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旅に出たら相方が召喚されました……私は置き去りです

 急展開からの急展開!?

 非常に不味いです……



 はい、ただ今ボッチで広い広い海の底で途方に暮れています。何でこんなタイミングで召喚されるんでしょ?

 誘拐になるんじゃないかと思っても誰にも頼ることもできません……なんせ兄ことダブちゃんしか連絡手段を持ってなかったんですもん……私も持ってればよかった。今更遅いですよね。



 はぁ~~いつ帰ってくるのやら……



 ただ今一時間は過ぎました。お腹も減ったので岩場に潜んでいたサザエ……は堅いし生は嫌なので昆布をかじってまふ。……中々噛みきれないけどその分お腹も膨れるってもんでふ……けぷっ……満腹満腹……



「きゅぅ~~(あぁ……寂しいなぁ)」



 私ってばいつも誰かが傍にいた……なので酷く今の孤独が寂しい…身に滲みる……(ノω<。)



 その所為かお腹一杯になっても昆布を片っ端からかじっている……下手したら一面ハゲ野原……気を付けないと。

 一先ず一ヶ所で昆布を食べるのだけは避けよう。





 ―――――二時間後……未だにダブちゃんは帰ってこなかった。



 お腹一杯になり次は眠くなってきた……だが寝るわけにはいかない。誰も居ないこんな辺鄙な海底で寝るなんて……ダメでしょ……ダメ。


 それにダブちゃんが帰ってきたらどこにいるのか分からなくなるでしょ……寝ちゃダメだ……寝ちゃ…ダメ……(´ω⊂)




 ――――眠気を堪えて三時間…まだ帰ってこない





 ――――四時間……まだ来ない。



 ――――五時間後…六時間後……ウトウトして気も漫ろ……もう待っていることは出来そうにない。何処か隠れられる場所を見つけないと……




 ――――何時間経ったか分からない。遠い空はすっかり日も暮れて海底は真っ暗……もう寝てしまおう。





 ――――次の日も帰ってこない……帰ってくる気は有るのだろうか? あったとしても帰ってこれるのだろうか?

 よく小説では帰れない事実に絶望したりするよね。でも可愛いもの好きのダブちゃんならその世界で可愛いものに囲まれてれば……案外暮らせていけるんじゃない?


 この世界で召喚されたならまだ戻ってくる希望もあるけど……望みは薄いかなぁ…



 あ、でもダブちゃん義理堅い性格だし何年かかってもこの場所に戻ってくるかも……ん~~~





 ものすごく眠い……目蓋が開きそうにない……あれ?昨日寝たよね? どうしてこんなに眠いんだよ……




 目を開け周りを見渡し水底から太陽を眺める事を10回程繰り返した辺りで昆布以外の食べ物を見つけた……あれはダブちゃん達に貰ってた果物中にあったやつだ!!


 見た目白くてツヤツヤした卵みたいな見た目で味がサクランボみたいな果物……これって海の水の植物だったの?

 2~3個海を漂ってた……運が良いのか悪いのか……



 私もただ待っているのは暇なので素早く卵擬きの実を回収して見つけた岩の隙間に入りながら食べました……何だか味がしなかった……




 もう何日になるか分からない。鋭い爪があれば岩にでも何日経過したか記せるんだけど…生憎と爪なんて無いし器用でもない前足しか持ち合わせてない。



 ダブちゃんは元気でやってるでしょうか……可愛いもの欠損症を発症してないといいのですが……今は自分がシロクマ何ですから最悪自分の肉球をふにふにしてください。まぁ効果は半減でしょうけど。



 なにもしないのにも飽きてきた……。ここは色んな物が流れ着くのか果物がよく漂ってくる……何なの?




 ――――多分15日以上経ったある日……




「もう少ししたら帰って来れるそうですよ?」


「きゅえ!?(何処から現れた!?)」



 突然……上辺りから声がしてそう告げました……え?誰なの?

 そう思っていると隠れている岩の隙間の出口付近に顔が……ちょっとビックリした……



「もう忘れたんですか? 兄弟宛に置き手紙を置いた者です……覚えてません?」


「……きゅ!(あ、貴方でしたか!)」



 兄弟に品物を売ったり今回のダブちゃんシロクマ化に協力していた……お名前なんでした?



「私の名前は……まぁ後程……それよりもヴァイスさんはそろそろ帰ってきますよ……2日、3日辺りにでも」


「きゅきゅぅ?(その情報は本当なのでしょうか?嘘なら往復ビンタでよろしい?)」


「流石に往復ビンタは勘弁ですね……で、何時までもブー垂れているんですか?」



 別に~、いじけてなんかないもん!……ただちょっと機嫌が最悪なだけですよ~。



「まぁ…ヴァイスさんの事は…多目に見てくださいよ……彼の慌てっぷりは貴女にも見せてあげたかったほどですよ? 急いで私に連絡をとって様子を見るように頼んだのも彼なんですから」


「きゅ?きゅ?(え?ダブちゃんが?でも今初めて姿を現したじゃないですか貴方…)」


「あぁそれは……人見知りか何なのかあまり面識のない相手から食べ物を渡されても貴女は食べないだろうと……ヴァイスさんから言われましてね…人知れず食べ物を貴女のいる場所に届けて見守っていたんですよ……余計なお世話でしたかねぇ?」


「――ふきゅ!?(あの美味しい果物は貴方のしわざだっんですか!?)」


「海に自生してる果物ではありませんからね……始めのうちは海草ばかり食べていて、置いた果物に見向きもしなかったので困りました……だからと言って話し掛けても警戒させるだけと思い……寝ている貴女の目の前に置かせていただきました」


「ふきゅきゅ…(その節はお世話になりました…)」


「いえいえ、こちらこそ可愛い生き物のふて腐れながらもヴァイスさんを待つ姿を観賞出来て楽しかったです……と、今後もこの様なことがあると大変なので……これを渡しておきます」



 白い前髪で隠れた紅い目と合いビクッとしたが、失礼…と言いながら尾びれの付け根に輪っかを付けられる……この人の目を見ると動きが鈍るみたい……バジリスクやコカトリス……は嘴だったっけ?の様に見たものを石にでもするのだろうか? 切れ長の美しい顔が目の前にあった。


 ……はっ!(゜ロ゜)!


 私としたことが、見とれていた……イケメン嫌い(兄弟は除く)の私が見とれていた……だと。


 でも不思議とこの人は嫌な感じがしない……靄も見えないし……あれ?この人……前に……かなり前に会った気がする。暖かい……安心するような……何だろう。何処かを一緒に?歩いていたような……気がする……う~ん思い出せない。



「――はい終わり。この環を付けていれば位置は分かるから何かあったら念じてね?」



 そう言って帰ろうとしたこの人を引き留めてダブちゃんが来るまでの間構ってもらった。この人の側は何故か落ち着く……頭を撫でて貰うともっと落ち着いた……


 そんな光景を戻ってきたダブちゃんが見て嫉妬して噛みつこうとして来るなんて……思わなかった。



 ダブちゃん……君はそんなに私の毛皮を独り占めしたいのか?



 何処か楽しそうにダブちゃんのカミカミ攻撃を回避するこの人を横目で見ながら思う私であった……。






ふ不運なのはブラン?それともダブちゃん?

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