
すると少し進んだ先に大きな岩にぽっかりと大穴が空いていた。
・・・・う、うん。入ったら何か居そう。
『ウツボとか居たら危険だな』
『ダブちゃん単体なら一捻りでしょ?』
何を隠そうダブちゃんは強い。シロクマを差し引いても強い。人魚の姿の時もウツボ程度なら鷲掴みにして締め上げて終わりだろう。
今なら必殺のシロクマパンチで一発KOしそう。
悩んでいても仕方かたが無いので・・・
『無視しましょう』
『だな』
自分から明らかに何か生息していそうな穴に入るなんて事しません。
こうして私達はクラゲの脅威と怪しすぎる穴にを回避してその海域を危なげなく抜けることができましたとさ。
温暖化してきた日本の海には居ないはずのクラゲが居てもおかしくないそうです。クラゲ恐い海恐い((((;゜Д゜)))