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仮想家族を考えてみた

 ののんびりしているブランちゃん

 きゅっふーー…どうもブランです。旅に出たら速攻で旅の相方ダブちゃんが別世界に召喚されてしまい待てども待てども来ないので、一人で待つのも飽きた…という理由であの人――名前不明なんだけど気にしない――にひしっと引っ付いて連れ帰ってもらいました……あの人の家に……フッ屋根があるって素晴らしい……


 ふかふかのソファにゴロゴロしてダブちゃんの帰りを待ってます。



 そしてあの人の家族さんに遭遇!



 感想としては……女の子? と思うほどの美形……チッ……何でこの世界は美形ばかりなんだ!絶望した!


 ……けど、何やらこの人…悪い人ではない――私にとって煩わしくないという意味で――と私の第六感的な何かがいってる気がします。



「お前……そっか伯父さんが言ってたな…どうもニーアです。」


「きゅふ…(あ、ご丁寧にどうも…ブランです)」



 多分通じてないと思うけど、礼儀正しく会釈されれば返したくなるのが日本人の性……何でしょうか?

 自己紹介をしてくれたこの人はニーアくん。あの人の甥っ子で引き取って面倒を見てるらしいです。


 あ、それと聞いてくださいよ。あの人とこの子と同じニーアって名前なんですって……何とかJr.とか何世とか同じ名前を付ける習慣でもあったんでしょうかと思ったけどそうでもないみたい。


 名前を知っていることをニーアさんとニーアくんに秘密にしててくれって言われてしまった……だったら言わないでほしかった気もする。


 前なら口に出しても誰も理解できなかったけど、今はダブちゃんもシロクマになったから言葉が通じるんですけど……ポロっと出たらどうしよう……



「はい、どうぞ~」


「いただきます!」


「きゅきゅきゅぅ♪(いただきま~す♪)」



 ニーアさん――アーさんと呼ぼう――は料理上手でした。料理に舌鼓しながら話を聴いていると何でもニーアくんは家庭の事情で両親と暮らせないのでアーさんのご厄介になってるそうです。戸籍上はまだ子供ではない様ですけど、本当の親子のように見えました。


 それにしても……アーさんはお父さんと言うよりお母さんな感じがしてなりません。髪が長いからでしょうか? それとも女顔の所為でしょうか?

 どうもそんな錯覚を覚えるのです。


 ま、ご飯が美味しいから詳しいことは知らなくても良いです。ウマウマ♪



「――ご飯粒ついてんぞ」


「あの体だとスプーンも使えないから犬食いになるからねぇ。」



 必死で食べていたらいつの間にか付いていたご飯粒をニーアくんが取っ手くれました。世間一般の感性を持つお嬢様方ならキュンとくるシチュエーションでしょうが私にとっては「あ、付いてましたかどうもすいません…」です。それ以外ありませんでした。


 枯れてますよね私………チャーハン美味しいから別に良いですけどね!



「むぐむぐ……はぐはぐ…もぐもぐ…」


「勢いがスゴいな…」


「ここ数日マトモに食べてなかったからかな? 果物や昆布だけでは飽きるだろうし…」


「何処の誰だよ傍迷惑な召喚した奴……」


「さぁ? 貴族か……王族か……どちらにしても迷惑な権威やら意地の為だろう…」




 いつも笑っているような顔が一瞬にして冷たい空気を纏った……目も何処と無く冷たい。王族とか貴族に対して何か嫌なことでもあったのだろうか?



 テーブルに直接乗っかって犬食いしているので直ぐに立ち上がって手をトントンすることもできない……この体になってから少し不便に思った。





 さて、このアーさんとニーアくんの家で過ごすのはとっても快適でしたと言っておきましょう。何せダブちゃんという過剰に構ってくる人が居ませんから好きなようにのびのび出来るのです。最高ですよ……まあ、ダブちゃんと弟君達との生活だってのびのびとしてましたが……寝ている私をわざと起こして構わないだけアーさんたちの方が良いですよ。


 ニーアくんも頭を少し撫でるだけで後はひたすら読書に勤しんでますし、アーさんも何やらフラスコ片手に実験中みたいですし……あぁ、こんなに構われないってもの久し振りで……寂しくはあるけどこれはこれで私も骨休めになるわ……




 この二人を観察していると優しいって事がよくわかる。



 ここは水中の家ではないので私は移動するのが不便だ……とっても不便だ。


 ソファに上がるのも一苦労……そんな時ふと気付いてくれてソファに持ち上げてくれるのだ。読書中でも気が付いてくれるのには感動した。

 アーさんなんて後ろを向いていたのにも関わらず、振り向いてくれたのだ……あの人には頭に目でもついているのか?



 暇なので私の周りの人で家族構成を考えてみた。



 まずはお父さん兼お母さんはアーさんだと思う。料理然り、雰囲気然り。それと何だか逆らえない雰囲気なのが決め手だ。私の母親もそんな感じで父や私を操作していた気がする……でもこんな美人ではなかったが。


 ニーアくんは頼りになるお兄さんかな。ダブちゃんはよく構ってくる兄……これに限る。


 そして弟君も兄……なのかな。確りしてるし……料理以外は。ダブちゃんの愚痴では天災的な方向音痴で目を離すとワープしたかのように明後日の方向から……うん。彼はきっと何処か遠い星から来たのかもしれないね。



 そして私のポジションは末っ子……うん。お世話かけてます。



 こうして見ると私って凄く恵まれている。人としてではなくペット感覚だとしても……前世()と比べると天と地ほど差があるくらい。


 ………何か思い出してはいけない事を思い出してしまいそうな気分……止めよう、昔は昔だ。




 さぁーて、ダブちゃんはいつ帰ってくるのかな?



 そう思いながらふかふかのソファで涎を垂らしそうなほど惰眠を貪る私であった。



 涎は垂らしてないよ!








 今の状況を受け入れているブランちゃんはかなり豪胆だと思います。自分ならきっと緊張して無理ですね。


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