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隠密レベルは低めですから

 白って雪山でしかカモフラージュ出来そうにない色ですよね……白い街並みなら……どうでしょう?



 逃げては隠れ……場所を移動しては隠れ……



 どうも、皆さん……ただ今決死のかくれんぼを不法侵入者と繰り広げています。ブランです。




「(アイツただの泥棒じゃ無い……)」



 金目の物を物色するなら未だしも、何か違うものを探している……気がする。この家に金目の物はあの部屋(私が箪笥に潰されたあの部屋)以外には無いみたいですけど?

 頻りにリビングの引き出しをひっちゃかめっちゃかに掻き回している。お金なら今小さめの袋に入ってたよね?兄がへそくりならぬもしも貯金してたよ。金貨を5枚程入れてたし……取らんのか泥棒よ。お前は何しに来たんだ……




「無い……」


「(無いって何が無いんだよ?)」




 泥棒(仮)の魔の手は二階まで来るだろう。今私が居るのは二階階段踊り場。二階に泥棒(仮)が来るならまた逃げなければ……だが、あの部屋にはもう二度と入らない。予め兄と弟君と隠れる場所は決めていた。アレだ、こんなこともあろうかと!というやつである。



 隠れるのは兄の部屋。弟君の部屋はキチンと整頓されていて隠れる場所など……有るんだけど、私が居ると直ぐバレる程の違和感を覚えたのだ。だって家具もあんまり無いんですもん。

 それに比べて兄の部屋は生活感溢れる……いい感じに散らかっていて私が混ざっていても気がつかない。一応擁護しとくと、そんなに汚くはないよ。掃除もちゃんとしてるし、ベットの下は埃無いし……水中なのに埃とかあるのかってツッコミはなしの方向で。ゴミって水中でも溜まるもんなんだよ。



 そして隠れた場所は……隠し扉……と言う名のベット下の収納スペース。まぁ、説明によると収納スペースじゃなくて、本来は脱出用の通路らしいよ。二階と一階の床幅が分厚いのはこの為なのね。


 この収納スペース、取っ手は無い……何でも、手形を予め登録して一見床のに見える扉を(床は大理石)タッチして開ける……と何ともハイテクな扉なんです。



「(だからって私は前足じゃなくて顔形ってどゆこと!?)」



 前足よりも顔面の方が押し当てやすい……と兄の考えにより、私だけ顔面を床に押し付けて……何でやねん! 虐めかと思うぞコラ。




 ………と、まぁ…色々と思うこともあるが、兄の好意なので渋々ではあるが同意した。そして今ベット下に潜り込み――本来はベットを動かし―するのだけど――認識機能付きタイルに顔を押し付ける……ちゃんと掃除しててくれて良かった……してなかったら白い顔に埃がついて爆笑のお顔が出来上がり~…だったよ。



「(開けゴマァ……フアザラシ)」



 何言ってるんだろう…わたし。


 そう言えば私ってゴマフアザラシ?それともゼニガタアザラシ? まだ幼獣だから分からない……。てか、アザラシの赤ちゃんって……確しか生後2~3週間でこの産毛も生え替わるんじゃ無かったっけ? 何か動物番組でやってた気がするわ。



 とっくに抜けてもいいのよねこの産毛。




 やっぱり普通じゃ無いんだよね……私って。



 普通が良かったなぁ……



 ガタッ……そんな音をたてて侵入者が部屋に入ってきた様だ。余談だが、一度入ってしまえばこの扉は開かなくなっている。開けられるのは私か、あの兄弟だけ……本来は兄弟の両親もそうだったらしいけど、兄が『どうせ居ないんだから要らないだろ』と結論を出して除外されたみたい。



 さて、下手に動くと物音をたててしまうので動かず……に。



 暇なのでこの部屋の内装でも説明するとしますか。



 えーっと、この部屋は秘密基地みたいに色んなものがある。例えば何に使うとか不明な作業台+作業しかけの乳鉢と乳棒……何か薬でもこさえてたのか? そして剣や盾を飾る飾り台と……棚に並ぶ変な材料その他諸々……決して触っては行けない物だと直ぐにわかった。

 兄も触るなと言っていました……なら出しておくなよ。



 作業しかけの作業台からは何やら……およ?



「(これは…! 兄弟には見えなかった靄!?)」



 おいおい……人に見えるものとばかり思ってたよ。無機物……なのかは判別できないけど、感情云々だけではないのか……因みに色は赤……と白。


 経験上赤は怒りを表していて、白は喪失感や無感情……。綺麗な赤だから純粋な怒りなんだと思う。恨みとか入ってたらもっとどす黒い色だもの。




「ここにも無い…か」




 泥棒は目的の物が見つからない様でガサガサと色々物色して兄の部屋からは出ていってしまった。


 ハァ……兄弟の為を思うならこれ以上好きにさせるのは……阻止したい…したいのだが……私には荷が重い。この姿でなくても無理ですご免なさい!



 それにしても……素人の私から見てもこの侵入者は泥棒として素人だね……手際が良くないと思うのよ。もう、目当てのものが見つかるまで手当たり次第に物色してるんだもの。大体、こんな辺鄙な場所にある家に金目の物があるわけ無いじゃん。大体空き巣に入るなら下見するんじゃないの?

 兄弟二人(しかもそんなに裕福そうには見えない)しか住んでない家に金品なんて無いだろう……?



 あれ、でも……外見は幽霊屋敷みたいにボロボロだけど、作りは豪華だよねぇ……。あ、そうか!

 あの兄弟王子だもんね。本人たちが認めてないけど。親がこの家作ったんだよね……なら結構金品ありそうに見えるのかなぁ……ボロいけど。



 ん?でも……この侵入者は何か探してるんだよね? 何が目的なのさ~本当に。





 ………でも、もしも侵入者が探しているものがあの二人にとってとても大切なものなら……止めなければ!!



 何せ暇なもんで……それに兄弟が帰ってくるまで家をひっちゃかめっちゃかにされたら堪らないからね。しかし……どうしたもんなかぁ……




「!!!(そうだ、こんな時こそ地の利を生かさないと…)」



 作戦名は“家にボッチだけど…”だ。ネーミングセンス無いのは気にしないでください。



 そうと決まれば侵入者テキが遠くに行ったら作戦開始だな……ヒーヒッヒッヒッ…(  ̄▽ ̄)






 反撃に出るのか?

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