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Twist And Break  作者: 弥月
2/20

002

初めまして。執筆二番手の逸鬼です。

今回は深弦さんにリレー小説という、とても魅力ある企画を任せて貰えましたので、感謝と感激をしています!

未熟者ですが、深弦さんの足を引っ張らぬよう頑張りますので、暖かい目で見守って頂ければ幸いです。

それでは、本編をどうぞ!

 どれくらい走っただろうか。

 息はとっくに上がりきっていて、今すぐにでも倒れてしまいそうだ。

 だが、いつまで経っても、この路地裏からは出られない。

 同じ風景を見続けることに嫌気がさしだし、急に走ることが億劫になった。

「なんだよ……なんだよ、これ。どうなってんだよ!」

 衝動のままに叫んだ声は、朝日だけが光源の、薄暗い路地裏を響いていった。

 俺はなぜ記憶がない?

 昨日までは普通の生活を……いやそもそも、その普通の生活のことを覚えてない。

 俺がなにをしていたのか。どんな人物だったのか、それすら解らない。

「目を開けたら、見覚えのない場所だし、起きたら起きたで変な黒い影に追われるしよ……なんなんだ、畜生!」

 俺は思わず、横にあるコンクリートの壁を殴った。

「痛……ッ」

 ろくに鍛えたわけでもない拳は、もちろん、ダメージを受けた。

 反射的にうずくまってしまったが、唸りのような音を聞き、無理矢理に体を起こす。

 視線の先には、先ほどから俺が終われている黒い影があった。

 五体。ぱっと見はそれだけだが、確実にもっといた。

 一応、人型に見えなくはない形だが、体中に纏う黒い霧のようなもので実態は解らない。

「なんなんだよ、お前らは!」

 もう何度目かも分からない悪態。だが、俺のちっぽけなプライドを優先して、あいつらに捕まるのはごめんだった。

 休めと無言で訴えてくる体に鞭を打ち、また動かす。

 止まったら捕まる。捕まったら何かされる。その何かが、具体的に何かなんてのは分かったものではないが、友好的でないのは明らかだ。

 幸い、影共のスピードは早くはなく、今の俺の速さでも辛うじてではあるが追い付かれない。

「次の角を、曲がる――!」

 出来るだけ距離をとり、休息を取るために走る。

 しかし、その選択は間違えたかもしれない。

 俺がその事を後悔したのは、随分の先のことだったが。

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