『資源的バベル』と呼ばれた塔の正体は、地球の【生殖器】でした~人類の存亡を賭けた、壮大なる惑星間交尾と恵みの白い雨の記録~
「人類の至宝」
「天が授けし希望の柱」
――人々がそう呼び跪く巨大構造体『バベル』は、今朝も黄金色の朝焼けを反射して、神々しく空を貫いていた。
かつて化石燃料を使い果たし、暗黒の時代を迎えた人類を救ったのは、この塔から定期的に溢れ出す聖白色の液体『マナ』だった。
この液体がひとたび地を潤せば、作物は実り、発電機は唸りを上げ、死に体だった文明は力強く拍動を再開する。無くてはならない人類の希望だった。
「……おい、第12区画の潤滑が甘いぞ。もっとしっかり磨け」
地上五千メートル。俺はゴンドラに揺られながら、インカム越しに後輩へ指示を飛ばす。俺の仕事は、この『神の柱』のメンテナンスだ。
人々が地上で「おお、神よ!」と祈りを捧げている間、俺たちは高圧洗浄機で塔の表面にこびりついた汚れを落とし、栄養剤を根元から流し込む。
ふと、手のひらを塔の壁面に当てた。
「……熱いな」
かすかに、だが確実に塔の深部から「ドクン、ドクン」という、生物的な脈動が伝わってくる。
「おい、計測班。塔の膨張率を確認しろ」
『現在、通常時の1.2倍。硬度も増しています! 原因不明ですが、内部気圧が臨界点に達しようとしています!』
インカムから悲鳴のような報告が入る。
「原因不明、か」
俺は空を見上げた。雲の向こう、天文学者が「滅亡の予兆」と呼ぶ巨大なピンク色の小惑星が、すぐそこまで迫っている。
「違うっ…これは滅亡じゃない。……こいつ、ただ『盛りついてる』だけだ」
その瞬間、世界中のサイレンが鳴り響いた。
空を覆い尽くすピンク色の小惑星――通称『エデン』が、重力法則を無視して加速したのだ。
「おい! 激突するぞ!」
「おぉ…神よ、バベル様よ! 我らをお救いください!」
地上の人々は、エネルギーの源であるバベルの根元にしがみつき、涙ながらに祈りを捧げる。
だが、地上五千メートルにいる俺の目は、別のものを見ていた。
空一面に広がる『エデン』の表面が、バベルの先端に向かって、まるで吸い込まれるように「開いて」いくのだ。
それは天文学者が予言した「地殻崩壊」などではなく、もっと根源的で、もっと淫らな……そう、受粉を待つ『雌しべ』の開花そのものだった。
「硬度、さらに上昇! 第4セクターまで完全に硬化しました! もはや制御不能です!」
インカムから流れる悲鳴。
俺の足元のゴンドラが、バベルの激しい『脈動』によって激しく揺れる。
そして、ついにその時が来た。
ピンク色の巨大惑星が、バベルの先端を飲み込むようにして急降下してきたのだ。
「「「おしまいだぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
世界中の悲鳴が重なり、衝撃に備えて誰もが目を閉じた。
……だが。
一秒、二秒。 いつまで経っても、世界が砕け散る衝撃はやってこなかった。
「……ん?」
誰かが目を開ける。
空を飛ぶ鳥も、地上の人々も、そして俺も、信じられない光景を目にしていた。
激突寸前。
バベルの先端を僅かに飲み込んだところで、巨大惑星『エデン』はピタッと静止したのだ。
そして次の瞬間――。
『シュゴォォォォォン!!』
と、凄まじい風圧を残して、エデンはまた遥か上空へと「引き抜かれる」ように急上昇していった。
「……え?」
人類が呆然と空を見上げる。
「助かったのか?」
「 奇跡が起きたのか?」
希望の光が差したのも束の間、空からまた、あのピンク色の巨体が猛スピードで降りてくる。
「また来た! 今度こそ終わりだぁぁぁぁ!!」
再びの絶望。
だが、またしてもエデンはバベルの先端を突くだけで、シュゴォォォォォン!と上昇していく。
「降臨、静止、急上昇。降臨、静止、急上昇。」
俺は、激しく上下に揺さぶられるゴンドラの手すりを必死に掴みながら、乾いた笑いを漏らした。
「……おいおい。マジかよ、地球。宇宙規模でそれ(ピストン)やるのかよ」
三十分が経過した。
空では依然として、惑星規模の「往復運動」が続いている。
「また来たぞー! おしまいだー……(棒読み)」
「あ、また上がった。……ねえ、これいつまで続くの?」
最初は悲鳴を上げていた地上の人々も、今では首を痛そうにしながら空を見上げるだけの作業に入っていた。
一部の者は飽きてスマホをいじり始め、SNSでは『#地球のピストン』がトレンド一位を独走している。
恐怖は、あまりにも長く続くと「呆れ」に変わるのだ。
だが、バベルに直接触れている俺だけは分かっていた。
足元から伝わる振動が、次第に細かく、そして激しくなっていることに。
「おい、計測班……状況は」
『…あ、はい。バベル内部、最大熱量を感知。……臨界点、超えます。来ます、最大のが!』
その瞬間。
一際大きく、バベルが「ドクン!!」と跳ねた。
空のエデンが、今日一番のスピードでバベルを深く飲み込む。
重力波が捻じ曲がり、大気が震え、世界が真っ白な光に包まれた。
『ドッ……ピュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!』
空が割れた。
バベルの先端から、かつてない濃度の、眩いばかりに輝く『マナ』が噴出する。
それは雨というにはあまりに激しく、滝というにはあまりに神聖な、生命の奔流だった。
「おお……おおお!!」
人々が再び跪く。
降り注ぐ聖白色の液体を全身で浴び、人々は歓喜に震えた。
「エネルギーの満タンだ!」
「聖なる恵みだ! 地球万歳! バベル万歳!」
「降り注いだマナを浴びて歓喜する人々を眺め、俺はポツリと呟いた。『……これじゃあ、地球じゃなくて、痴球じゃないか』」
……数分後。
あれほど荒れ狂っていた風が止み、ピンク色の惑星『エデン』は、どこか満足げな足取りで宇宙の彼方へと去っていった。
俺は、ぐったりと力なく萎れていくバベルの壁面にもたれかかる。
さっきまでの熱が嘘のように、塔は急速に冷え、小さくなっていく。
「……終わったか」
俺はポケットからタバコを取り出し、火をつけた。
地上のバカ騒ぎが遠く聞こえる。
「なあ、バベル様よ。……人類は当分、お前が『賢者タイム』に入ったせいでエネルギー不足に悩まされることになるぞ」
しぼんだ塔の表面を、労うようにポンと叩く。
紫煙の向こうで、バベルは役目を終えた後のような、静かな静寂に包まれていた。
そうして、バベルの信仰はさらに根強くなり、恵みの雨が噴射するグッズが大量生産される事になりましたとさ。
Fin
【※AI利用に関する表記】
本作は、作者が考案したプロットや設定、および言葉遊びをベースに、本文執筆の一部(50%程度)にAIのテキスト出力を利用・調整して作成しています。
ふと「地球も生き物なんだな」と思った結果、このような形になりました。反省はしていません。
星行為。
この言葉の響きの中に、宇宙の真理が隠されているような気がしてなりません。
面白いと思っていただけたら、評価やブックマーク等で地球を応援していただけると幸いです。
好評であれば続編を作ります。
一応続編の内容は既に考えていますのでご心配なく(時間の都合で他作品を優先するので)




