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ウチのブランに留守番は早いと思う

 兄の独白……という名のただのブランと弟に対するのろけ……



 今日は2話投稿です。飛ばして読んでいる方がいたのなら、もう1話戻ってください。


 ウチのブランはお利口だ……だがまだほんの赤ん坊なのだ。留守番なんてまだ早い。



「そんなに心配なら僕ひとりで行くけど?」


「方向音痴のお前に独りで行かせるなんて自殺行為だ……家の周りならまだ良いが……絶対に迷うだろう」


「そんなことは……ないと思いたい」




 ウチの弟は頭もいい、顔よし、性格よしの女から見たら優良物件だろう。だが、神は惜しいことに三物も与えたのに絶望的な料理の腕と理解不能な方向音痴を授けてしまったのだ。

 出来れば方向音痴だけは改善して貰いたい。将来のためにも。


 そんなわけで置いてくることも連れていくことも結構大変だ。ま、家に残してダークマターを製造されるよりは一緒につれていった方が面倒を見るのはらくだ。


 楽なんだが……目は離せない。目を離すと直ぐに迷子になるからだ。そんなに小さいわけではないが、直ぐに迷うのが……兄としてものすごく心配だ。一度迷ってしまえば家に帰れる確率は……無いに等しい。それくらい弟は迷いやすいのだ。



 だから本当はブランを独りにはさせたくなかったが、置いてくることも出来ず、だからと言って目立つブランを連れて来ることもできなかったのだ。


 少し前に町の方から回ってきたチラシにはブランとよく似た特徴の生き物を探していると書いてあった。たまに物を売りに来る業者に聞いてみると今から少し前に不思議な生き物が保護され町のみんなに溺愛されていたらしい……ブームが起きて縫いぐるみや関連グッツ等が飛ぶように売れた……らしい。



 まぁ、この業者が来れば良かったんだが…そうもとんとん拍子には行かない。もう食べ物も底をつくし、いつ来るか分からない業者を待っているのも論外だ。




 そして渋々家を出てきて一時間黙々と弟と街までの道のりを泳いでいた。無論弟から目は離さない。今のところ行方不明にはなってない。




「ねぇ兄さん……急げば夜までに家に帰れるよ?」


「ん?( -_・)?」


「早く帰りたいんでしょ?そんな顔してるよ?」


「そ、そうか?」


「うん。口よりもお喋りだからね兄さんは」



 そうか。俺は前と同じでは無いのか……前の俺は無表情で取っ付き難かったらしく、友人に激酸っぱいガムを渡された理由も「お前の驚いた顔が見たかった」と笑ながら言われた。あの時は首でも絞めてやりたくなったが……



「心配なんでしょ?あんなに兄さんが執着を持つなんて……僕が迷子になった時以来だもの。いいことだと思うよ。僕にばっかり構っていたら兄さんの人生楽しくないもの。そろそろ僕も兄離れしないとね♪」


「……料理面ではまだ無理だがな」


「…あははは……そうだね…」




 何で何でも出来て容姿も性格も良いのに欠点が致命的なんだろうな……あぁ、人だもんな。欠点の一つや二つ……十や百あるか。

 俺だって無表情そうに見えて喜怒哀楽ハッキリしてるしな……賭け事にはまるっきり向いてない。まぁ、キャンブルは昔から嫌いだしな。運がなかったし。



「それに……何だか早く帰らなきゃいけない気がして……僕もブランは可愛いからね♪」


「そうだな……」



 最近では物騒な話が多いからな……泥棒にでも入られたら……泥棒の命が危ない。



「この前来たあの人も防犯には気を付けろって言ってたでしょ? 何かありそうな気がしてきて…」



 弟よ、それはフラグと言うんだぞ。口に出すとその通りに起こったりするんだぞ……まぁ、どうせ何かあると思うけどな。





 あぁ、早く帰ってブランをモフモフしたい!





 早いとこ街について魔核を売り飛ばして食料買って……帰りたい!!







 本人にとっては切実なんです

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