4月 1日(雨)昼過ぎ
ニール袋が、カサカサと鳴る。
「肉まんやな?」
「どうして、わかるの?」
雨が降り出したから、近所のスーパーで少し雨宿り。
なんとなくそのまま出るのも気が引けて、おやつを買った。
「ワイには、超高感度センサーが搭載されてるさかいな」
「へー。すごいね」
「せやろ。なんでも、お見通しやで」
「……。」
少しだけ袋を持ち上げる。
「するめ天だけどね」
「……。」
「まぁ、許容範囲内やな」
「まぁ、いいけど」
「雨、止まないね」
「なんや。レイニーブルーか?」
「ワイのセンサーによると、もうちょいで止む思うわ」
「しらんけど」
「ほんと、てきとうだよね……」
駐輪場のアクリルの屋根を、雨が叩いている。
「このあたりやと、大体、年に50日くらい降るわけやからな」
「単純に計算したら、1800回くらいは経験することになるんちゃうか」
「……考えるだけで、ちょっとやだ」
「しらんがな」
少しだけ外を見る。
「夜にだけ降ればいいのにね」
「……実際、困る思うで」
「星も見えんし、花火もあがらん」
「野外イベントは全滅や」
「インフラとか、治安とかもやな」
「へー、考えたことなかったな」
「確かに……それはやだ」
少し考えてから、
「じゃあ、わたしの周りだけ降らなきゃいいのにね」
「いや、しらんがな」
少しして、雨足が弱くなる。
「ほれ、ぼちぼち上がるわ」
「ワイのセンサーが感知しとるでな」
「……ほんと?」
「いくで」
「ちょっと、待ってよ」
モペットが、ゆっくりと走り出す。
「――あのころのー、やさしさーにーー……」
「なにそれ」
「へんなの」




