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運転歴20年以上!農道給食オカンがエスティマで日本横断! 〜佐藤家のご当地グルメ満期家族旅行〜  作者: 月神世一


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EP 9

大漁旗の歓迎と、かんぴょう踊る茨城スタミナラーメン! デザートは丸ごとメロン

栃木県の餃子祭りでお腹をパンパンにした佐藤家のエスティマは、次なる目的地・茨城県へと向かっていた。

山あいの景色から一転、窓の外にはキラキラと輝く太平洋の水平線が広がっていく。

「うおーっ! 海だ海だ! 九十九里以来の海だぜ!」

後部座席で信長が窓にへばりつく。

「こら信長、千姫が寝てるんだから静かにしなさい。……おや?」

恵がバックミラーから視線を前に戻すと、茨城県水戸市・大洗海岸近くのチェックポイントには、とんでもない光景が広がっていた。

『歓迎・佐藤家御一行様! 茨城の海と大地が待ってたどー!』

ブォォォォォォン!!

なんと、港に停泊している何隻もの漁船が一斉に汽笛を鳴らし、色鮮やかな『大漁旗』が海風にはためいていたのだ。港の広場には、ねじり鉢巻をした屈強な漁師たちと、割烹着姿の地元のお母さんたちがズラリと並んでいる。

「すっげえ歓迎だな! 大名行列でも通るのかって勢いだぞ!」

鷹人がガハハと笑いながら車を降りると、茨城県の観光大使と漁師の親方が力強い握手を求めてきた。

「ようこそ茨城へ! 噂は聞いてるど! 息子さん、野球やってんだっぺ? ならば茨城が誇る最強のスタミナ飯で、ガツンと力をつけてもらうべ!」

ドンッ! と広場の特設コンロに火が入れられ、巨大な中華鍋がカンカンと音を立てる。

運ばれてきたのは、たっぷりのレバー、カボチャ、キャベツ、そして甘辛い醤油ベースのあんだった。

「茨城のソウルフード『スタミナラーメン』だ! 冷水でキュッと締めた太麺に、この熱々の甘辛レバーあんかけをドバッと乗せるんだ!」

「うおおおおっ! レバー! ニンニクの匂いがたまらねえ!」

信長がゴクリと喉を鳴らしたその時、恵がエスティマのトランクから、栃木県でもらった『かんぴょう』を取り出してきた。

「あの、親方さん! このかんぴょう、水で戻してあるんですけど、あんかけと一緒に炒めてもらえませんか? 絶対に味が染みて美味しいと思うんです!」

「おおっ! 栃木のかんぴょう! そりゃあ面白い、一緒に炒めるべ!」

中華鍋の中で、レバーと野菜、そしてかんぴょうが宙を舞う。

ジュワァァァァァッ!! という豪快な音と共に、甘辛い餡が具材にしっかりと絡みついていく。

「お待ちどう! 茨城×栃木のコラボ、特製スタミナ冷やしだ!」

深めの皿に盛られた極太麺の上に、照り輝く熱々のあんかけがたっぷりとかかっている。

信長が割り箸を割り、麺と具材を一気に持ち上げて啜り込んだ。

「ズズズッ……うおっ!? 熱っ、冷たっ! そして美味ええええ!!」

「どうだ信長、美味いか!?」

「親父、これヤバい! レバーの旨味とカボチャの甘みがガツンと来るんだけど、そこに『かんぴょう』のコリコリした食感が加わって、噛むのがめちゃくちゃ楽しい! かんぴょうが甘辛いタレをスッゲエ吸ってるんだ!」

「ガッハッハ! そりゃあ精がつくぜ! 俺もいただくか!」

鷹人と信長が、顔を汗だくにして極太麺をワシワシと胃袋に収めていく。

恵も「これは給食の夏バテ防止メニューにぴったりね……」と、熱心にレシピをメモしていた。

「ちーちゃん、あついー。からいの、やだー」

ニンニクとレバーの熱気に少し圧倒されていた千姫。そんな彼女の前に、地元のお母さんがニコニコと大きな緑色の玉を運んできた。

「お嬢ちゃんには、これだっぺ! 茨城はメロンの生産量、日本一なんだよ!」

パカッ、と半分に割られた巨大なメロン。

その種をくり抜いたくぼみには、なんと茨城産の濃厚なバニラアイスと、冷たい牛乳がたっぷりと注がれていた。名付けて『丸ごとメロンミルク』である。

「めろん!!!」

千姫の目が、今日一番の輝きを放った。

小さなスプーンで、完熟してトロトロになったメロンの果肉と、溶けかけたアイスミルクを一緒にすくって口に入れる。

「んん〜〜〜っ! あまーい! ちーちゃん、これしゅき! メロンのおふねだー!」

口の周りをメロンの果汁とミルクでベタベタにしながら、至福の笑顔を浮かべる千姫。その可愛らしさに、漁師の親方たちもデレデレに顔を崩した。

「いやあ、見事な食べっぷりだ! 茨城の食い物も喜んでるべ!」

「本当にごちそうさまでした! 最高のスタミナ補給になりました!」

スタミナラーメンと丸ごとメロンで完全にチャージを完了した佐藤家。

出発の準備をしていると、親方がエスティマのトランクに木箱とワラづとを積み込んできた。

「佐藤さん、これ茨城からの手土産だ! 伝統の『わら納豆』と、名物の『干し芋』だ! 納豆は発酵食品だから、長旅の健康維持に最高だど!」

「わあ、ありがとうございます! 干し芋は千姫のおやつにぴったりですね!」

トランクの中に、新たに茨城の『わら納豆』と『干し芋』が加わった。

大漁旗を振り回す地元の人々の熱い見送りを受けながら、エスティマは第1章の最終目的地である福島県——「あのリゾート施設」へと向かって、力強く走り出した。

ジャパンカップ・第9チェックポイント、茨城県。

佐藤家、かんぴょうスタミナラーメンと丸ごとメロンミルクで無事クリア!

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