フカフカのソファでトランポリンはご法度
ふかふかのベットやソファは跳び跳ねたくなりませんか?
やあやあ( *・ω・)ノ
ブランだよ……
永遠の赤ちゃんアザラシのブランです。
兄ことダブちゃんが連れ去られれて何日経ったでしょうね? もうよく分からなくなってきましたよ。
はっきり言って寂しいです。
勿論お世話になってるアーさんとニーアさんは優しくて色々と気にかけてくれます……けど、やっぱり慣れ親しんだダブちゃんが居ないと調子が出ません。
「あのさ、何でゴロゴロローリングしながら泣いてるの?」
「多分虚しさと寂しさを紛らわす為にゴロゴロしてるのでしょう……元は海の中で生活してたと聞きますし……環境にも慣れてないのでホームシックではないかと」
「――あれはどちらかというと親とはぐれた赤ん坊に見えるけどなぁ」
「強ち間違いでは無いかと」
「伯父さん……ブランの相方いつ戻るんだよ」
そうなのです……いえ、違います。親とはぐれた赤ん坊では無いですけど寂しいんですよ~
もうくよくよとしているのも飽きてきましたし、そろそろ吹っ切れないと……首をリズムにのって左右に振れば吹っ切れますかね?
「うおぅ! なんか頭あげて変な動きをしてるぅ!?」
「おや、気でも狂ったのでしょうか……それほどまでに……(ホロリ)」
あぁ~首のクビレがないから格好がつかないよ~……はぁ……異常なまでに喜んでくれる人が居ないと面白くない。
「きゅ、きゅ、きゅ、きゅー!!」
「ああ!?今度は尾びれを左右に振ってなんか呼び始めた?!」
「ニーア……あなたそこまで言わなくても……確かに何か雨乞い的な動きをしてますけど」
「――きゅ!!」
「あら、今度は頭に前足を……乗せようとして届かなくてプルプルしてますね」
「分からない……行動が分からない」
「多分意味なんてないんですよ~」
色々言われてるけど無視無視……少しでも痩せてクビレがつくかと思ってやってみたけど……私いくら食べても姿が変わらないんだから(食べなくても変わらない)意味ないや、と気が付いて止めた。
こんな動きしたらダブちゃんが発狂する気がするので今後ともする気はない。
アーさんがダブちゃんに言わないことを願う。
暇すぎる私のこの頃の日課は床を自動お掃除ロボット・ル〇バ並みに床をゴロゴロ移動することだ。こんなことすれば白い毛並みはたちまち真っ黒……だが驚くべきは全く汚れないこの家の清潔さだね。
ダブちゃんも弟君もきれい好きだったのか掃除は小まめにしてた。けれども床はそれなりに埃は落ちていた。
そんな当たり前並みに落ちている埃がこの家では見かけない。
「(どうも皆様、年老いた方のニーアです。ブランちゃんの疑問には私がお答えします。結論から言えば魔法で埃が堪らないようにしているからです。これでも忙しい身の上でして、掃除に日頃から時間をかけることができなかったのです。それでは子供を養育する環境ではないと今の状況に至ったわけです。決して私が潔癖性ではないので悪しからず。魔法というものは手加減がとても難しいモノで、これでも手加減をしているのですよ。加減をしなければ床も土台も全て消えてます。)」
……なんか今、長々と説明を何処かでしていた気がする。
気のせいかな?
「(えぇ、気のせいです。それでは説明を終わります。ブランちゃんにお返しします)」
あれ?なんだろ……うん、よくわからないや
ま、いいか。
で、ですね……他に何か暇潰しになるものを見つけようと思います。だってゴロゴロしてるだけでは飽きましたし……何より本当にもっと動かないとぶくぶくと太りそうで……うん、動いた方がいいよね!?
「伯父さん……なんかブランが体全体を使って匍匐前進してる」
「あれがあの体格で出来る移動方法何ですよ。腹筋を使うので疲れそうですよね。人には難しい動きです」
「俺あれやったら腹筋崩壊するよ」
「私もあれは出来ません。年甲斐も無いですし」
いや、そこまで言わなくても……まぁ、確かに人間がこのアザラシの基本的な移動方法をしてたらただの変な動きだしね。きっとやってるの見たら爆笑するよわたし。
おいっちに、おいっちに……なんかすっごく疲れる。水の中が如何に動きやすかったか分かるね。
重力も普通に仕事してるし……ホント何だったんだろあの家の重力。水の中なのに色々とツッコミを入れたくなったもの。
ファンタジーって何でもありだよね割りと
さて、全身を使った匍匐前進で来ましたソファの前。ここ最近ではゴロゴロ移動でしか動いてなかったのが原因か身体中(主に背中辺り)が痛いです。日頃からもっと運動しよう、そうしよう。
ダブちゃんが帰ってきたら今度こそ旅に出るのです。体力作りをせねば……何故もっと早く気が付かなかったし、わたしよ。
ま、これが私だけどな!!
「きゅっふ!(何かやりきった気がする!)」
「なんかもうツッコミは入れない」
「成し遂げた……といった感じで前足で顔を拭いてますね…よく届きました」
そうだね、前足、ヒレだからね、短いしね……泣いて良いですか?
自分の前足の短さを再確認して私は少し挑戦してみようと思った。何に?
この私よりも小高いソファに登るのだよワトソン君……ちょ、そんな小動物を見守る目で見ないで。ホントに小さいけど、そこまで小さくないからね!
先ずは尾びれにぐっと力をいてれ……立てるわけもなく、今度は前足に力を入れてソファにアタックしてみる……が、片足だけになると支えきれずコロンっと倒れた。後ろから微笑ましいものを見る目が強まった。
ちっ! 負けるものか。無機物にまでナメられては女が廃る……いや、アザラシが廃る。漢字で書くと海豹……海の豹だぞ!
こんなソファに負けてなるものか!制覇した暁にはお前の上でトランポリンだ!覚悟しておけ~!




