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運転歴20年以上!農道給食オカンがエスティマで日本横断! 〜佐藤家のご当地グルメ満期家族旅行〜  作者: 月神世一


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20/21

EP 10

暫定ランキング1位の衝撃と、米沢牛のステーキ! 輝く佐藤錦の宝石箱

秋田の村で祭りを救った佐藤家と、すっかり佐藤家ファンクラブ会長と化した西園寺夫妻のキャンピングカーは、第2章の最終ゴール地点である山形県へと滑り込んだ。

到着したのは、山形市内の広大な公園に設けられた特設の『第2章・中間報告ステージ』。

すでに多くの参加者が到着しており、巨大な電光掲示板の前には人だかりができていた。

「おおっ、なんかデカいイベントやってるぞ!」

信長がエスティマから飛び出すと、ステージ上の司会者がマイクで高らかに宣言した。

『ジャパンカップ参加者の皆様、第2章・北の大地編の完走、お疲れ様でした! これより、現在のおもてなしポイントを合算した【全国暫定ランキング】の上位3チームを発表いたします!』

ドラムロールが鳴り響く。

プロのラリーチームや、高級スポーツカーを操るセレブたちが固唾を飲んで見守る中、電光掲示板に巨大な文字が映し出された。

『第3位:チーム・レッドドラゴン(プロラリーチーム) 4,500pt』

『第2位:チーム・ITフロンティア(若手社長チーム) 5,200pt』

「なるほど、やっぱりプロや金持ちが上位か……」

「しかし、1位は誰だ? 我々を助けてくれたあの家族は入っていないのか?」

西園寺夫妻が首を傾げたその直後。

バァァァァンッ!!

『第1位:佐藤家(愛知県・一般参加) 12,800pt !!』

「「「…………はあぁぁぁぁっ!?」」」

会場全体が、水を打ったような静寂に包まれた後、爆発的な大歓声とどよめきに揺れた。

「なんだあのポイント!? 2位のダブルスコア以上だぞ!!」

「エスティマに乗った普通の家族だろ!? 一体どこでそんなポイントを稼いだんだ!」

騒然とする会場の中で、鷹人が信長の肩をバンバンと叩いて大笑いした。

「ガッハッハ! 見ろ信長! 俺たち、日本一だぞ!」

「うおおおおっ!! マジかよ! ハワイと一千万が完全に射程圏内に入ったぜ!」

「あらあら、ただみんなで楽しくドライブして、美味しいご飯を作ってただけなのにねえ」

恵がエプロンのポケットから手を出し、ホホホと笑う。

その様子を見ていた他の参加者たちも、次第に拍手を送り始めた。

「あの家族、大間の倒木をどかしてくれた恩人だ!」

「フェリーで船酔いした時、女神みたいなスープをくれたおばちゃんだぜ!」

「祭りの山車を引っこ抜いた動画、SNSでバズってたぞ!」

佐藤家がやってきた「おもてなしの心(と圧倒的な胃袋・物理パワー)」は、他の参加者たちにもしっかりと伝わっていたのだ。佐藤家はもはや、ジャパンカップの台風の目どころか、絶対的な主人公として会場中のリスペクトを集めていた。

『暫定1位の佐藤家の皆様には、山形県からの特別ボーナスおもてなしが贈られます! さあ、どうぞ!』

ステージの前に運び込まれたのは、分厚くカットされた最高級の『米沢牛のサーロインステーキ』と、ルビーのように赤く輝く山形県産の高級さくらんぼ『佐藤錦』が山盛りになった木箱だった。

「うおおおおおっ!! 肉!! そして肉!!」

信長のテンションが限界を突破する。

巨大な鉄板で米沢牛が焼かれ、上質な脂がジュワァァと弾ける音が響く。

そこへ、恵がトランクから秋田県でもらった『いぶりがっこ(燻製たくあん)』を持ち出してきた。

「ちょっと待って! このいぶりがっこを細かく刻んで、マヨネーズと黒胡椒で和えさせて!」

あっという間に出来上がったのは、恵特製の『いぶりがっこタルタルソース』。

「ステーキの脂に、いぶりがっこのスモーキーな香りとポリポリとした食感が絶対に合うはずよ! さあ、たっぷり乗せて食べて!」

「いただきまーす!!」

信長が、分厚い米沢牛に特製ソースをたっぷり乗せて口に放り込む。

「んんんんんんんっっっ!!! 米沢牛が口の中でとろける! そこに、いぶりがっこの燻製の香りとタルタルの酸味がガツンと来て、肉の旨味が何倍にも膨れ上がる! 噛むたびにポリポリした食感が楽しくて、麦飯が無限に消えていくぞ!!」

「ガッハッハ! こりゃあビールが進む最高のツマミだ! 恵、秋田の『稲庭うどん』も茹でてくれ! 〆は米沢牛の肉うどんだ!」

「はいはい、今茹でるわね!」

鷹人のリクエストで、細くてツルツルの稲庭うどんが茹で上げられ、米沢牛の脂が溶け出した鉄板の肉汁と絡められる。もはや暴力的なまでの飯テロに、周囲の参加者たちもヨダレを拭うのに必死だった。

「ちーちゃんは、これー!」

肉とうどんの熱気に包まれる中、千姫の前には、氷水でキンキンに冷やされた高級さくらんぼ『佐藤錦』が、宝石箱のようにキラキラと輝いていた。

「あむっ……! ん〜〜〜っ! あまーい! おみずがいっぱい、じゅわ〜ってするー! ちーちゃん、さくらんぼしゅき!」

小さな指で真っ赤なさくらんぼをつまみ、満面の笑みで頬張る千姫。

その名前と同じ『佐藤』錦を食べる佐藤家の末っ子の姿に、AIカメラは当然のようにボーナスポイントを加算し続けた。

「佐藤家の皆さん、おめでとうございます! これ、山形からの手土産です! 『だだちゃ豆』と、特産の『ラ・フランスのジュース』! 第3章も、その調子で日本中を元気にしてやってください!」

トランクに山形の誇る名産品を積み込み、佐藤家のエスティマは夜の特設駐車場へと停められた。

暫定1位という称号と、ハワイへの切符を強く握りしめて。

「親父、母ちゃん、千姫。俺、絶対に甲子園行くからな。ハワイの次は、甲子園だ!」

満天の星空の下、信長が力強く宣言する。

「おう! 親方も気合い入れてバッティングゲージ作るぞ!」

「ええ、母ちゃんも特大弁当作り続けるわよ!」

日本全国を巡る佐藤家の旅は、いよいよ中盤戦を突破。

日本海の荒波とテクニカルなコースが待ち受ける第3章へ向けて、エスティマは静かに、しかし力強くエンジンを休めるのだった。

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