自分の心配よりもブランの方が心配だ!
見るからに小者の貴族に召喚されて異世界に来てしまった……俺、人間だった頃の記憶を持っている他はごく普通の人魚……スマン訂正する。
不本意ながら膨大な魔力を保持している某国の元王子兼人魚兼……今は白熊です。名前はヴァイスの頭文字のWからダブちゃんとブランには呼ばれている。前は兄としか呼ばれていなかったらしい。
さて、困ったことに召喚されてしまったが、話のわかる貴族に保護してもらって今に至る。
「災難でしたっスね」
この人は貴族に仕える眷属……多分使い魔的なたち位置何だろう……の八雲さん。狐の妖怪妖狐らしい。狐的な要素は全くない然り気無いイケメン。
話によると怒らせると仲間内で一番怖いらしい……見えないのに。ちなみに主である貴族様が一番怖いらしい……
理不尽ではないので心配するなと言われたが少し自重しておこう。
『何、そう心配せずとも大丈夫だ。主は一度懐に入れたものには寛大だ。こうして家に入れた時点で懐に入れたも同然……そう固くなるな』
この人……ヘビさんは夜夢さん。見た目もろにヘビだがどこかゆっくりな話し方で拍子抜けする雰囲気を醸し出している。体も長いと気も長くなるのかなぁ?
たまに主のベットに入って暖をとっているお茶目なヘビさんだ。
『し、白い熊は始めて見ました!』
『きゅ!……お耳が小さいでしゅね?』
大きな鳥――俺には黄色いマスコットの大きな鳥に見えた。白だけど――さんは兎天さん。走るのも飛ぶのも得意な不思議な鳥さん。名前の由来の2本の長い飾り羽ねが垂れ下がったウサミミの様で可愛い……だがブランの方が……うぅぅ~~ブランに会いたい!
……そして不思議な細長い狐?の妖怪らしい管狐の奏ちゃん。何でも眷属の中では一番歳上……だが、元々年齢という概念がない種族らしく幼いのも個性だとか……永遠の子供?
『そう全員で話し掛けても迷惑だろうに……白熊殿…彼らに悪気はない故、』
『あ、分かってますから』
そして一番の古株――付き合いは10年以上らしい――のポチ……リルさん。本来は熊の中でも最大級の白熊の俺も越えるほど大きい狼だが家に入れるサイズになってるらしい紳士な狼さん。でも仲間内では案外ボケ属性らしい。
そして彼らのボス、貴族の紅蓮さん。自己紹介の時に……
「グレンって書くけど読みはコウレンね」
と、言っている辺り間違われるのだろう。
前にも説明したが、美女と見紛う程の美人。本来の色は知らないが日頃は薄藤色の真っ直ぐな髪に白粉でも叩いたのかのような白い肌に……透明な紅い目。本当にこんな美人がいるんだな……人形見たいに現実的じゃない。
ま、口を開けば気のいい人だとは分かるんだけど、見た目で誤解されそうな外見だな。
俺も人のこと言えなかったけどな。
いや、今はそんな自虐的なネタよりもブランだブラン!!
泣いてないか?独りで悲しんでないか?身の安全は大丈夫か?拾い食いしてないか?
あぁぁぁ……しんぱいだ!!
やっぱりダブちゃんはダブちゃんでした。ブランバカの称号は君のものだよ……