冒険はしません
アザラシ赤ちゃんは危険に飛び込むことはしません。多分
皆さんも危険な行動はしないように。
些細な攻防を繰り広げていた私たちは突如起こった地震により攻防を中断。ついでに私は転がると言うハプニングがあったがダブちゃんによるナイスアシストにより事ないを得ていた。
『どうしようダブちゃん。まだ揺れてるよ』
『いや、もう揺れてないぞ』
どうも、絶賛小脇に抱えられているお荷物アザラシのブランだよ。突然の地震でお荷物にランクダウンしたけれど二人ともなんともありませんよ。
人の姿の時なら地震にもなれてますが、アザラシフォルムの今はあの横揺れには踏ん張りが効かないのですよ。
それにしてももう揺れてないの?なんだか揺れてる気がするんだけどなあ━━━
『待てブラン。これは地震ではないかもしれない』
ん?どゆこと?
『そもそもここは━━━』
ダブちゃんが言葉を続けようとしたとき、さっきよりもいっそう揺れました。小脇に抱えられていなければ転がって海にポチャンでしたね。泳げるから何ら心配はないのですが。
それでも落ちなくて良かった(ーωー;)
『━━━っと、やはりここは島ではない。どうして気がつかなかったんだ』
『だからどういう事なの?(´・ω・`)』
私に閃きは求めないで。結構石頭だから柔軟な思考ができないのよ?私。
ダブちゃんの言うことにゃ、島と言うのは色々と種類があって火山が噴火して出来たもの、珊瑚が積もって出来たもの(厳密には島じゃないらしい)等々。これは何れにも宛はならないらしい。
今更だがこの島を見つけたときにダブちゃんが何か違和感があると言っていた。もしかして私たちが気付かなかっただけだったのかな?
ダブちゃんの違和感はなんとこの島(島じゃないらしいけど)は海底に繋がっているようには目視では確認できなかったようです。見えないだけで部分的に抉れているのかと思っていたそうです。まるで浮いているようだった・・・と。うん、それって上陸してはダメなパターンだよね?
もしかしてダブちゃん私の体力を心配していつもの冷静さを欠いていた?
『うぅ・・ゴメンねダブちゃん私お荷『昆布以外の物が食べたかったんだ!』・・・うんそっか(´・ω・`)』
『うん。そうだったんだ。ま、ヤシの実以外はハズレだったけどな』
気にするな。それだけ言って私の頭をワシャワシャと一見乱暴に見えて優しい手つきで撫で回した後、揺れが治まったらしい砂浜に私を下ろして海の方に歩いて━━━━って!
『待ってダブちゃんどこ行くの!?』
『この島の底を見てくる』
『ノーー!!(ノ゜Д゜)ノ』
ダメダメ!それ何か良くないことが起きるフラグですよ!こう言う異常事態の時は下手に動くと命取りです。速やかに安全を確保して待機が良いのです。のんびりしてた癖に何言ってんだとツッコミが入るかもしれないですけど、一先ず落ち着いて死亡フラグから離れましょう!?
『その行動は台風の時に田んぼや川の様子を見に行く位に危険です!』
『たんぼ?』
『こっちの話です。ダメですからねダブちゃん。行ったらダメちゃんと一生呼びますからね!(=`ω´=)』
ヒレではダブちゃんの足を掴めないのでダブちゃんに噛み付いた。これなら多少妨害できてるはず。直ぐにでも振りほどかれそう。ダブちゃんシロクマ以前に私とっても非力だ。
『直ぐに済む』
『皆そう言うんです。慢心ダメ絶対!』
そう説得しました。が、私の説得虚しくダブちゃんは海に潜って行ってしまいました。何かあったらどうするんですか。元人魚のお陰で呼吸の方は心配ないけど他の要因で溺れることも有るんですよ・・・人魚って溺れるものなの?
『無事に帰ってきても暫くはダメちゃんって呼びますからね!』
私の小さな頭に上っていた血も独りになった静けさで直ぐに引いていき残ったのはとても嫌な心細さで、精神は兎も角体はまだ子供のアザラシなのでとても寂しくて悲しくて、いつもの元気が湧かない。最近変に気分が上がったり下がったり安定しない気がするんだけど、めんどくさいな自分。
ごーろごーろしてまた砂で毛並みを汚しているがもうどうでも良かった。きな粉を付けた餅みたいだと思ったけど今はどうでも良いなぁって思えてしまう。寂しい、淋しい・・
いやダメだ暗い考え良くない。私、違うこと考えないとダメ
って何やってんだ私。
そう言えばダブちゃ━━ダメちゃんが言ってた事って、つまりはここって浮いてる島って事なのかな?
━━━あれ、それってヤバくないか?
前に映画か何かで見たぞ。支えが脆いと浮島っぽい島って沈むよね?
あ、ホントにこれダブちゃん危ないかも。
そして私は全速力で匍匐前進で海に飛び込んだ。
そこ!アザラシの進む速度遅いって言うな!!これでも全速力です!
登場人物が暴走を始めました。




