第三十一話 大永五年、帰港
この作品は、歴史的な史実とは別次元の物語です。
妄想的で非常識、そして変態的な展開ではありますが、
今後ともよろしくお願いいたします。
アウミールとポルトガルの船三隻、そして北条海軍の船三隻が横須賀軍港に到着した。相模屋をはじめ、堺から小田原に出店した者を含めて、早速横須賀に向かった。
小田原から横須賀は道幅も広く、現代に近い道路になり、市内にはガス灯もある。町の発展が急速に進み、近代化しているのだ。
荷物をクレーンで下ろし倉庫に搬入して仕事を終えた海軍士官と船長たちに、従軍の慰労を伝える幻庵(高橋是清)は、誰一人欠けることがなかったことに非常に感銘を受け、兵士に七日間の休息後、慰労会を開催することを伝え、整列する海軍兵の解散を宣言した。
アウミールと再会できたことを互いに喜び、大量の荷物の確認と書類を見比べた。特に動物と植物の状態が気になり確認した。馬二十頭、牛二十頭、山羊二十頭、ロバ十頭、羊二十頭は元気そうだ。厩舎の広場で草を食んでいる。サツマイモ、ジャガイモ、玉ねぎ、トマトの種、キャベツの種は問題なし。西洋ホップの苗は前もって日陰で管理をお願いしていたので何とか無事だった。ワイン用ブドウ苗も問題なし。コーヒー生豆もあり、全て問題なかった。それと砂糖と硝石と大量の銀と銅。
価格的には硝石や砂糖、アラブの馬は高く、乳牛と山羊、ロバは割と安い。その他はおまけ程度の価格だった。香辛料は高い。多少仕入れたが、牧草のない冬場に家畜を処分して、香辛料で長期保存をする西洋人の肉食ベースの生活ではないので、そこまで必要ではない。
アウミールは北条の作った大砲の精度と飛距離が気に入り、再度の注文をしてきた。これは幻庵(高橋是清)の許可が必要な案件だと伝え、注文は歓迎会後ということで、横須賀に作った来賓用宿舎(迎賓館)に案内した。船員は隣接する別棟の宿舎兼娯楽施設に移動し、長旅の疲れを癒してもらった。
施設内は石炭でお湯を利用した風呂や暖房が完備されていた。コークス製造で排出されるガスを利用して、ガス灯設備など外の照明に利用している。石炭は明の撫順炭鉱から買い付けを行っており、釧路炭田の開発もしている。
歓迎式典をホテルの大広間で開催し、北条家の代表代理として、式典に参加した。洋食の肉をメインに、国産の冷えたワインとビール、ウイスキーを揃え、約百名の船員たちの腹と心を満たすには充分だった。
「大砲の精度と飛距離が気に入った」ということは、撃ったことになる。艦長に事情聴取した内容では、行きで倭寇二十隻、マラッカ海峡の海賊五隻、ペルシア湾岸十隻。小型船に関しては五十隻以上で、帰りは船数が六隻のため、十五隻は沈めてきたそうだ。今回の海戦でかなり経験値が上がり、次回の遠洋航海にプラスになったと思う。大砲の方は亀裂などなく問題ないが、全部取り替えるように指示をした。
アウミールは柑橘の摂取が壊血病の予防に有効なことを今回の航海を通して自分自身で証明した。ポルトガルで報告したが、信用されず、横須賀に着き、全員が健康で下船できたことが、北条を信頼する一つとなった。彼には、『北条から聞いたのではなく、自分の体験として報告しろ』と伝えたが、信用されなかったか!
商売の話は翌日、来賓用宿舎(迎賓館)の会議室で、俺と相模屋から伊右衛門と八十八、堺の皮屋(皮革・武具)の武野新八郎を新たに加えて商談をすることになった。風魔の通訳も同席だ。北条の欲しい物は日本で手に入らない物がメインで、硝石やアラブ馬、山羊、豚、ロバ、羊(釧路用)、砂糖と香辛料、銅鉱石。俺的に外せないコーヒー。それと前回忘れていた、テンサイの種。フランスあたりにあるだろう~。
「テンサイ?」と聞いてきたので、「実験次第で、自国の寒いところで砂糖が採れるかもしれない」と話すと、
「嘘だろう……フランスに?」地図と絵を渡し、
「これが現実になったら、どんだけの富に変換されるか想像つくだろう……今のうちに北部の雪が降る農地を確保しておくといいよ」
幼稚で語彙力が乏しいことは自覚しておりますので、
誤字のご指摘は大歓迎です!
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