第四話 明応四年、六歳の剣聖
この作品は、歴史的な史実とは別次元の物語です。
妄想的で非常識、そして変態的な展開ではありますが、
今後ともよろしくお願いいたします。
父と刀三郎兄の手伝い(小間使い)をしている。半年が過ぎ、仕事は全て覚えた。父が「アレを持ってこい」とか「コレを寄こせ」と言うよりも先に動ける状態にまでなった。これでも、まだ抑え気味だ。まだ鍛冶はしていないが、初めて作ったとしても上級品は打てるだろう。……やらないけど!
機嫌の良い日に、父に提案してみた。
「刀を正確に振れる鍛冶屋になりたい」
すると父は、目玉も鼻の穴も普段の倍ほどに広げ、興奮して叫んだ。
「武士になるのかっ!(怒り)戦に行って死にたいのかっ!(怒り)」
俺は、父の興奮具合を窺いながら、逃げるように工房へと身を潜めた。
食事後の落ち着いた時に話しかけたというのに……。つくづく、職人というのは人の話を聞かないものだ。
父の怒りが収まった頃合いを見て、仲間(婆)を連れて改めて説明をした。近くの道場で剣術の基本の形を習い、刀を使う側と作る側の気持ちを理解し、それを刀鍛冶に生かしたいこと。卜部家の同い年の二人が、すでに道場で修練を積んでいること。そして、決して戦で手柄を立てたり、命を落としたりすることが目的ではない、ということを、丁寧に時間をかけて説明した。
「最初からそう言えばいいだろう!」
「お前は昔から人の話を聞かない! 馬鹿垂れめ!」
婆にそう言われ、父は不貞腐れる。刀三郎兄は(親父のことだから仕方ない、とでも言うような目で)こちらをチラリと見た。
我が家での父の立場は、鍛冶場ではボスだが、家での決定権は婆、母に次ぐ三番目だ。藤兵衛伯父の家でも同じようだった。この時代のどこの家庭も、名目上は男性を立てつつも、賢く家庭をコントロールする女性が多い。所詮、「男は基本バカ」なのだ。現代も変わらない。いつの時代でも、愚かな振る舞いをするのは男と相場が決まっている。
数週間後、卜部家から道場へ通う許可をいただいたと連絡があった。父が卜部様にお願いしてくれて、手に怪我をすると仕事に支障が出るため、打ち込みなしで、形の稽古のみとできるよう交渉してもらったのだ。
なんだかんだ言っても、真剣に俺のことを心配してくれる優しい父に感謝の言葉を伝える。すると、お決まりの「何も出ないぞ」と頭を掻きながら、スッと鍛冶場に向かっていった。あんな父でも、親としての自覚があるだけありがたい。そして、鍛冶の仕事で(肉はないが)満足に食事を与えられて生きていること、ここに転生を決めた管理官には深く感謝した。
多少の不満はあるが、それは前世でも同じこと。なぜ過去のこの時代なのか?……そのうちに答えが見つかるかもしれない。
さっそく朝稽古に通い始め、道場へ向かうと、朝孝(卜伝)が前を歩いていたので追いかけた。声をかけ、今日までの経緯を歩きながら話す。
「今後ともよろしくお願いいたします」
そうお願いし、二人で話しながら道場に向かった。この時点で、朝孝(卜伝)はすでに塚原家に養子に入っている。数日前に挨拶を済ませていたので、今日がいよいよ稽古の本番だ。少し緊張しながら待っていると、道場主から声をかけられた。
なんと! 朝孝(卜伝)が俺に基本を教えるように指示されたというではないか! 今日から俺の先生は、まさかの卜伝だ! これから有名な武芸者や剣豪と呼ばれる人たちを指導する塚原卜伝の教えを受ける一人になれたことが、本当に嬉しい!
幼稚で語彙力が乏しいことは自覚しておりますので、
誤字のご指摘は大歓迎です!
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