第二十二話 永正七年、伊勢菊寿丸
この作品は、歴史的な史実とは別次元の物語です。
妄想的で非常識、そして変態的な展開ではありますが、
今後ともよろしくお願いいたします。
越後の長尾為景絡みで、七月、上野の関東管領・上杉顕定と養子の憲房は、越後に侵攻した。その隙を突いて、扇谷上杉朝良も上野に出陣した。早雲さんもその隙を突いて武蔵の江戸城に向けて出兵したが、朝良は兵を返して反撃に出る。この時代、これが定番だ。守りが少ないと攻められるのだ。
関東管領・上杉顕定敗死の報を聞いた早雲は、扇谷上杉の家臣・上田政盛を寝返らせ、相模国の東の要衝・権現山城に配した。両上杉家の共通の敵である早雲を討つべく、扇谷上杉朝良は、反目し合っていた山内上杉憲房と共闘し、権現山城を攻めた。
七月、早雲は自ら出陣し、数に勝る両上杉軍に対し、少数の早雲軍は各個撃破した。初めに成田親泰や藤田虎寿丸をグレネードや火炎瓶で敗走させ、それを見た大石顕重は戦わず敗走し、長尾景長はアトラトルの催涙矢で機能不全に陥らせ、槍隊で壊滅状態となり、長尾景長は足軽に討ち取られた。その時点で山内上杉憲房は敗走し、上野に向かった。
扇谷上杉朝良との対決となり、騎馬隊のコンパウンドボウ部隊で機動力を生かした長距離攻撃を仕掛け、クロスボウやスリング、アトラトルなど長距離攻撃を中心に敵を削り、風魔が率いる別働隊のグレネードで扇谷上杉朝良の本陣を奇襲した。逃げる朝良を風魔が討ち取り、扇谷上杉の江戸城に逃走すると、江戸城に再度侵攻中に、停戦交渉の使者が来て両上杉と和睦した。
現実問題、今の戦力を維持し続けると消耗が大きく、原状回復までの時間を考えると、有難い提案だった。後日談で小太郎から教えてもらったが、氏綱さんの本陣に騎馬隊が進行してきた時に例の刀で守った話をして、刀の凄さを褒めてくれるのは良いが……内密にしてほしい。
俺たち待機組は、小太郎たちが帰ってくるまで、午前は朝練をして鍛冶仕事に励み、午後は新作料理を作ったりと、要は趣味の時間だった。風呂に入り、芳や皐と話をして日々の活力を頂く。子供の成長は早い。特に女の子はお利口さんだ。後は酒を飲み、一日が終わる。この町は血生臭い世界とは別世界のようだ。
九月、早雲が菊寿丸(後の幻庵、九歳)を連れて工業地域(町)にやってきた。俺は早雲たちを接待した。新作の羊羹を煎茶の御茶請けとして出し、反応を見た。早雲は黒い物体に警戒しながら食べ、甘い菓子と認識すると、表情が柔らかくなった。菊寿丸は、黙々と食べていた。
「羊羹か、実に美味だ」
と、菊寿丸は言った!
早雲は娘の芳と孫の皐の所へ行き、菊寿丸と二人になり、
「私は、高橋是清だ。直道を助けよと神のお告げでここにいる」
「え!……閣下なのですか!?」
「神様から全て聞いている。このまま進めば北条は終わる。それは、儂も嫌だ。もう我々の存在自体が歴史の変わり目だ。そして、前世で儂は陸軍の予算を抑制したことに対し恨みを買い、二・二六事件で暗殺された。ただ、一つの生を終えた今、北条幻庵という立場と、一度人生を終えた者の心の持ちようが違う。しかし儂は童だ、しばし待て。それと、儂は、軍人ではない、政治家だ」
とんでもないことが起こった。日本を代表する大政治家、高橋是清。国の総理として、大蔵大臣としての評価が高く、尊敬された人物が北条幻庵として存在する。俺の存在自体がチートなのに、プラス幻庵じゃ、どれだけ北条家が強くなるんだ!と一人妄想し、死なない確率が上昇したことに安心する冷静な自分が、少し嫌になった。もちろん、家族や町の皆、その他、関係者各位の幸せも考えている。
閣下から、欲しい物一覧をメモし、作れる物から制作すると伝えた。そして、作りたい物はあの資源が必要で、そこを採掘するためには、どこに侵攻するかを伝えた。物作りに関してのデータと作成は俺が担当し、資源及び政治に関するデータは閣下が持っている。ちなみに過去から現代までを網羅しているらしい。これに衛星などあったら、世界征服するかもしれない……望まないが。
本来の目的「スローライフ」を体験するために周りを自衛し、安全を確保するための装備の充実が過度になっているだけだ……たぶん!
早雲たちは戦疲れを癒し、お土産(甘味)を持って城に帰っていった。
しばらくは内政を中心に動き出す。その間、幻庵(高橋是清)の宿題をやらねばならない。口だけのどこぞの指導者やブレーン、それに同調する者たちの組織にならないため、この町内は常に日々前進だ。ここは戦国、口だけの指導者は殺される。
生産性には動力が欠かせない。手動のねじ切り旋盤から始め、水蒸気でタービンを回して動力にする簡単な小型旋盤などの基礎的な道具作りから始め、いずれ電気に移行するためにせっせと作業をする。簡単な物から一カ月かけて旋盤の完成だ。周りの皆は何が完成したのか分からないと思う。まあ、自己満足ではある。
幼稚で語彙力が乏しいことは自覚しておりますので、
誤字のご指摘は大歓迎です!
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