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泥棒を撃退したらやりすぎだと怒られました

 やり過ぎて怒られブランちゃん

 どうも、いつにも増してぶぅ垂れてます、何時までも赤ちゃんなアザラシのブランです。



 前回のあらすじ……泥棒来たので罠で捕獲して身動きとれない泥棒の腹の上でトランポリンしてたら怒られた。だって暇だったんだもの……兄弟が帰ってくるのが早かったから……もっと遅くなると思ってたのさ……しくじったわ。



「ブラン……ちっとも反省してないよね?」


「きゅぅ?」(きゅるん)



 必殺!可愛い顔!! しかし弟君には効かない、更に怒りだしたようだ!?



「きゅぶ…(ちっ、色気が効かんか…)」


「言葉は分からないけど何言ってるか大体わかるからね~……反省の色なしだよね…ブラン?」


「もうその辺にしてやれ…」


「兄さんはブランに甘過ぎるよ! 綿あめに砂糖を振りかけたみたいに甘いよ!」



 甘いものは好きだがそれはゲロ甘ッスね。出来れば食べたくはない。胸焼けがするよ食べてもいないのに……


 ある意味拷問ですよねそれ。




「さて……どうするこの泥棒…」


「その辺の浜にでも捨て置け」

「きゅ!(いや、私が言うのもなんだけど…それは可哀想だ)」


「だからと言って憲兵に突き出す事も出来ないし…」


「と言うより、何でコイツは家に侵入したんだ……こんな海の底に」


「たまに居るよね……海の底にある屋敷に忍び込んでお宝探すトレジャーハンター崩れ」


「居るなぁ……冒険者崩れが」

「きゅう?(トレジャーハンター崩れ?冒険者崩れ? 夢破れたのその人)」



 今更だが顔をよく見ると20前半のやけにキラキラした顔をしてたよこの泥棒。フードで顔が見えなかったから気が付かなかったわ。



 ちっ、またイケメン枠かよ。どいつもコイツも顔が良いからって何しても許されると思ってんのか?ただし兄弟は除く。私ご飯もらった恩は忘れないよ。初めて保護された夫妻は売り飛ばそうとしたからノーカンね。



「………」(ゴソゴソ)


「おい、何してるんだよ」

「きゅっ!(弟君!?何泥棒の懐探ってるの?!)」



 何を思ったか弟君は泥棒の懐を探り始めた。あ、そうか。何か身元が分かるものでも持ってないか確かめてるのね……そんな分かりやすい物持ってないでしょ、バカじゃないんだから……



「何か持ってたら身元が分かるかもよ?」


「こうなることも想定しているだろう……そんな身バレするような物を持ってるわけ……」

「きゅうきゅう!(そうそう!ナイナイ…)」


「あ、あった」


「………」

「………」



 どうやらこの泥棒はバカだった。それとも捕まるとは端から思ってなかったのか?何れだけ自信があったのやら……


 その割りにこの家のペットのアザラシ()に捕まるなんて……割りとおバカさんなのかもしれない。ま、どちらにしてもコイツの腹の上でトランポリンしても問題ないと思うよ。どうせ気絶してるし♪



「きゅふは!(最後に食べようと取っておいた果物を一つ踏んだそうだしね……フフフ!)」


「ブラン……もう泥棒の腹で跳ねるのは禁止だよ」


「余程何か怒ることでもあった…あぁ、イチゴが床で無惨な姿に……」


「……気がつかなかった。もしかしてブラン……食べ物の恨み?」



 ついさっき気が付いたんだよ……私が慌てて二階に逃げたから楽しみに残しておいたイチゴが踏まれて……フフハ……私のイチゴ……



 この恨み忘れはしないぞ。




「で、どんな事が書いてあるんだ?」


「身元証明みたい……あ…」


「ん? どうした……あぁ…」

「きゅ?(どうしたの?)」



 身元証明書らしい物を見て弟君は現実を直視したくないと顔に確りと出し、兄は不振がって覗き込み納得した。何がどうしたのさ? 文字も読めない私にはサッパリだよ。


 兄の肩にふよふよと泳いで行き肩に停まる。若干兄がキラキラした目で見てきたが無視無視……それよりも何が納得しかけているのか教えてくれよ、と視線を送る……若干兄の鼻息が荒いが……これも無視……しようも思ったら手を伸ばして私をモフろうと目的が見え見えなので前足ひれで叩いておいた。私は悪くないです。



「ブランが冷たい……」


「時と場合を選ぼうよ兄さん…」


「きゅふ!(そうだそうだ!)」



 油断も隙もない。今度から兄が喜ぶ行動はなるべく避けよう。



 こら兄!そんな残念そうな顔で見るな! いつもの無愛想な顔はどうした! 日頃そんな顔はしないんだからこんなことで心底悲しいって顔するな! 美形の破壊力ナメるなよ!! 心臓がバクバクだよ!!!


 

 降りてもいいのだけど、書いてる内容も気になるので、しつこく手を伸ばし自分の顔を押し付けようとする兄の頬を前足ひれで押し返しながら説明を待つ。ってオイ顔を近づけるな!スリスリしようとするな!!



「………っと、そんなことしてる場合じゃないよ兄さん! このコソ泥貴族だよ……男爵の三男坊……不味いことになったかも」


「これは千載一遇のチャンス!……と、これは今でなくても出来るか……で、どこの国のバカだ?」

「……(隠すことなくバカって……まぁ、泥棒してる辺りバカなんだろうけど…)」


「ちょっと待ってね……えーっと…………うわぁ…最悪」


「まさか…」


「そのまさか……だよ。 よりにもよって」




 はい。兄と弟君が絶望的なムードになり説明も疎らにしかしてくれなくなった……ので、ぽつりぽつりと溢した言葉から私が推測して説明しよう。


 どうもこのキラキラしい泥棒の出身はこの兄弟の父親の統治する国の出らしい。しかも今も身分は貴族……キナ臭いね。


 しかも兄がもっと泥棒の持ち物を探って見付けたのが……兄弟の母親の宝石類や装身具等を持ってこいという命令書……どこに人様の家に勝手に入って持っていこうとする奴があるか! それは泥棒です。絶対にしてはいけない。


 しかも……この命令書によるとどんなに兄弟が拒んでもそれらしいものを持ってくるようにと……親じゃなくてハイエナ(いや、ハイエナに失礼だわ)並みに欲深いのね(何度もいうけどハイエナに失礼)



 それにしても……本当に親の資格ないんじゃないこの父親も母親も。自分のことしか可愛くないのね……親になったことないから親心には詳しくないけど、これは虫酸が走るわ。



「チッ、やっぱりあのバカ共の仕業か……(いっそのこと兄に王位を継いでもらうか?)」

「きゅぶ!!きゅきゅーー!!!(それでも人間かぁぁ!!)」


「……二人とも落ち着いて……この泥棒をどこに棄てるか考えないと」



 この中で一番物騒なことを言っているのは弟君だよね。




 もう少しこの泥棒にのしかかりしとけばよかった。コイツに罪があるか知らんけどな!


 今からでもトランポリンしても良い?ねぇ、良いよね?



「きゅ?きゅ?きゅ?(ね?ね?ね?)」

「…………(可愛い……)」


「………ブラン」


「きゅーう?(やっぱダメですか?)」



 そうだよね……如何にとばっちり食らったのかもしれない泥棒でもそんなことしちゃ行けませんよねぇ……分かってますって弟君。私も子供じゃないからね……残念だけど今回は大人しく……



「さっきより強めに跳ねてね♪(黒笑)」


「きゅっ!?きゅーきゅっきゅー!!(え? サーイエッサー!!)」

「……(前足が届かないのに必死で敬礼してる……可愛いなぁ…ん?敬礼なんて何処で……ま、可愛いからいいか)」



 弟君からお許しも出たので遠慮なくトランポリンすることになった。



 弟君は怒ると恐いお人だった。肝に命じておこう。










 影のドンなんです弟君。

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