第二十六話 永正十六年、内政の礎
この作品は、歴史的な史実とは別次元の物語です。
妄想的で非常識、そして変態的な展開ではありますが、
今後ともよろしくお願いいたします。
氏綱さんと幻庵(高橋是清)は、「数年は戦をせず国力を上げる事を念頭に富国強兵を掲げ行動する」と言う。俺は『銭になる物を作れ』と言われて姿見や手鏡を提案し、早速作業に取り掛かった。漆の仕上がりも含め二週間で試作品を氏綱さんに届け、連絡を待つばかりだ。
八十八さんは鏡の仕上がりを見て、漆職人や蒔絵師など三十数人ほどを集め、班ごとに工房を作り始めた。鏡に関してはガラス工房で作り始めていた。要は、量産は必須で必ず儲かると確信している。高級品と献上品のラインナップだ。ただの木枠で普及品も必要だが、量産体制ができないので、今は見送りとなった。
後日、氏綱さんから予約殺到で銭蔵を増やすと言う連絡がきた。量産体制を整えるらしい。俺の元を離れた産業は全て八十八さんに丸投げだ。八十八さんの話では、北条が京にいた時の関係があった摂家を通じて帝への献上品を手配したという。大内氏の後ろ盾がなくなった足利将軍家への献上も行った。相模屋は畿内と堺の豪商や今川氏を始め、各地の有力者に営業を開始した。
堺では朝鮮や明との取引も有り、特に朝鮮が大量の注文を発生させている。話によれば明のご機嫌とりらしい。こちらは、お金より足りない物(ゴムや鉱石、香辛料と砂糖、植物の苗や種、馬、豚や家畜など、その他)を取り寄せればよい。
一方で幻庵(高橋是清)は陸・海軍の士官学校を作り、身内と家臣を含め、優秀な若者を士官にする為に、学業と実践を私学の教え子を教官予備として配置して再教育を行っている。今の医療の教育も充実していれば、早雲さんの事も違った結果になったかもしれない。
戦をせずに、地下資源のある土地を開拓するには、新大陸に行くしかない。石炭は近場で釧路と十勝。ボーキサイトと鉄はオーストラリア。カリフォルニアから西海岸とテキサスの地下資源の調査チームを海軍から派遣しよう。詳細地図は幻庵(高橋是清)の資料からピンポイントで行けるはずだ。
鉱山繋がりの事だが、十五年前に俺のデータ内に神の鉱山を見つけ、興味があって早雲さんに相談し、氏綱さんの協力を得て足柄西鉱山の調査をした。産出量は少ないが、大概の鉱物が取れる不思議なチート鉱山だ。
坑道によっては蛍石が取れたり、クロムが取れる坑道や、石灰石が取れる砕石所もある。当然、金も取れる。今の工業生産に支障はないが、年々、減少ぎみだ。俺の予想では、俺の寿命とリンクしていると思う。
最近は近隣から仕官してくる浪人なども増えてきた。黒鍬隊の仕官希望者も浪人や農民まで応募してくる。黒鍬隊で河川や農地の整地事業が盛んにやっている為、整地が行われている所ではプレハブ小屋宿舎を中心に飲食店や娼館などが出店し、にわかの町に早変わりだ。農地の入植者も増え続けている。整地ができて、プレハブ跡地の場所に家を建て、貸し与えられた村ができあがる。
堺の相模屋からのワイン樽が十樽ほど届けられた。中身はゴムの樹液だ。生ものなので早々に作業開始。うまくいけばタイヤやその他用途は多様だ。硬化状態は上々で、軍手にゴム加工やゴム長靴などを制作しよう。ちなみに軍手は黒鍬隊や農家には好評だ。あと、唐辛子が種として届いた。これは農地に植えて増やそう。
約四年。北条家は産業により人口と経済が二十倍規模になり、小田原から鎌倉地区は工業と商業、農業が発展して都市へと変化していった。
幻庵(高橋是清)曰く、「これほど好景気は経験したことがない」。金策で評価された人物だから、言葉の重みが違う。
幼稚で語彙力が乏しいことは自覚しておりますので、
誤字のご指摘は大歓迎です!
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