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家のブランはやり手だったのだが説明求む

 兄視点です。

 いつも街に到着する時間を大幅に短縮して弟を呆れさせ、換金屋を少し脅して早めに売り払い、買わなければいけない物を厳選して購入、途中弟を見失い焦って探し、逆ナンされている弟を見つけケバい女達から助けだし、漸く帰れる。今ここだ。



「ごめん兄さん……目を少し放したら見えなくなってて……」


「いや、俺も焦っていた。早く帰りたくてな」


「あ、うん。知ってる」



 弟には「本当、兄さんはブランが大好きなんだから♪」とニヤニヤして言われた……おい、なんだよその目は。


 まだ赤ん坊なんだぞブランは。残してきたら心配になるのは当たり前だ!


 心配事は尽きない。色々と教えては来たが、あいつは少し抜けてるところがあって教えたことを忘れるかもしれないんだ……心配になるなって方が無理だ。特に花瓶に頭を突っ込んだ時は隠れて見ていたが……笑を堪えるのが大変だった。腹筋が崩壊しかけた。本人はバレていないと思っているようだが……残念だな、全てまるっとお見通しだ。ま、あの時は偶然見れたんだけどな。



 そんなどこか抜けてるブランを独り留守番なんて……不安で仕方ない。もう俺はそれしか言ってない程心配なんだ。



 そして、家に着くのは当初の予定では午後11時頃だと想定していたが、驚くべき速さで家に着いた俺たちであった。弟曰く“愛だね、愛……ご馳走さまです”だと。だから、何でお前はそんな邪な目で俺を見るんだよ。


“それはどうみても兄さんが異常なほどブランに執着してるからだよ by弟”



 何か聞こえた気もするが気にしない。



 さて、ブランは大人しく留守番していただろうか……そう想いながら鍵を開けようとしてふと違和感に気づく……鍵が開いている!


 ブランはあの通り鍵を開けることは出来ない。ブランもそこまでバカじゃない。例え出来たとしても外に勝手に出たりはしないだろう……食べ物が無かったら出そうな気もするが、キチンと山盛りに果物を置いていった。そして何かあれば……隠れ場所も教えている。


 あいつは頭も良い。一度教え、説明したことは理解している。そんなブランが訳もなく鍵を開けて外に出るか? 否。


 出るわけがない。




 弟も異変に気が付き、二人で慌てて、だが慎重にドアを開けて中に入った。



 家のなかは……まるで嵐に見舞われた様に色んな物が散乱していた。そしてブランに置いていった果物が一つだけ転がっていた。ブランは頭は人並みに良いが少々食い意地が張っていて…まぁそこも可愛気があるのだが……滅多なことでは残さない。そしてこの物が散乱している状況……泥棒が入ったと理解した。


 ブランはドジだがここまで散らかさない。そして果物一つを残す……食べ終わりそうな時間帯に泥棒の気配を察知したブランが慌てて逃げて……多分教えた隠れ場所に避難したのだろう。


 しかし、もしかすると泥棒は未だにこの家にいるかもしれない。特に人並みに頭が良いブランの事だ。もしもの時にと思って教えたあの侵入者対策の罠を使ったかもしれない……。



 俺は急いで階段を駆け上がり、指定した避難場所の俺の部屋に向かうと……




「きゅふっ!きゅふっ!!」


「ぐぇっ、ぐぃぇっ……」



 泥棒とおぼしき人間の腹の上で跳び跳ねているブランが目に飛び込んできた。ご丁寧にも泥棒は簀巻きになっている。ブランよ、お前は本当にお利口さんだな……番犬よりも番犬だな。



「流石ブラン!」


「兄さんそろそろ止めてあげて、泥棒が泡吹いてる…」


「きゅっふーー!!(ヒャッハァァー!!)」


「ぐふっっっ!……」



 若干……どこぞの二重人格(?)の隙間だか欄間だかの喉や頭の血管をぶちギレさせるような叫び声に聞こえたが気にしない。あれの真相を見れなかったのは悔やまれる……ラジオも好きだったのに……



 まぁ、一先ずそれはおいといて……


 いやぁ……ホントにうちのブランって頭良いな。



 けど、発動した罠……コンボでも決めたのか?



 作った俺が言うのもなんだが……この簀巻きトラップは相当気配に鈍くないと引っ掛からない。だからタライとか花瓶とか飛び出す床トラップで気絶状態にしないと効果がない。余程のドジ位しか引っ掛からない。だが、一度引っ掛かってしまえばもう回避は出来ない……恐ろしいトラップだ。


 あ、俺が作ったのは簀巻きトラップだけで後はとある人から買ったものなんだけどな。もっとえげつない物も有るにはあるんだけど……部屋を汚したくないので設置してない。そんな理由と言うなかれ。掃除は大変なのだ。特に絨毯に着いた染みは落ちにくい…………血とかな。



「ブランももうやめてあげなさい!」


「きゅ?(え?)」


「え?じゃありません……やめなさい!」


「きゅ!きゅい…(あ、はい…)」

「よくやったぞブラン!」


「兄さんも誉めないの!」


「―――――」



 俺がいうのもなんだが……その泥棒放っといて良いのか?



「え?うわぁぁぁ!!! ちょ、兄さんも手伝ってよ!」



 目を回して泡を吹いている泥棒を介抱しないといけなくなったのは癪だがブランを殺人犯にはしたくなかったので渋々ながらに奴の口に目一杯薬草(激苦)を入れてやった。噛みにくいグミじゃないだけありがたく思え。



「きゅー?」

「お前は悪くないぞ。鍵のかかった人様の住居に不法侵入したコイツが悪いんだ。お前は正当防衛をしたに過ぎない(多分)」

「……きゅふぅぅ…」



 それにしてもトラップを使いこなしているようだなブラン。それと少し顔が埃で汚れてるぞ……少し部屋を掃除した方がいいようだな。


 だがその前にブランを風呂に入れないとな♪





 俺が嫌がるブランを風呂にいれて(俺も一緒に入った)往復ビンタ(尾びれ)をされたのは言うまでもない。




 だが悔いはない!!







 兄は変態では……ないと思います。段々とキャラ崩壊来てきた……ドウシテコウナッタ!?



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