第五十二話 永禄十二年、傘寿
この作品は、歴史的な史実とは別次元の物語です。
妄想的で非常識、そして変態的な展開ではありますが、
今後ともよろしくお願いいたします。
今年四月、信長はルイス・フロイスと会見した。信長はフロイスに、「もし宣教師が来たならば、利用するのは良い。だが、イエズス会は危険だ」と伝えている。
氏康(石原莞爾)は、元亀元年、八月頃から中風とみられる病を患い、元亀二年五月十日を最後に文書の発給を停止した。そして十月三日、氏康は伊豆の別邸にて五十七歳で死没した。
堺からの定期便で、ルイス・フロイスがやってきた。横浜の外国人屋敷にあるジョアン邸に滞在するようだ。他にはスペイン邸、ハプスブルク家のオーストリア邸、そしてオスマン帝国の邸宅がある。最近、ユダヤ人との関連でイギリス、フランス、オランダもホテルに滞在しているらしい。
外国人居留地は高級住宅地で、広い敷地にはいかにも貴族の屋敷といった趣の建物が十区画用意されている。しかし、ジョアンから紹介された者だけが限定で居住できる仕組みだ。普段は、管理人兼警備者が庭から室内の管理まで行っている。
ルイス・フロイスが氏政と幻庵(高橋是清)に会見を求めたが、氏政は多忙であり、幻庵は京にいるため、俺と氏照が代わりに会見することになった。会見での一言が、
「噂は、ザビエルから聞いております。ですが、知りたいという欲求が抑えられず、私はこの町に来ました」
それに、俺は答えた。
「その言葉は、信仰者ではなく、科学者の言葉ですよ」
「……その通りです……」
「正直で、北条に利益をもたらす者ならば、歓迎しますよ!」
本来ならばここにいないはずの人間が、ここに居座るようだ。困ったもんだ。
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*ルイス・フロイスの視点
横浜港が見えてきた。この船を見た瞬間から、大きな期待が胸いっぱいに広がっていた。帆船ではあるが、どこか違和感があった。予想より早く着きそうだ。外見は普通の港町だが、兵士が近寄ってきてポルトガル語で質問された。要件を伝え、ジョアンの家へ向かう。……あれはなんだ、私と通訳は箱に乗った。馬がいない馬車から「車」というらしい。着いた家は大邸宅で、さすが富豪伯爵という感じだ。ポルトガルの力を感じる。
その日の説明で、この屋敷は北条が用意した洋風の屋敷で、ポルトガルの大使館として建てられた物らしい。室内は見たこともない色の灯りがともり、なんとも言えない明るさだ。見るもの全てが新しい発見で、心の鼓動が聞こえる。ここは特別だ。明日、ザビエルが恐れたという人と面会できる。かなり高齢なはずだ。待ちきれない……。
食事は、地元の懐かしい料理が提供された。故郷の味を忘れるほど食べていなかったので、涙が出た。迎えが来て市街へ移動する間、鉄道とすれ違い仰天した。劇場やレストラン、パン屋、その他商店が立ち並び、競馬場の近くに設けられた待ち合わせ会場へ。いよいよ……心臓が鳴り響く。
あの老人だろう。怖い。……見透かされている……。正直に自分の心の内を話さなければ、とんでもない事が起こる予感がする。何分話したのか分からないが、スッキリした。私は自覚して認めた。「学問が好きだ。……信仰より……」。老人から「信仰を持ち込まず、北条の利をもたらす者」として、定住を認めてもらった。
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元亀元年、四月、信長は朝倉義景討伐のため京を発した。小太郎は甲賀に連絡し、敦賀湾沖に四月二十日、海軍を配備して牽制すること、そして浅井長政離反の連絡を前日に伝えた。
信長の行動に合わせるように、北条軍は護衛艦「佐渡」と「妙高」で上陸用舟艇数隻を金ヶ崎に近づけ、上陸して城を占拠した。要人を確保し、朝倉軍が動けないように牽制して、信長の撤退完了に合わせて湾の船を破壊。その後、佐渡の基地に戻った。
信長は二十五日に浅井長政の離反を確認し、撤退した。本来、秀吉が金ヶ崎に残るはずだったが、北条軍が占拠していたため、信長は守りを厚くして撤退することができた。
準備が完了した六月、朝倉・浅井の討伐のため岐阜を発し、近江国姉川河原で戦った。朝倉・浅井軍は総崩れとなり敗走。十二月には、天皇および将軍の調停により、織田信長と義景が和睦した。
佐渡は越後の海軍基地になっている。上杉家の直臣に合わせて陪臣からも申し出があり、各家の領地替えを行い、佐渡を直轄領として軍港を構えた。住民はここに金鉱山があることを知らない。いずれ金の採掘をする予定だ。
今年の一大イベントは、伊豆宇宙センターからの人工衛星の打ち上げだ。十二月の晴天に行われる。カウントダウンと共に空に飛行するロケットの雲を眺めながら、未来を想像する。
今までは、電波塔を偽装して各地の拠点に設置していたが、電波の弱い地区があり難儀していた。それが解消され、海軍の通信も良好になる予定だ。
幼稚で語彙力が乏しいことは自覚しておりますので、
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