表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運転歴20年以上!農道給食オカンがエスティマで日本横断! 〜佐藤家のご当地グルメ満期家族旅行〜  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/10

EP 7

湯畑の大歓声と、上州和牛×深谷ねぎの奇跡の鉄板焼き

「エスティマの中が、すっかりネギの匂いだな!」

「しょうがないでしょ、埼玉の皆さんがトランクいっぱいに積んでくれたんだから。新鮮なうちに食べないとね」

助手席で鷹人がガハハと笑い、運転席の恵が嬉しそうに答える。

車内には、先ほど埼玉県でもらった立派な『深谷ねぎ』の香りがほんのりと漂っていた。

エスティマは県境を越え、群馬県へと突入。第6のチェックポイントに指定されているのは、日本三名泉の一つにも数えられる名湯・草津温泉だ。

温泉街の中心にある巨大な『湯畑』が見えてくると、エスティマの車内はどよめきに包まれた。

『草津よいとこ一度はおいで! ジャパンカップ参加者様、大歓迎!』

湯畑の周囲には提灯がズラリと並び、法被や浴衣を着た地元の人々が、エスティマの到着を見るやいなや大歓声を上げたのだ。

「チョイナ、チョイナ!」という伝統的な『湯もみ』の唄と板の音が、お祭り気分を最高潮に盛り上げている。

「すげえ……! 埼玉も凄かったけど、群馬も本気のお祭り騒ぎじゃねえか!」

信長が窓を開けて手を振ると、沿道の観光客や地元民から「野球少年、いっぱい食べていきなー!」「お母さん、運転お疲れ様!」と温かい声援が飛んでくる。

指定されたVIP専用の駐車スペースに車を停めると、割烹着を着た温泉旅館の女将さんたちと、屈強な板前たちが笑顔で出迎えてくれた。

「ようこそ群馬へ! 長旅の疲れは草津の湯で流していただくとして……まずは、群馬が誇る自慢の食材でおもてなしさせていただきます!」

ドンッ! と野外の特設鉄板スペースに運び込まれたのは、見事なサシ(霜降り)が入った巨大な牛肉のブロックだった。

「うおおおおっ!! なんだこの肉の塊は!?」

信長の目が、今までで一番見開かれた。

「群馬が誇る最高級ブランド『上州和牛』の特選ロースです! 豊かな自然と清らかな水で育ったこのお肉を、豪快に鉄板焼きで……」

板前さんが肉を切り分けようとしたその時、恵がスッと手を挙げた。

「あの、すみません! せっかくの素晴らしいお肉、埼玉の皆さんにいただいた『深谷ねぎ』と一緒に焼いてもいいですか?」

「おっ? 埼玉のネギですか。それは面白い! ぜひ奥さん、一緒に焼きましょう!」

プロの板前さんも、ジャパンカップならではの『県境を越えたコラボ』を大歓迎。

恵は持参したマイエプロンをキュッと締め、あっという間に深谷ねぎを斜め切りにしていく。

ジュワァァァァァッ!!

熱した鉄板の上で、分厚く切られた上州和牛と、たっぷりの深谷ねぎが踊る。

和牛の極上の脂が溶け出し、それが深谷ねぎの甘みを極限まで引き出していく。そこに恵が、持参していた「給食のステーキソース(醤油・玉ねぎ・リンゴのすりおろし入り)」を豪快に回しかけた。

「ああっ……! 匂いだけでご飯が三杯いける……!」

信長が空の茶碗を握りしめながら悶絶する。

「はい、お待たせ! 上州和牛と深谷ねぎの、恵特製・県境越えスタミナ炒めよ!」

大皿に盛られた照り輝く肉とネギ。

信長が箸で和牛とネギを一緒に掴み、白飯にワンバウンドさせてから口に放り込む。

「んんんんんんっっっ!!!」

言葉にならない叫びが信長の口から漏れた。

「肉が……口の中で溶けた! なのに肉の旨味はドカンと来る! そこにネギのシャキシャキ感と、尋常じゃない甘さが合わさって……美味え! 埼玉と群馬のタッグ、最強だ!!」

「ガッハッハ! こりゃあビール……じゃなくて、ノンアルコールビールが進むぜ! 焼き加減も最高だ、母さん!」

鷹人も満面の笑みで肉を頬張る。

その様子を見ていた地元の板前たちも「なるほど、リンゴの酸味が和牛の脂をサッパリさせてるのか……お母さん、タダモノじゃないね!」と親指を立てた。

「ちーちゃんは、あまいのがいいー」

肉の熱気に少し圧倒されていた千姫の元には、女将さんがニコニコと近づいてきた。

「お嬢ちゃんにはこれね。群馬名物『焼きまんじゅう』よ。甘じょっぱいお味噌が塗ってあるの」

「わぁっ! おっきいおだんご!」

フワフワのパンのような生地に、甘い味噌ダレを塗って香ばしく焼いた巨大な串。千姫が小さな口で一生懸命に頬張ると、口の周りがお味噌だらけになった。

「おいしー! ちーちゃん、ぐんましゅき!」

「ふふふ、よかったわねえ」

最高のおもてなしとコラボ飯でお腹を満たした後は、草津の熱いお湯で家族揃ってリフレッシュ。

信長の筋肉の疲労も、鷹人の肩こりも、恵の運転疲れも、名湯がすべて洗い流してくれた。

「佐藤さん! これ、群馬からの手土産です! 嬬恋つまごい村の高原キャベツと、下仁田コンニャクです! 次の県でも美味しいご飯にしてくださいね!」

「まあ! こんなに立派なキャベツ! ありがとうございます!」

トランクには埼玉のネギに加え、群馬のキャベツとコンニャクが仲間入りした。

各都道府県の想いと食材をエスティマに詰め込んで、佐藤家のハワイへの旅——いや、日本全国食い倒れおもてなしツアーは、さらに続く。

ジャパンカップ・第6チェックポイント、群馬県。

佐藤家、上州和牛と草津の湯に心も体もトロトロになって、無事クリア!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ