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運転歴20年以上!農道給食オカンがエスティマで日本横断! 〜佐藤家のご当地グルメ満期家族旅行〜  作者: 月神世一


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EP 11

豪雨の日本海とオカンの水たまり回避! 黄金のだだちゃ豆タレかつ丼

暫定ランキング1位の称号を引っ提げ、佐藤家のエスティマは山形県から県境を越え、米どころ・新潟県へと入った。

第3章『日本海・テクニカル編』のスタートである。

日本海沿いの美しい海岸線「笹川流れ」を快調にドライブしていた佐藤家だったが、海の天候は変わりやすい。

ポツ……ポツポツ……ザーーーッ!!

突然、前が見えないほどのゲリラ豪雨がエスティマを襲った。

ワイパーを最速で動かしても視界が滲むほどの土砂降り。道路にはあっという間に深い水たまりがいくつもでき始めた。

「うわっ、すっげえ雨! 前が全然見えねえぞ!」

助手席の鷹人が身を乗り出す。

後方を走っていたプロのラリーカーやスポーツカー勢も、この豪雨にはたまらず急減速した。高速で深い水たまりに突っ込めば「ハイドロプレーニング現象(タイヤが水に浮いて操作不能になる状態)」を引き起こし、そのまま海へ転落しかねないからだ。

『佐藤さん、危険です! 視界がゼロですわ!』

無線から西園寺夫人の悲鳴が聞こえる。

だが、運転席の恵の表情には焦り一つなかった。

「大丈夫よ。台風の日に、泥だらけの野球部員5人を乗せてグラウンドまで迎えに行った時に比べたら、視界は良好だわ」

恵の目は、ワイパーの隙間から路面の「色の違い」を完全に読み取っていた。

「あそこの黒い部分は深い水たまり。その横の白っぽい部分は浅いわね」

恵はアクセルを緩めることなく、水たまりの「浅い部分」だけを縫うようにしてエスティマを滑らせていく。

さらに、カーブの手前では絶妙なエンジンブレーキを使い、タイヤの溝の排水性を100%引き出す『オカンの雨天お買い物モード』が発動。スリップ音ひとつ立てず、水しぶきを華麗に切り裂いて日本海の海岸線を突き進んでいった。

「す、すげえ……! 水の上を走ってるみたいだ!」

信長が後部座席で息を呑む。

プロのレーサーたちが恐怖で時速40キロまで落とす中、佐藤家のエスティマだけが豪雨の日本海を悠々と切り裂き、新潟市のチェックポイントへとトップで滑り込んだのだった。

「ようこそ新潟へ! 豪雨の中の素晴らしいドライビング、お見事です!」

雨を避けるための巨大なテントの下で、新潟のスタッフたちが拍手で出迎えてくれた。

「さあ、冷えた体と腹を満たしてください! 新潟のソウルフード『タレかつ丼』です!」

運ばれてきたのは、新潟が誇る最高級『魚沼産コシヒカリ』のツヤツヤご飯。そして、揚げたての薄切りトンカツを「特製の甘辛い醤油ダレ」にサッとくぐらせたものが、ご飯の上に何枚もドンッ! と乗せられていた。卵とじではない、カツとタレだけの直球勝負だ。

「うおおおおっ! 腹減った! いただきまー……」

「信長、ちょっと待って! ご飯にこれを混ぜさせて!」

恵がトランクから持ってきたのは、山形県でもらっていた高級枝豆『だだちゃ豆』だった。

恵はあらかじめ車内で塩茹でしておいただだちゃ豆のサヤを素早く剥き、炊きたての魚沼産コシヒカリの中へ豪快に混ぜ込んだのだ。

「完成! 恵特製『山形だだちゃ豆ご飯の、黄金タレかつ丼』よ!」

「なんだこれ、見た目からしてヤバい!!」

信長が、甘辛いタレを吸ったトンカツと、鮮やかな緑色のだだちゃ豆が混ざったご飯を一気にかき込む。

「サクッ! ジュワッ! ……んんんんんんんっっっ!!!」

信長がカツを頬張ったまま硬直した。

「薄切りのカツが柔らかくて、甘辛い醤油ダレがめちゃくちゃ後を引く! それだけでも最高なのに、ご飯に混ざった『だだちゃ豆』のコリコリした食感と濃厚な甘みが、タレのしょっぱさと完璧に合わさってる! 白いご飯より何倍も美味え!!」

「ガッハッハ! 枝豆と醤油の組み合わせだ、美味くないわけがねえ! カツの油っけをだだちゃ豆がサッパリさせてくれて、箸が止まらんぞ!」

鷹人もあっという間に丼を空にして、二杯目をおかわりする。

「ちーちゃんは、これー!」

熱いカツが食べられない千姫の前には、山形でもらった『ラ・フランスのジュース』と、新潟名物の超濃厚な『ヤスダヨーグルト』をハーフ&ハーフでブレンドした、特製『ラ・フランスの飲むヨーグルト』がグラスに注がれていた。

「あむっ……! ん〜〜〜っ! 洋梨、あまーい! ヨーグルト、とろとろー! ちーちゃん、にいがたしゅきー!」

口の周りに白いおひげを作りながら、満面の笑みでゴクゴクと飲み干す千姫。その天使の飲みっぷりに、新潟のスタッフたちも「いやあ、可愛いねえ!」と顔をほころばせた。

豪雨の恐怖を神ドラテクで乗り越え、新潟のタレかつ丼で胃袋を完全に満たした佐藤家。

「佐藤さん、これ新潟からの手土産です! 伝統の辛味調味料『かんずり』と、おやつの『笹だんご』です! 次の富山でも美味しいものを食べてくださいね!」

「わあ、ありがとうございます! かんずりは、次のお料理のアクセントにぴったりですね!」

トランクに雪国・新潟の知恵が詰まった食材を積み込み、エスティマは次なるチェックポイント・富山県へと向けて走り出した。

ジャパンカップ・第21チェックポイント、新潟県。

佐藤家、オカンの水たまり神回避と、だだちゃ豆タレかつ丼で、無事クリア!!

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