第5話 明応5年(1496)事故と竹刀
この作品は歴史的な史実とは別次元の話ですので、
全て私の妄想・非常識・変態の展開ですが今後ともよろしくお願いいたします。
「直道、筋がいいよ!」と、朝孝(卜伝)から褒められた。精神年齢が高い俺でも将来の剣聖に褒められると素直にうれいしものだ。
前世では隊で武術は習っていたから基本は違うが体捌きは理解できる。
ちなみに、朝孝(卜伝)は卜部家や塚原家からの指導で基本的な形はもう身についている。朝孝(卜伝)のお手本はとても洗練されていて毎回見惚れてしまう。
数ヶ月後、道場で大きな叫び声がして、外で練習していた俺の好奇心から道場に向かい中を覗くとヤバイ方向に曲がった右手を見て一瞬ブルッと身震いした前世以来久々に肝冷やした。
木刀の破壊力 コーワ~・・・・
この時代は現代の様な治療が出来ない。ただの軽傷ですめばよいが重症者が出るとその人の剣士人生終わりだ。
この時代防具とか竹刀ないから危ないよな~親父が心配するはずだよ~・・・
十数年早いが作るか !?・・・先ずは、朝孝(卜伝)に聞いてみるか~
「重症者が出ない木刀と防具を作りたいけど」
朝孝(卜伝)は自分では判断できないが、そんな便利なものがあれば稽古で気を使わないですむ・・・みたいな感じだ、取り敢えず試作品を作って見てもらう事を提案した。
朝孝(卜伝)は「義父に相談してみると」言ってくれた。
俺は自宅に帰宅して工房にいる親父に道場での一連の話をして、防具と竹刀の販売は家計の増収につながる説明をした。自分で出来るならやってみろ(たぶん無理だ)的な条件で工具や材料の使用許可をもらった。
先ずは竹刀と小手、ものつくりインストールのおかげで足りない材料の代用品の検索でき大変便利だ。その日3時間程で竹刀2本と2日かけて小手2組完成した。
あとは、図面と説明文書いて完成だ。その他防具は図面と説明文書だけ書いて制作は次回という事で一息ついた。
鬼集中していため仕事が終わった親父は引いて見ていた。完成品を親父に検品してもらった。
竹刀を何度か振っていたが
「俺は侍でないからわからん!だか、出来は良い事は分かる。どっから・・・」
おっとやり過ぎたか~・・・
親父の心の声が薄っすらとわかるので親父の視界から外れる様にそっとフェードアウトした。目の前に居なければ変なイベントは発生しない。そうやって家族との衝突をここ数年回避している。
この前の姉が粗相をした時、母を別に誘導したりして気をそらしたり、やらかし現場の現行犯を防いだりしている。結局、婆に見つかり怒られていたが、母より優しく怒るから結果オーライだ。
自己防衛は必須だ。
この時代どうしても我慢出来ないのが食事だ。肉を食べる習慣がない不満だ、タンパク質が足りないと成長しない、焼き魚は食べるがパンチが足りないし、油で揚げる油が高いし家で許可が下りないだろう。その日、隣の弥助さんが、生きた鰻を持ってきた。俺は、「これだ!!!」と叫んだ。
「弥助さんこれ、どこで取ったの?」
「近くの小川だ。直道も取れるぐらい大量にいるぞ!」
俺は心の中でキタ~とモノマネで叫んだ。その日は桶に水を張り鰻の泥を吐かせ、母にお願いして味噌と酒でたれを作る砂糖にみりんがあれば完璧だが無いものは諦めた。竹串を作り、山椒があったので、当日使う。
次の日、仕事を早めに終え鰻に取り掛かる、手早く背開きにして竹串に刺し炭火で焼き油が焼ける音に匂いと煙が立ちこもる外で焼いていても匂いと煙で家族が集まってくる。味噌たれをつけてまた焼くもっと強烈な匂いと煙が上がり食欲がそそる。
焼き上がり試食をしてみる。山椒を手で軽くふりかけて一口・・・ムッ、鰻だ、たれが少し物足りないが大満足だ。親父は「早く、食わせろ」とせかすので、全員に配り試食し始めた。
「なんだ・・・これ鰻か~」と評判が良かったので、皆に焼いて夕食のおかずになった。俺はおにぎりを焼いて鰻を乗せてお茶漬けにして食べた。親父は2匹目を酒のつまみにして、その日の夕食は大満足だった。
誤字報告!大歓迎です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。




