ウチで飼ってる生き物が色々とおかしい件について
兄sideその2
何もすることがないので(統べてやるべき事は終わってしまった)リビングのソファに座りブランで遊んでいると何故か暴れはじめて逃げられた……
アイツ泳いでいるとき……何とも言えないほっこりする動きが面白かった――いや可愛かった。
必死で泳いでいるのかあの体型にからは想像も出来ないほど俊敏な動きで二階に上がっていた。また階段から落ちないといいが。落ちたときの潰れ具合が何とも愛らしいのは秘密だ……そうこう考えたいるうちに姿は消えていた。
さて、弟も居ないし暇だからブランを探そう。そう遠くには行ってないはずだ。
この家は広い。要らないと思うほど広い。それもこれも父親のせいだ。
母親が要らないとあれだけ言っているにもかかわらず、見栄か虚勢かこんなただ広いだけの家を作った。しかも諸事情により立地は海の酸激の茂み広がる最悪の立地だ。
そして俺たちが自炊できる頃になるとさっさと母親(散々出ていくのを嫌がってた)を引きずって出ていった。弟は顔も覚えてないだろう。何せ俺も9歳、弟は3歳にも満たなかった。
そして俺も成人して弟ももう少しで成人する。そんな時にブランを見つけた。
こんな場所だ。誰も来たがらない。棘のある茂みを誰が好き好んで越えてくるのか……まあ、上を泳げば多少は避けられるが、大抵の者は避けられず棘の餌食になるだろう。弟は未だにキチンと避けられない……。
それに俺はあまり人を信用できない。父親もそうだが、人は何かに執着するとまわりの者をかえりみない。裏切られるのも怖いし、裏切るのも嫌いだ。
多分俺は人間不振気味でこの場所で一生独りで過ごすのだろう。
弟はあの性格だ。外でもやっていけるだろう。
それにどうも女ってのは信用できない。今も昔も。
母親だって抵抗できた。行きたくなかったら全力で拒否すれば父親の手も離せた。
何せ……父親は人間なんだから。
人魚の母親が魔術を使えば人溜まりもない。力だって尾びれでぶん殴れば水中では不利な人間なんて意図も簡単に一発KOだ。それだけ人魚の尾びれは強力だ。
それなのにたいした抵抗もしなかったのは、あの人自身悪い気がしなかったからだろ。
どうせ「子供と引き離された私って不幸…」とか内心考えてたりして。夢物語の見すぎだろ。父親にはすでに5人の側室が居るって話だ。
そんな話をご丁寧にも父親を連れ戻しに来た側近達が言っていた。子供も認知してるだけで7人。お手付きに産ませた子供も入れると……数えきれないほどいるらしい。
我が父ながらアホである。滅べ。もげろ。ハゲて腹も出て女性からキモーって言われろ。
ちなみに一番上の兄(腹違い)はまともなので国は安泰だろう。さっさと玉座から降りて隠居しろハゲ。
だから弟には両親は死んだことにしている。俺自身もあの二人が死んでいることに
ている。いい思いでなんかあったためしがない。
その父の影響で腹違いの兄の女嫌いが大変そうだけど海の底に住んでる俺たちには関係ない。
っと、ブランを探しているんだった。何であんな二人の事を思い出さなきゃいけなかったんだ。胸糞ワリィ……。
「――――ゅぅ……」
「ん?…ブラン?」
思い出して胸焼けを起こしていると何処からかブランらしき声が聞こえた気がした。声のした方はさっきいるかと思って見たがドアはアイツでも開けられないだろうと思い通り過ぎた部屋の方からだった。
あの部屋は極力入りたくない。何故かって母親の部屋だからだ。
当時の出ていったままに掃除もしていないので埃が溜まっている事だろう。なので開けもしないで数年間開かずの部屋と化していたのだった。
ブランもそんな場所に好き好んでは要らないだろう……いや、何処か抜けてるブランの事だ、入ったはいいが何等かの理由から出られなくなったなんて想像できて怖い。
弟でもドアを開けて忘れたのだろうか?掃除でもしようと思って……とか?
いや、それにしてもブランがあの部屋に入ったとはまだ決まったわけでもない。
………と、思ったのもつかの間。
嫌な予感は的中するもので……
ブランは母親のきらびやかなドレスや宝石が散りばめられた装飾品がしこたま入ってるタンスの下敷きになっていた……
大丈夫かブラン………煎餅になってないかこコレ……死ぬんじゃないか?
慌てふためいて急いでタンスを退けた拍子にタンスの中身が悲観なことになったのは仕方ないと思う。
人(?)命救助が最優先だ。
中身が高価?知ったことか。大切なら取りに来いババァ。
っと、つい言葉使いが昔に戻りかけた……気を付けなければ……
兄にある疑惑が浮上しました。