第二十七話 大永三年、新風と剣豪
この作品は、歴史的な史実とは別次元の物語です。
妄想的で非常識、そして変態的な展開ではありますが、
今後ともよろしくお願いいたします。
氏綱さんが伊勢氏から北条氏に改称した。鎌倉時代の執権・北条家を名乗り、その権威を創出しようとしたのだろう。氏綱は相模の平定に動き、津久井城を押さえると相模全域を平定し、さらに武蔵の小机城を攻略して南武蔵一帯を制圧した。加えて武蔵国南西部の久良岐郡一帯を経略し、武蔵国西部・南部の国人を服属させていった。
史実通りに行動するのだなと感心する。改名に際し、北条の家紋入りで「大永三年吉日」と刻印されたオイルライターを献上した。後に20個ほど追加注文があり、自慢したのか、あるいは身内への褒美だったのか。まあ、こちらは作るだけだから構わないが。
扇谷上杉朝興が甲斐の武田信虎と何やら動きがあることは、氏綱さんも幻庵も事前に知っていた。そこで相模北部の津久井郡を目指して移動している道中に、待ち伏せの特殊部隊50と後詰1800を武田信虎に差し向け、迎え撃つことになった。待ち伏せを知らない武田信虎は兵士の半数を死傷させられ、特に特殊部隊の攻撃により、武田信虎自身も重症のまま甲斐に逃げ帰った。
______
兄の次男である弥市、12歳が又平さんに連れられてやってきた。婆が亡くなった時以来の再会だった。弥市から文を渡された。
「なんでもいいから、仕事をさせてくれ。よろしく頼む」
兄の字だなと認識する。そして、もう一枚の文があった。
「弥市の事、よろしくお願いいたします。・・・・・・」
たぶん結さんだろう。心配しているのがよくわかる文章だった。
「よろしくお願いします!」と弱々しい挨拶をしてきた。挨拶ができるなら何とかなるだろう。俺は引き受けることを決意し、
「弥市、これからよろしく」
と告げた。家族を紹介し、風呂に入れて食事を済ませ、就寝させた。
俺は又平さんと酒を飲みながら経緯を聞いた。実家が大変というわけではなく、小田原の景気が良く俺が成功しているから、弥市がここで仕事をして暮らしていければいいらしい。仕事に関しては二の次だな。まずは学問からはじめよう。そのうちに、やりたいことが見つかるかもしれない。
今回の行商で最後になる又平さんは、この地区に住み着き、八十八さんの下でこの町の仕事をする事になっている。今年の出来が良かった純米大吟醸を二人で飲み、思い出話を肴に飲み明かすことになった。
数ヶ月後、弥市も町に慣れ、寺子屋で読み書き算盤を習っている。多少の読み書きはできたが、計算は習っていなかったし、復習も兼ねての寺子屋だ。勉強は嫌いではないようで、楽しくやっている。
昼前に堺から仕入れたスパイス(クミン、コリアンダー、ターメリック)を使った鶏肉メインのカレーを作った。日本風のカレーにしたかったが、人参やジャガイモ、玉ねぎがないので諦めた。
鍋を二つに分け、甘口と中辛にした。俺は辛口が好きなので、唐辛子で俺専用にするつもりだ。香辛料の匂いが強いせいか、人が集まってくる。代表して芳が尋ねた。
「これは、何ですか?」
「これはインド、つまり天竺のカレーという料理だ。漢方薬を使った少し辛く食欲を増進させるものだ。好みに合わせ、あまり辛くないのと少し辛いものに分けてある」
ウコンの色が黄色なので、少し茶色に仕上げた。レシピ通りに作り、いざ試食。
カレーだ、間違いなし。ご飯とカレーを家族に好みを聞いて配り、全員で「いただきます」。
文句なしで全員が大変満足した。カレーは正義か。
______
2回目の回国修行のため、朝孝(塚原卜伝)が訪ねて来た。今回は西日本から九州の太宰府まで行くらしい。鹿島神宮に千日参籠して秘剣「一つの太刀」を会得した剣技を、俺と幻庵は、ただならぬ気配、一振りで斬られたような錯覚を感じ、武者震いした。俺も幻庵も感動したようで満足していた。早速宴会だ。その前に、神刀(豪)を見せた。
「これは……」
「今回の修行の餞別だ。超人の技を見せてくれたお礼よ!」
少し赤みがかった刀身の神刀(豪)の説明をした。刀身より10㎝先の物が斬れることと、条件が揃えば相手の刀も斬れると。藁の的を一振りすると、朝孝は驚いた。
「直道!お前は……………………有難く頂戴しよう」
内密に、と言って……宴会が始まった。
次の日、朝孝一行は旅立った。
幼稚で語彙力が乏しいことは自覚しておりますので、
誤字のご指摘は大歓迎です!
最後までお読みいただき、ありがとうございます




