露天温泉!
矢部ケータさん(コドクなウサギ:http://goddess.secret.jp)宅のお子さん、ビリィヴさんとメランコリィさんをお借りして書かせていただきました!
矢部さん、ありがとうございました!
コラボ小説です!
「………………」
「……あ、あの、汐那さん? 目が怖いです……」
「……あ、ごめんなさい」
暦の上では冬になり、温泉の季節にもなったとある日。
何の偶然か、涼護たち一行と矢部たち一行はとある温泉旅館で鉢合わせてしまった。
ビリィヴと涼護、汐那はまだ面識があったのだが、他の皆は知らないので少々戸惑っていた。
が、これも何かの縁だと両方の責任者同士が納得した上で、共に旅行を楽しむことになったのである。
そして現在、親睦を深めるためにという名目で、汐那と未央、ビリィヴとコリィで露天温泉に入ることになったのだが。
「私、汐那さんの気に障るようなことをしましたか……?」
「違う違う。……その、お二人ともすごくいいスタイルだなぁ、と思って……」
そう言って、汐那は自分の身体を見る。
同年代どころか、全ての女性と比較しても優れているスタイルだと自負している身体だが、目の前にいる陽光の女神の圧倒的なスタイルと比較するとどうしても一段落ちる。
ちら、と横目で未央と話している夕闇の女神を見る。あちらも圧倒的である。
「汐那さんだって悪くないと思いますけど……」
「私もそう思うけど、二人と比べるとね……」
自分で言うのもどうかとは思うが。
むぅ、と汐那はじぃ、とビリィヴの身体を見る。
圧倒的なスタイルというのなら詩歩もそうなのだが、その詩歩は現在ビリィヴたち側の保護者である矢部と酒飲み中である。
「ウェストは汐那さんのほうが細いじゃないですか……」
「全体的に私のほうがワンランク下だよね……」
失礼だとは思うが、ついついじろじろと見てしまう。
「というか、私は汐那さんの綺麗な蒼い髪が羨ましいです」
「ビリィヴさんの髪も綺麗じゃない」
陽光の女神の名の通り、まるで太陽の光を集めたような金色だ。
対する汐那の髪は、蒼穹の色。
「お手入れとかしてるんですよね?」
「してるよ、商売道具の一つだし。色々なメーカー探して自分に合ったのを見つけたりね」
「わあ……、何かおススメの物ありますか?」
「そうね、ビリィヴさんに合いそうなのだと……」
などと、お互い使っているシャンプーやスキンケアの話になっていく二人。
そんな二人とは別の場所で、黒髪二人は仲良く会話していた。
「ブルーベリーのチーズケーキかぁ……たぶん作れると思うよ」
「……本当?」
「うん。ブルーベリーを使ったことはあまりないけど……大丈夫。いざとなったらお母さんがいるし」
「……未央さんのお母さんって、料理上手?」
「身内贔屓入ってるかもだけど、プロ顔負けだと思うよ」
ケーキなどのスイーツ系談義だった。
未央もコリィも甘い物が好きなこともあり、共通の話題で盛り上がっている。
「……甘いものは大好き。でも、あんまり食べ過ぎると太るから我慢してる」
「そうだね、食べ過ぎると体重がね」
「……難しい」
甘いものの誘惑と体重の問題は、いつの世も全乙女共通の悩みである。
それは女神であるコリィも例外ではなかった。
「……未央さんは細いから、羨ましい」
「貧相なだけだよ。蜜都さんや詩歩さんっていう規格外の人達が周りにいるから尚更そう思う」
「……詩歩さんって……あの紫の?」
「うん。あの人もすごいから」
現役モデルの汐那と比較しても、詩歩のスタイルは見劣りしない。
それに今はビリィヴとコリィという詩歩をも凌駕しそうなスタイルの女性がいるし。
別段自身のスタイルにコンプレックスを感じているわけではない未央だが、さすがにここまで差があると気にしてしまう。
「……大丈夫、未央さんならきっと大きくなる」
「ありがとう、コリィさん。そう言ってもらえると頑張ろう、って気になります」
未央が笑顔でそう返すと、コリィもつられて少し笑った。
なんともほのぼのしたやり取りをしていると、汐那とビリィヴが二人に近づいていた。
「どうしたの、何の話?」
「んー、皆スタイルが良くていいなって話?」
「ああ、そうだね。この二人すごいもんね」
「そうはっきり言われると恥ずかしいです……」
「……ビリィヴ、未央さんすごいよ。チーズケーキ作れるんだって」
「意外とやってみると簡単なんだけどね。今度機会があったら一緒に作る?」
「……未央さんがいいなら、是非作りたい」
「あ、あの! どら焼きも作れますか生クリーム入りの!」
「和菓子? うーん、あんまり経験はないから美味しく作れるかどうかはわからないけど、作れると思う」
「本当ですか!? あの、私も参加させてください!」
「私はいいよ。コリィさんは?」
「……大丈夫」
「それじゃあ、私は試食係ね」
「「いや、一緒に作ろうよ(作りましょうよ)」」
偶然の出会いから、また会う約束を取り付けた四人の見目麗しい女性たち。
そんな彼女たちを、夜空に浮かぶ月だけが眺めていた。
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