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シロクマです……カフェは開きません

 何でシロクマ?

 あ、どうも、急展開についていけないブランです。


 コソ泥さんの騒動から一週間過ぎ、私たちはその事を忘れかけた今日――なんと兄弟の両親から城に来るように……といきなり使者がやって来た。今回はこの前の貴族の三男坊ではなく、何処と無く意地悪そう――現に色つき靄警告では黒と黄色が。この色の組み合わせて危険な気がする――な柄の兵士を連れた高慢ちき――これも色んな色が混ざって汚い色になっている。こういう人は大体悪巧みを企んでる傾向がある――な如何にも貴族といった風体のでっぷりしたオッサンがニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべていた……兄は今までで一番の不機嫌さだと思う。


 そしてやっぱり重力と水中という状況を無視していた。魔法ってホント何でもあり。




「王子方は恐れ多くも登城を陛下が御許しになられました……ひいてはお二人には早々に城に来てもらわねば成りません。」


「拒否権は?」


「――あまりご無理を言いますな。慈悲深い陛下に感謝してもらいたい程ですぞ」


「………(何が慈悲深いだ。強欲色魔の常春頭な癖に)」

「きゅ……(私はどうなるんだろ)」



 何が恩は忘れない…だ。早々にして自分の心配を始めるなんて……私は薄情者だ。



「……色々と準備があるので後日に出来ませんか?」


「あまり時間を掛けるものでも無いでしょう……」


「そこをなんとか…(チッ、どうせ城に呼んで帰す気なんて更々ないんだろ)」



 渋るオッサンを何とか言いくるめた兄弟は明日の昼までに身辺の整理を終えなければならないらしい……。


 もしかすると私が罠に嵌めたコソ泥の父親や親戚筋かもしれない。貴族って世間体を大事にするからね。結構雑な扱いをしたから。宝石も傷が付いていたのかもれしれない。



 そして少しイライラしながらオッサンと柄の悪い護衛は一端帰っていった。



「さて、さっさと片付けないとね……」


「あぁ……」


「……今更何のようなんだろう」


「どうせ物珍しさか、自分の立場を誇示したいがためのデモンストレーションだろ」


「何の為に?」


「どうせ王を振り向かせるためにとか、自分が産んだ王の子を側に置いて自分の地位を確保したいんだろ……あの常春頭の色魔が一人の妻だけで満足するとは思えない」


「そこまで堕落してるの?」


「堕落の代名詞になるほどには」


「絶望的だね」


「………兄上の立場を脅かそうなんて思ってんじゃないのか?あの女。俺達はその事に関しても味方には絶対ならないのにな」



 助けてくれる唯一の血縁だもんね……



「ところで、ブラン……どうしよう?」


「今から誰かに預けるにしても信頼できる人は一人しかいないし……遠いしなぁ……仕方ないから連れていこう……魔の巣窟に連れていくのも不安だが」


「涙の件もあるしね……心配だなぁ連れていくの」



 え?連れていってくれるの? ホントに?荷物にしかならないよ?ホントに?良いの?



「一緒に来るか? あの女に目をつけられる危険もあるが……それが嫌ならここに残ってあの人に預かって貰うことも出来るぞ? それでも良いなら……ついてくるか?」


「あ、そう言えば置き手紙あったもんね……ブランも会ったことあるってことかな?」



 手紙……あぁ、あの気配もなく家に入ってきた不思議な人……あの人に預けられるよりこの二人についていきたい!悪い人ではないんだろうけど…さ


 ……実は私人見知りなんです実は……慣れるのには時間がかかるのよ。






 そんなわけで私は兄弟に付いていくことになった。




 家を出る直前に兄がもらした一言は忘れもしない。


「ブラン……このリュックに入ってなさい。異次元だから広いぞ♪」

「きゅ?(ぇ?)」

「あの人から買った物だ。お前の遊び場と化した避難場所もスッキリ切り取ってきた……それと家の使えるもの全部入れたから心配ないぞ♪」

「(゜д゜)」



 聞きまして奥さん!(誰だよ)


 兄は空間を切り取ってリュックにしまったと言ってますが?え?聞き間違いじゃないの?ホントに?



 こうして私は晴れてリュックの住人になったのでした。


 あ、例によって来客の場合は隠れてました。コソ泥さん以外には姿は見られてません。後、不思議な人は論外です。



 きっと某猫型ロボットの四次元ポケットの中はこんな感じではないかと思う空間でした……ちゃんと空気があるのね。この中まで水だったらどうしようかと思ったよ……あ、でも水がないと移動できない。


 アザラシは陸ではのろまですから……可愛いから減点には……ならないよね?


 何かリュックの中は重力があるのかないのかよくわからないない空間でした。もう、頭が追い付かない。理解なんて端からしない方が良さそう。






 そして首尾よく?王に謁見が叶ったのでした。兄弟的にも私的にも会いたくなどなかったけどね。



「無駄にでかくなったな」


「……」


「……」



 無言、兄弟は終止無言を貫いた。母親とおぼしき女性の元気にしてた?の問い掛けにも無言だった。これは礼儀云々不味いのではないか?


 だが、王と女性はお構いなしに話続けた。まるで返答など端から関係ないとばかりに……問い掛けたのではなく自分が話すきっかけに過ぎなかったのね。



「―――それでね……陛下とそろそろ陸で生活しても良いんじゃないかって話したの。あなたたちも陸で暮らした方が幸せでしょ」


 最早疑問形でもなく決めつけだった。



「妃の申し出に特別に許可してやったありがたく思えよ」



 一々感に障る話し方と偉そうな態度……それとそこまでイケメンでもないどや顔……嫌いだがあの前世の迷惑なイケメン共は顔だけはよかったとは思っている。あれで性格も良かったら無敵だっただろうさ。


 そんなイケメンには足元にも及ばない……そんな王がふんぞり返っている。



 まぁ、確かにイケメンだから偉いって訳でもない……が、先入観と言うものは消えないものだ。目鼻立ちが整っていれば多少のことは許される……実際にそんなことが多い。


 何が言いたいかと言うと………王さまから小者臭がしてならない。服装も似合ってない……お腹が出ていたらよくいるただのオッサンだ。



 そしてさっきから喋っている内容が如何に自分が権力を持っていて逆らうことなど毛頭出来ないとまるで物珍しい玩具を見せびらかす金持ちのボンボンみたいな……そんなとこばかり言っている。



 兄の怒りのボルテージはもう限界間近だ。



 別にこの謁見の間にいる人達がどうなろうが知ったこっちゃ無いが、兄や弟君が罪を問われるのはなんとしても回避したい。私の心の安寧の為にも。と、リュックの中で考えていた。



「何か親に言うことはないのか? 薄情な奴らだ。こうして我や妃が会ってやっているというのに…」



 何とか怒りを堪えていた兄がこの言葉でキレた。


 てか、我って……一人称我って……この人には似合わない。




「薄情な? よく言う。10歳にも満たない子供を捨てて王位に食いついたくせによく言うよな。会ってやってる?俺たちの中ではもうとっくにアンタら死人扱いだよ。陸で暮らした方が良い? 勝手に決めんな。何処で暮らすかなんて自分で決める。アンタら身勝手な大人に振り回されてたまるかっ」


「――っ…そんな、貴方たちの事を思って」



 目を潤ませた兄達の母親――あぁ…弟君は母親似なのね。――が悲しそうに目元を隠すが……涙は出ていなかった。リュックから見ているからといって侮るなかれ。この高機能リュックは中からならちゃんと見えるんだぞ!



「はっ!よくもそんな口が聞けたもんだな。俺たちを捨てていくとき「貴方たちの面倒を見る暇はきっとないの。もう自分の事も自分で出来るでしょ?」そう言って大して蓄えもない家に置き去りにして置いて……自分勝手な考えを俺たちに押し付けるな!!」


「親に向かってなんて口の聞き方だ!!」



 と、まぁ、こんな一騒動ありまして。



 今は兄弟別々に牢屋のなかです。私は兵士さんの恩赦で兄と一緒の牢屋に入ってます……リュックとしてですが。


 それにしても大人気ない……本当の事を子供に指摘されたからってキレるなよ……。



「悪かったな…」


「そんなことないよ。胸がスカッてした。僕が言いたいこと言ってくれたんだし後悔なんてないよ。それに見た?あの人達の間抜けな顔……」


「いつも詰めの甘い人達だ……俺に反抗されるなんて思いもしなかったんだろう。」



 隣同士に牢屋に入っているのでこうして話していますが、結構今危ない状態なのです。何故なら……



 人魚である二人は純粋な人魚程ではないにしろ水がないと生きていけないからです。確かに人間も水がないと生きていけませんが人魚は更に何倍もの水を必要とします。


 更に魔法も水に影響します。水があるなら魔法はある程度使い放題……逃げ出さない様に水を一滴でも与えることを禁止したのです。



 王は自己中……母親は純粋な人魚のハズなのにその恐ろしい処罰に何にも感じてない様で兄弟が兵士に連れていかれる時には泣いていました……勿論兄弟の身を案じて等ではありません。

 明らかに自分が可哀想で泣いていました。


 もうなにも言うことなどありません。



「………」


「………」



 兄弟……特に兄はこの事態をある程度予想していたようです。

 リュックには新鮮な水も入っていました。



 勿論私が入っている空間とは別なので悪しからず。



 それで何とか食い繋いできましたが……水も有限です。大量にあったとしても直ぐに無くなるでしょう。



 3日経ち、兄弟もぐったりしてきていよいよ命の危機が二人に迫ってきました。


 私にできることなど時折リュックに手を入れてくる兄の手に顔を刷り刷りする位です。弟君は一人で入っているのでとても心配ですが、どうやらメンタル面は弟君の方が強いようです……何処までが空元気か分かりませんけど。




 そして干物になるのではと思われた5日目……面会がありました。


 兄弟の腹違いの兄上でした。



「人魚がろくに水を与えられず辛かろう……」



 看守の目もあるので派手なことは出来ませんが、彼は兄弟にコップ一杯の水を持ってきてくれました……しかも、魔法の掛けられた水を。


 そして小声で言いました



「この水は瞬時に体力を回復するだろう……あの人からの物だ。」


「……(またあの人ですか…ホントに不思議な人)」


「それから………―――だ。準備が整い次第決行する。いつでも動けるように…」



 その事伝を伝え終わると早々に立ち去っていった。


 私は兄弟たちの企みを全く予知出来なかった。






 そして、それから二日後……国の衰退を早めていた王が崩御した。










 ドウシテコウナッタ!?



 私にもわかりませんよ。



 そして兄弟の親が登場しました。が、早々に退場です。


 腹違いの兄上も出てきましたがまだ出番は先になります。あとあの人も話には出てきましたね。誰なんでしょうね……



 何故か変なところで区切りましたが続きます。




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